2017-07

beyond

分厚い分厚い漬物石みたいな本を図書館で借りてきてもらって調べもの。
一家に一冊ほしい、この情報の塊。
禁帯出じゃないのが不思議―。



ぐるっとぱすで、松涛美術館、遅ればせのクエイ兄弟展。
シュヴァンクマイエルより好きだ、パペットアニメ。
覗き穴をのぞくとき、人は秘された窃視欲をそそられる。
初期の鉛筆画や装幀が素敵だ、陰鬱で隙がなく、被虐的。
双子名義だと、こういう一枚絵も二人で描くことができるのか。

サヴァン症候群の双子が、数桁におよぶ素数を言い合って遊んでいるみたいに、
一枚の絵、一つの箱、一つの映像を分かち合うことが双子ならば可能なのか。
その融合の不可思議。

**

録画していた「昭和元禄心中2」、実は放映時間帯ずれて数回取り損ねていたので放置していたのだが。
第一期に劣らず素晴らしい出来だった。
いや、普通なら蛇足と呼ぶような展開なのだけど、ただただ感謝でした。
ニヒリスト八雲師匠の究極の受けっぷりは、黄泉の国までも連綿と。
この人の色気は半端ない。
居残り、芝浜、初天神、死神、寿限無……声優さんってほんとすごい。
落語を演ずるだけでもどれだけ大変かしれないのに、下手な時代、若い声、円熟、老いて、すべて乗っけて落語やっちゃうんだものなあ。
もう一回第一期から通して観たいなあ。

**

新海誠監督の「言の葉の庭」も深夜に録画していた。
はーーーっ。これで3作品目だけど、もうたまらん。
雨の表現でこんな美しいアニメがあっただろうか。
水は勿論、物体の質感が伝わりすぎて、むしろ恐ろしいほどだ。
空気が、そこに溜まった匂いが、風が、気配が、人間よりも画面から飛び出して漂ってくる。
どの作品も、空と空気が、視覚から五感、六感を揺らし続ける。
ああ、みんな生きているのが苦しい、苦しい、苦しいんだなあと、いつも思う。

エンディング、あれっと思ってクレジット見たら、大江千里のRainだった。
歌ってるのは秦基博だしアレンジも違うけど、この歌詞はわすれない。
高校一年の時聴いてたアルバムに入ってる。懐かしい。
今聞き直すと、千里君の唄で一番好きなのは"avec" だな。
ファンクラブに入ってた頃は"you"を越えるものはないと思ってたけど、"avec"の歌詞が堪える。









pol

素氏に誘われて遊古会へ。
戦前の古雑誌なら買ってもいいかなあと思って出かける。

一日中睡魔、手湿疹用のセレスタミンが効いているのか
温存しておきたいので、一日一錠に減薬してるのだが、眠くてしょうがない。
日差し、ありえぬほど熱く、体温越えではと呆れる。
初めて入った牛すじカレーの店が、猛烈に美味い。人生でトップ3に入るのではと思う。
鉄鍋に地獄の窯のように煮立つカレー、素氏はさっそく鉄鍋で指を火傷。
店員さんが気を利かして、即席氷嚢をくれる。

古書市は寂しい雰囲気。
雑誌多いので時間がかかる。

戦前の科学雑誌は兵庫県の製薬会社PR誌の怪しいものがあり、チバ時報の再来か!と狂喜するが、中身は薄いので諦める。
気になっていた「科学ペン」は、中身を見ると、うーーむ。
国策の文系より科学随筆といったところ、まあ一冊だけ科学史特集ゲット。
戦後昭和21年創刊、『科学の世界』1冊300円也を二冊ゲット。仙花紙だがカラーが美しい。
戦前から続く『科学朝日』はうーむ。『自然』もうーむ。
我らが『科学画報』、戦後版は集めていないが、昭和21年の状況を知るため1冊ゲット。
中村古狭主幹の『変態心理』も500円で並んでいる。
揃えたい野望はあるものの、危険なので田中香涯メインのを1冊だけ。

あとは、西条八十の肝いり、戦後の詩雑誌『ポエトロア』も激安。
西脇順三郎も、吉田一穂もこんなにぞんざいに扱われて……と思うが、きっとポエチック系は売れにくいのだろう。
短歌系もごっそり出ていた。
以前の自分なら『ポエトロア』全部買い占めてたはずだが、ソビエト詩特集だけにする。
あとは、『古典浪漫』昭和9年創刊号、ドストエフスキ研究特輯だ。
当然のごと、昇曙夢とか寄稿。

一人で渋谷に移動して、parisでお茶を飲んでからプチバイト。
さほどレトロではないが、渋谷ではparisとトップがお気に入りの喫茶店だ。

帰宅後、雑誌を眺めつつ盛り上がる。
いいよねー、古雑誌。
最近新たに集め始めたの戦前雑誌あり、愉しき復刻の糧となりますように。




agape

信用できないけど、ネットのウツ診断と不安障害テスト色々やってみる。

重度のうつ、重度の不安障害と出続ける。
そりゃそうだろうな。
アスペ、自閉スペクトラム診断は、まあ傾向は強いがそれほどでもない。
それもそうかもしれぬ。

文章が理解できないので、本が何かいてるのか分からなくなってきている、
バルガス・リョサの「密林の語り部」、カタカナの現地密林語録が巻末についてるのだけど、ぜんぜん引けないので、脳が密林彷徨酩酊に陥り、全く意味が分からず。
顕微鏡の前も、電車の中も、眠くて眠くて睡眠薬盛られたような感覚。

病院探してるのだけど、もうどこがいいのか、全然わからない。
予約して、最初から話をまたするんだよね。
ウツは誰かに聞いてもらうと和らぐのかな。
フラッシュバックは減ってる、でも子供の頃、神戸にいた時代、それから二十代のことも
思い出そうとすると、叫びそうになる。

**

校正の段階でまぎれこむ、筆者のあずかり知れないミス。
その事象にぞっとする。
4校までないのに、5校にびっくりするような勝手な修正が入っている。
鉛筆でも赤でもなく、完全に書き換えられている。
どうしてそういうことが?
気持ち悪くて、信用失墜する。

**

ルヴェル「夜鳥」の創元推理文庫の編集方針が素晴らしく、うらやましくなる。
こういうものを愛玩する人たちだもの、無駄なルビはそぎ落とし、格調と香気を吸い込めっていう姿勢、大好き。

誰が考えたのか、表4の惹句サイコーじゃないか。
読めない、意味わからない、それは読者が未熟だから。
知りたきゃ調べろ、そうじゃなきゃ。
僕も読めない意味わからん5個ありました。調べてみようか。うん。

『仁術の士モーリス・ルヴェルは稀代の短編作家《コントール》である。面桶に慈悲を持つ輩、淪落の尤物や永劫の闇に沈みし者澆季に落涙するを、或いは苛烈な許りに容赦なく、時に一抹の温情を刷き、簡頸の筆で描破する。白日の魔を思わせる硬質の抒情は、鬼才の名にそぐわしい極上の飧饔である。加うるに田中早苗の訳筆頗る流綺。禍棗災梨を憂える君よ、此の一書を以て萬斛の哀惋を掬したまえ。』

※面桶 《めんつう》 乞食の持つもの。
 尤物 《ゆうぶつ》 美女、逸品。
 澆季《ぎょうき》 道徳が衰え、乱れた世。
 飧饔《そんよう?》夕食朝食?御馳走?
 禍棗災梨《かそうさいり》価値のない無駄な書籍を出版することを批判する言葉
 萬斛《ばんこく》計り知れないほどの
 掬し《きく・し》汲み取る、すくう。

ひゃー、意味わかると尚しびれる。
今頃痺れてる。
こう迎合することなく叩きつける感じ、これが欲しいのだよ。
勿論、中身もじっくり堪能しました。

mQ-cruel

深夜二時三時になっても布団にいけない。
眠たくないわけではないが
眠らないと翌朝仕事に行けないと思っても、行きたくなさ過ぎて次の行動がとれない。

感情が、地底で平行線をつづける。
ひたすら緩慢、何も気力がおきない。
うねるほどの思考の波に渦巻かれていたときは、それはそれでとても制御不能でつらく
何か吐き出さなければいられなかったけれど
吐き出したいはずのものが、何も見当たらず、思考が消滅していく感じ。

気づくと、自分がどこにいるのか
うだる暑気と蜃気楼の中で、絶望が頭を掴んで落ちろと言う。

人は相変わらず怖い。
例えば翌日ランチに行こうと誘われたり、送別会があるといわれたりしただけで
一人の自分もまあそれくらなら出られるだろうか、一時間程度なら平気だろうかと思ってるのだが
実際にその日を迎えると、激烈に体が拒絶反応を示して、眩暈と金縛りを起こす。

人の声、集団、特に知っている人の塊、声、怖くて煩くて叫びそうになる。

僕が実験しているのは主に2階、4階なのだけど、
春までスタッフルームというのが2階にあった。
実験中は飲食禁止で他のひとはそこで寛いだり、実験ノート書いたりしてる場所。
凄く狭くて、息もできない雰囲気で、それでも夕方とか、座りに行くこともあった。
春以降、2グループが一緒になって1階の大きなへやにスタッフルームが移動した。
ちゃんと、一人に一席確保されている。
でも、もう全然僕はその部屋に近づくことすらできなくなってしまった。
扉を開いて、人の視線にぶつかるのも怖い。
あるいは、タイミング悪しく、大勢が歓談している場面に出くわしてしまうかもしれない。
さらに、苦手な(年下ながら、非常に冷静で穏やかなのだが、目上というだけで苦手)上司が奥に座っている気配を感じてしまうかもしれない。

だから、僕はトイレの洗面台の水で喉をこっそり潤す。
実験室で、ノートも書く。
といっても、これもやる気が起きず、三か月遅れで書いている。
実験室でも時々人が溢れると、行き場がなくなり吐き気と耳鳴りでどうしようもなくなる。
なので時々、堪えきれず、公園にまで遁走する。

どうしても最低限のお金は必要で、
じゃあ他のもっと遁走できないような、時間厳守の職場に行けるのか、終始他人が傍にいるような所で働けるのか
というと、全く自信がない。
今もこれだけ休みとさぼりを繰り返してるのに、普通の社会人が出来るわけがない。

宝くじとか、確率の低すぎる賜物しか望みがないけど
外れるたびに、どこにも逃げ道がないんだと、余計に絶望する。

本を作ることも、読むことも好きなはずなのに
ふと義務になってることに気づくと絶望する。
色んな締切、決められた約束、そういうものが不安でしかない。
実際にはできないくせに、完璧を目指そうと、自分の立てた戒律に縛られて成し遂げられず、のたうち回る。

監視されているような、人から「見られた」と分かる事象が起きるたび
それが毀誉褒貶いずれであっても、ぞっと怖気たつ。
自分の吐いた小さな呟きに自分で吐き気を催し、一日経てば消してしまう。
己だけでなく、
普通に人と話すことが出来る人、いじられて喜ぶ人、褒められて喜ぶ人、エゴサーチができる人、自慢ではないかもしれないけど自分のあれこれを表に向かって発信できる人、すべてが闇。
あらゆるものを飲み込む、ブラックホールが胃の上に空き、
あらかたその一種の「醜く」みえてしまう、怪物のような鈍感のような言い難い塊が、こぞってブラックホールに襲い掛かるごと吸い込まれる。

バキューム音が耳をつんざく。

吸って吸って、キャパなしと思うなよ、吸い続けている。

いつも思うのだ、苦手な人とそうでない人の境界はどこにあるのか。
この穴に飛び込んでこない言動の持ち主なら、なんとでもなる。

**

きっと崖に立つ人に
今さら何を言っても、聞こえないのだよ。
そういう聞こえない状態になるのだろうと、ぞくぞくと分かる。
脳が全面的にフリーズし、固着していくのだから。
言葉はその瞬間、形骸化しノイズと同義になる。
いっそ物理的に拘束してしまう方が、手っ取り早いのもよくよくと分かる。

**
穏健と不穏のあわい。








qz

なんとか6月中という目標と、新潟行く前にという目標をクリア。
一度僕の手元から離します、ゲラ束。

しかし、脳に神経衰弱のごと、既出単語を張り付けておく、ルール不統一のルビ、資料の文字が掠れて小さいの呪い。
くたくたになったが、面白かったな。
世の中の「本当の本づくり」ってどうなってるのか、いまだ掴めませんが。
僕は本づくりが大好きです。
ついでにデータいじるのが大好きです。
緻密な終末の見えない作業が大好きです。

ということで、
今月のNHKFM4週連続サウンドクリエーターズファイル、無事に録音完了したので。
コーネリアスグループのベーシスト、大野さんの所属するバンドから一曲。
あー、後期(終わってない、終わってないけど、ある意味後期)salon musicに通じるオルタナ感、かっこいいー。
痺れるー。
CD買おうかなー。



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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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