2017-03

西瓜の中の毎日

西瓜糖の日々 (河出文庫)西瓜糖の日々 (河出文庫)
(2003/07)
リチャード ブローティガン

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ビート・ジェネレーション。
僕はその世代ではないので、ただの奇妙な懐古趣味でブローティガンを読んでいる。

どうやってこの人に辿り着いたか、もはや定かではないが
またも僕の青春としか呼べないパーフリちゃんの「アクアマリン」という曲で
奇しくも、いや小沢くんの計算尽くのサンプリングで出された
「西瓜の中の毎日」という歌詞は、まさしくこの本を指していたに違いない。
あの、一度聞いただけでは首を傾げる、
ひたすら濃密な気だるさは、まさしく病みつきの一曲とも呼ぶべきものだった。

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先日の一箱古本市で「愛のゆくえ」という
なんともこっぱずかしい一冊を手に入れて、一気読み。
(表紙は、現行のepi文庫より、絶対こっちがいい!
なにしろ、サイケでださ可愛いじゃないですか)
粗筋を語れば、みんな
「なんじゃそれ?」と叫びそうだけど。

図書館の、それも世界に一冊きり、ただ収めるためにだけ作られた、名もなき人による本を集めた図書館の司書が主人公。
彼はもう三年も建物から出たことがない。
だって、開館時間は定時だけど、本を受け入れるのは24時間年中無休だから。
置ききれなくなった本たちは、目録だけを残して、遠い洞窟に運ばれて収納されている。
一体誰が、こんな図書館に出資しているのか、
つまりは現実的な話はなんにもでてこないんだけど。

ブローティガンのいいところは、ちっとも背伸びせずに
むしろ背伸びしなさすぎに、小説技法と戯れてしまうところ。
「アメリカの鱒釣り」では、その技巧がやや読者との距離を置きがちだけど。

ヒッピーたちに、ある種のナチュラリストとして受け入れられた
とかいう話は僕にはどうでもよくて。
この人の、あまりに傷つきやすい世界が、一見硝子質のひび割れたら一気に砕けちる世界に思わせておいて、実はゼラチン質なんだ。
どろっと、半透明で、外とは触れ合わないようにする、卵白の中の出来事。
その崩れる寸前の危うさを、苦しくないように、痛々しくないように見せようとする。
でも、結果的には、逆効果で、読者は無性にせつなくなってしまうんだ。

たとえば、「檸檬糖の日々」、あるいは「薄荷糖の日々」
といった、偽者らしい、到底、西瓜には足元も及ばないタイトルが浮かぶ。
だって、西瓜は、どうしようもないものだもの。
甘いと呼んでもらえるのは嬉しいけれど、本当にささやかな甘さだもの。
ジュースにしたら、ますますどうしようもないもの。
だからこそ、西瓜なんだろうけど。

僕の歪んだオマージュ熱が再噴して困るので
三ヶ月休んだから、そろそろ何か書こうかなとか思っている次第。

あ、そういえば、こんな新刊出ていた。
ひー。
読んでみたいなあ。


芝生の復讐 (新潮文庫 フ 20-3)芝生の復讐 (新潮文庫 フ 20-3)
(2008/03/28)
リチャード・ブローティガン

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