2017-10

astatine

何かをほんの些細なことを我慢する、ぐっと飲み込む。
その小さな小石が数ヶ月後、数年後、巨大な渦に変わってしまう。

人の気持ちが分からない。
本当に全然と言っていいほど分からない。
だから、読んだ本の内容は全部忘れるけど、人の言葉や表情を脳裏に焼き付けてしまう。
それは慮ってみようと儚い努力の一端であって、
実は「全然そんな風には考えていない」思いを曲解し拡大解釈する材料になる。

自分の病気のことで甘えたくはない。
でも、結局、二日仕事にでれば、もう脳はくたくたで、目覚ましが何台鳴り響こうとも
体が脳を休めるために布団に縛り付ける。
そして罪悪感とどうしようもない肉体への恨みと、努力を華麗に隠して日々を泳ぐ人たちを羨み、冷たい視線に耐えながら、脳にまた答えのない思考の洪水を渦巻かせて夕方を越え、夜を迎えるまで働く。

帰途、見上げると橙に染まる、切り爪の月がけぶっていた。

僕はもう僕に疲れきっている。

人の気持ちが分からないのに、人と付き合うのは諦めているのに
それでも少しは何とかしないと、真面目な一部が吠え立てるので
それに合わせようと一度は努力してみるけど、結果は空回りでしかなく。
空転の羽根車は脳をかき回し、涙腺を決壊させ、途方に暮れさせる。

本当に心が許せる人と、ぼんやり綺麗な夕焼けだけ見て暮らしていたい。

夢想からふと汚泥に呼び戻されて、しゃがみこむ。
薬は効いているのか、効いていないんじゃないか。
苦手なことから逃げていいという忠言に、従って済むならどんなにいいだろう。

世相は世紀末以上の世紀末感を増し、空気が罵詈雑言で満ち満ちている。
その闇の圧迫と、自身から放射される闇の、二つのブラックホールの強い重力で
今にも万分の一に圧縮され、引きはがされ、弾け散りそうだ。

この湧きたつ狂気をごくんと飲み干す。
飲み干せるだろう、きっと。
でも、たちまちに、すべからく、内燃する。

僕はもう僕に疲れきってしまった。

どうか神様
僕に何も期待しないでください。
期待しているのではないかと、毫も感じさせないでください。
僕は曲解しますから、間違えてころんで、月の冷たく紅い視線に焼き殺されますから。




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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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