2017-05

手に染みこんだのは醤油と紹興酒

でも、頭に染みこんだのはそれだけじゃなかった。

日曜の講演会の内容をちょこっと。

グレムリンはあのギズモたちのことなんですが。
元々は世界大戦の頃、イギリスの妖精が戦闘機に侵入して世界をめちゃくちゃにしてしまうものを片っ端から壊してしまおうとした伝説に由来しているというのです。
それは平井呈一が精力的に訳したアーサー・マッケンの「恐怖」にもつながり。
飛行機乗りたちの間の悪しき伝説にもなり、ついにはディズニーが子供向けの絵本として出版するきっかけにもなったと。
本の作者はあのロアルド・ダール。
実際に飛行機乗りだった彼は、不時着して負傷し、その後諜報官となったらしい。

その周辺の画像はこちらのサイトでご覧になれます。

アリャマタ先生のすごいところは、自称・ゴミばかり集めてるという、どこかで聞いたような蒐集癖ですが。
同じこの「グレムリン」絵本を何冊も集めて、ついには確かにこれがロアルド・ダールが書いたものだと突き止めたこと。
中扉にサインがあって、挿絵に自分の考える妖精には、ツノがあるんだからちゃんと描いてくれなきゃ困ると、指示出ししている珍本だったというのです。
素氏もよく言いますが、周辺とも思えない、自分の好きなものを喩え他人にとってはゴミであろうと積み上げているうちに、とんでもない円環をみつけてしまうといった所業。
アリャマタ先生は、そのスケールはなんともなんとも大きいのですけど、頷きながら沢山楽しませて貰いました。

そうそう、都市が生み出す狂気、最大の怪奇は内なる私にあるという話に及んで。
「蟹工船」「セメント樽の中の手紙」を初めとするプロレタリア文学が「帝都物語」根幹の一本になっているというお話も面白かったんですが、なんといっても、グランギニョールのプログラム絵が出たときは笑った。
だって、10/18に取り上げたばかりの「責苦の庭」が出てきたんだもん。
そうだね、やはりあの陰惨な地獄絵図はグランギニョールにこそふさわしいかも。
でも、東京グランギニョールから嶋田久作へと繋がるならば、「帝都物語」の挿絵師・丸尾くんにもつながってほしかったなあ、とかなんとか。

アリャマタ本で最初に買ったのは、多分「花空庭園」だったと思います。
二十歳くらいの頃、今はネットで本を買うのは当たり前だけど、神戸三宮のジュンク堂で、取り寄せ通販みたいなことをしてくれてて。
目録見ながら届くのをドキドキ待っていた一冊です。
でも私的に一番好きな本は、何年経っても「本朝幻想文学縁起」だなあ。
副題の【震えて眠る子らのために】というフレーズが大好きで。
「幻想文学」というジャンルもあやふやだった自分には、実はこれが開眼の一冊だったようにも思えます。

本朝幻想文學縁起―震えて眠る子らのために 本朝幻想文學縁起―震えて眠る子らのために
荒俣 宏 (1985/12)
工作舎
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埴谷雄高展の方は。
憧れのトカイワインのボトルが飾ってありました。
一度飲んでみたいんですが、いまだ真剣に探したことがないので。
Absolute Citronみたく、一度カウンターでうまーーーいと叫べば、必死になって探し出す。
いまや我が家には空き瓶に違うお酒が入って並ぶようにまでなったんですから。
いつかきっとその甘味を舌の上で転がせるはず。

印象深かったこと。
そのいち。
ハニーが子供を作ることを拒んだ遠因として、父親の婚外子(私生児って言葉はだめになったのかと素氏と最近語ったばっかりだけど)が生後まもなく死んでしまったことと、パネルに書かれていたこと。

そのに。
「闇の中の黒い馬」の挿絵を描いた駒井哲郎さんが、具象的でかつ幻想的なものをと依頼されて。
神様に目と鼻を描いたら、「僕の神はのっぺらぼうなんです」と言われ。
半年以上苦悶し続けた駒井さんは、最終的には目も鼻もない形を生み出したと。
言われてすぐに直せる訳もなく、その格闘の変遷が見てとれました。
駒井さんを始めとするモノクロ銅版画の世界は、世の中に胸揺さぶる絵なんて一向に見つけられなかった私に、あああっと電流を走らせてくれた人たちです。

そのさん。
島尾敏雄は自分から弟子と名乗ったから、弟子にした。
高橋和巳は死んでから、自分で弟子だと思ったから、弟子にした。
やっぱり素敵だ。
どんなに大きな壁であっても、いつか高橋和巳は眼鏡文人で取り上げたいです。

でもって、「群像」だよ急遽探さないと行けないのは。
「死霊」構想ノートですもん、超大事なのです!

群像 2007年 11月号 [雑誌] 群像 2007年 11月号 [雑誌]
(2007/10/06)
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