2017-10

ソラリナ

びっくりするほど厚顔無恥な電話が掛かってきたので
慇懃無礼法により対応したら、
先方がむっとしているのが分かって可笑しかった宵。
相手は80過ぎのお婆さんなのだが、こちらのオブラートびりびりに破かせる勢いの凄さに感服。
どうも最近、オブラートを「おざなりにしている」との正論風をかざして、
真正面から怒りにあらわにしてくる人が多いなあ。
いや、いいんですよ、僕も本気出してもさ。
でも、疲れるし、誰得なんだって話だから、ノラリクラリさせてもらいますよ。

**

大好きな「LIFE」のコントにこんなのがある。
超ダメ人間リーマンが、みんなに「仕方ないな」と怒られながらも、
全然仕事をしないで同僚や先輩にやってもらってヘラヘラしているんだけど。
その人たちがいなくなって、新入社員と二人きりになってさ。
新入り君も調子に乗ってダメダメ君にタメ口とか叩いたら、
急に真顔になって
「俺は出来ない人間を装ってんだ、仕事振られなくて済むからな。だけど、お前に言われる筋合いないぜ」
と切れられるっていう。

僕も仕事に自信ない風、話すの遅いぼんやりさん、
無口で人と馴染まないのは超内気だからと職場で装ってたりしますが。
実は、そんなことしてると、本当にそれが地なっちゃうんだよ。
と時々思う。
実際そうなんだろう。
あと別なところで、吹き溜まったものが爆発して、隠れた人格が暴走する危険も孕む。
誰しも「分人」は存在し、多面体ではあるけど、
何かを得るために歪めてしまうと碌なことないでしょうとも思う。

**

ドキドキハラハラで要塞牢獄から脱獄したクロポトキンは、
選挙に勝つことだけを考え、国家社会主義が実は国家資本主義になってしまったドイツに
見切りをつけた欧州の他国のアナーキストたちとともに、スイスのジュラ連合を中心に活動してゆく。
実力と気高い精神と魅力を備えた数多の活動家たちと並んで、彼は赤旗を振って行進する。

ということで、下巻も佳境に入ってきました「ある革命家の思い出」
一向にだれることを知らない、名文が続く。

言葉について誤解の毎日だけど、
これを読んでいて、自分が「ニヒリスト」の定義を間違っていたことに気付いた。
世間を馬鹿にした、苦虫さんをイメージしていたのだ、ずっと。
これもまたごく限定的な一面ではあろうが、
実は能動的であり、極めて実際的な存在であったということを知る。
そして、僕の周囲にいて安心するごく僅かな人の多くが、ニヒリスト志向だとも思う。
が、僕も含めノラリクラリさんでもあるので、真のニヒリストとは呼べないのである。


多くのロシア作家にあるひときわ目だつ誠実さ、西ヨーロッパの読者をびっくりさせるあの「思うことをはっきりいう」習慣もまた、さまざまな形のニヒリズムである。
まず第一に、ニヒリストは「文明人の因襲的な虚偽」とでもいうべきものに挑戦した。絶対的な誠実がニヒリストの著しい特徴であり、この誠実の名にいおいてニヒリストは自分の理性が正当化しえない迷信・偏見・風俗・習慣などを放棄したし、他人に対しても放棄することを要求した。ニヒリストはどんな権威のまえにも屈することを拒み、ひとつひとつの社会制度や習慣を分析して、すこしでも仮面をかぶった詭弁を見つければ、これに反抗した。
ニヒリストが父たちの迷信と訣別したことはもちろんである。哲学的な認識においては、ニヒリストは実証主義者であり、不可知論者であり、スペンサー流の進化論者であり、科学的な唯物論者であった。またニヒリストはけっして感情の心理学的な必然である素朴で誠実な信仰は攻撃しなかったが、人々に宗教という仮面をつけさせる偽善に対しては、徹底的な攻撃を加えた。
文明人の生活は小さい因襲的な虚偽にみちみちており、おたがいに憎しみあっている人間も街でいき会うとにこやかな笑顔をつくる。ところが、ニヒリストは冷静な顔をしていて、ほんとうに会ってうれしいひとだけにほほえみかけるのである。
(略)
またニヒリストは、世間話にふけったり、「女らしい」身のこなしや念いりなお化粧を鼻にかけたりする女を遠慮会釈せずにやっつけた。きれいな若い婦人に向かっても、「そんなばかげたことを話したり、つけまつげなどをしてよく恥ずかしくありませんね」などと、むきだしにいったりした。ニヒリストは女のなかに人形やマネキンではなく、同志や人間を見たいと思ったのである。
下巻 89-91pp

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狸穴幼稚園の図書委員

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