2017-08

にゅーてきすと

昔も今も
誰かと好みを共有したい気持ちが欠落しているので
人に聞かれればそれなりに真摯に答えはするけれど
相手が不意打ちに過大な反応を返すことがあると
本当に自分はそれが好きであったのだろうかと首をかしげ
さらに元々満点でなかったものではあるので
つまり、この世に完璧な神業は仮に存在しても一生に一度くらいなものであることを、
もはや僕は重々知ってしまったので、
逆に好きだったものの瑕瑾が目立ち、すこし遠ざけて置きたい気分に変化する。
その処理、一人であっては誰も傷つけない無言の順位付けは
他人を介してしまうと乖離をひろげ、温度差は熱湯と氷水のごと。
僕は何度もこの冷却によって、過ちを繰り返す。
くそ真面目で誤魔化しを赦せないのは、最も己に対してだ。
嘘の微笑みなど、まったくできない。
唯一の対応は沈黙しかないのだけれど、
このつたない技も傷が深ければ、縫合糸として成立しない。
一体、人はどうやってその嘘を通し続けて暮らしているのか、教えてほしい。

そういえば
完璧という崇拝は、若気の至りだといった趣旨の文章を最近読んだ。
おそらく
僕の神様にケチをつける奴は許すまじ
とは、呪いのようなもので
本当は陶酔の瞬間にも目隠ししているだけで、
本人も気づいているのだ、それが完璧ではないことを。
特に幼いころは自分の見つけた宝物はどこからみてもピッカピカでなければならなし、
その輝耀の一条にでも翳りがあったならば
自身が傷つくと同化する。
だからその欠点を葬ってしまうのだろう。

当時の僕も
そうしたピッカピカを探していた、本の国に。
もう評論家はいらないけれど
今でもまだ繙くことのできていない本を読むことを夢見て
珠玉の案内書を時々ながめる。
その溜息の集積。
大嫌いな「賢者の石」(この手の英雄伝的ファンタジーが苦手)の欠片ともいうべき、書名書影たち。

・studio voice のニュー・テキスト特集
・幻想文学のブックガイドマガジンBGM創刊号
(2,3号って検索して存在初めて知ったな)
・工作舎ブックマップ
・荒俣宏「本朝幻想文学縁起―震えて眠る子らのために」

外の空気を吸って映画でも見て
別の落ち葉でも踏みたかったけれど
一日今日も、明日からの恐怖に震えながら家で籠っていました。
月曜の朝の目覚めの恐ろしさが、もう金曜の夜まで蔓延する。
垂れた墨は、ゆるやかにも波濤に変わる。
岩を侵食するだけでなく、火急に崩す白波もあらんことを。







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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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