2017-07

声の

人の言葉の一つ一つを覚えている。
反芻して擦り切れるまで意味を考える。

自意識に潰されることもあるのだと
最近読んだ言葉も反芻する。
しかし反芻してはならないのだ、これは。
その忠告は自己に対峙すればすれほど
自壊することを示唆していたから。

誰をも嫌うことはない。
誰をも憎むことはない。

毎日の渡された言葉や視線や仕草に
意味がないと思わねばならない。
みな思考を手放して
足元の糸のような吊橋を堅牢だと信じて
歩いてゆく。
意味がないと思わねばならない。
反芻は罪である。

しかし
停止しても恐怖だけは残響のごと
耳殻から背筋から爪先からへと震動する。
ついに息の根をとめる。
その間歇的な心停止、
絶叫とともに脱兎する衝動を
反吐を掬うように飲み込みやり過ごす。

意に反するもの
不可解なもの
醜いもの
全て飲み込み、
灯り一つ、橙の灯り一つだけの公園に
僕は毎夜、這う。


いつだか
こんな風に
いやもっと不味い暗喩で
人を怒らせてしまったな。
それは窃視されたような
いや糸の吊橋と分かって渡った橋から、
あっけなく無様に落下したようなものだったか。

自意識の砦以前に
人には呼吸できる場がいるのだ。
物理的にも。

微笑んだままの
恐ろしい言葉。

まだ黄ばんでいればいいものを
真っ白な歯を精巧に光らせて微笑んだのだ。

投擲板は無惨に軟弱で
めりこんだ球は落下もさせえぬまま
窪みともに鉄を腐食した。

どこにも通用する社会性を手繋ぎしては
かごめかごめと、
彼らは唄いつづけてゆくだろう。

明日の昼も
来年の坂道でも、
十年後の映画館でも、
焼かれた骨が雨水に流されても。

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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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