2017-05

さみしい博物学

入稿前の慌しいときにやったことのない実験がどかんと来ていて、
普通の人ならやるべきところ、わしは原稿中なんでオーラを撒きつつ
脇目も振らずPCと校正に向かっていた先週を乗り切り
(これが許されてしまうビミョーな環境のため退職できないともいう)
今週真面目にRNA抽出やっていたら時間がやばくなり
ダッシュで参加した某忘年会たのしゅうございました。

いつもながら思うことは、
「人脈は金なり」みたいに豪語する企業戦士はニガテだけど
実際のところ一声かければどっと人が集まるというのは
凄い力だなあと。
いや自慢じゃないけど、僕は自分から声掛けたり誘ったり出来ない
寂しい人なので、純粋に瞠目してしまう。

そして酔える人も結構羨ましかったりする。
今日はビール3、ジントニック1で全くしらふなので
足りない分缶チューハイ飲んでます。
自分は少々飲んでも酔えないのでテンションを引き上げるのも難しいなり。
でも酔った人の楽しい動きを見るのは微笑ましいなり。


不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)不思議屋/ダイヤモンドのレンズ (光文社古典新訳文庫)
(2014/11/12)
フィッツ=ジェイムズ オブライエン

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有名な表題作、いわゆる顕微鏡男は
実はそれほど心揺さぶられるものがないのは、
ダイヤでレンズ作っても・・・とかいつもの噴飯的斜め読みのせいで冷えてしまうのかと思いきや
それ以上にこの作品が自己完結的、強くいえば利己的だからだろうか。

というのも通してみると他の作品には非常にさみしい雰囲気が付き纏っていて
思い出の詰まった品々に彩られた部屋が紛い物になって、自らの手から奪われるとか
卑屈なせむしの古本屋と呪われたジプシーの美少女の恋だとか
彼女と世界を呪詛で埋め尽くさねばならぬ仮の父親だとか
「さびしい」ではなく「さみしい」気配があたりを深い霧のように包み込む中に
美しい品々が列挙される。
ジョゼフ・コーネルの標本箱みたいに。
その博物学者のつくる細やかなカタログは列挙を重ねるごとに霧を濃くして
そこに幻が、誰も見たことのないような幻を現前させる櫓になっている。

南條さんの選ぶ典雅な訳語が、
(古雅な語彙は、必ずしも世のあらゆる翻訳に適合するとは思わないけれど)
特に中国ものの一作においては素晴らしく花開いていて
さみしい霧を一層さみしくさせてくれるように思えた。

寂しさは、他者との距離にあり、
たとえその存在が架空にしろ他者を求めぬものは、それを認知することはない。
だから顕微鏡君は異質に感じたのだろう。
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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