2017-11

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鎮静剤

大人になると丸くなるというが
一向にそうならない。

「尖がっている」とは一種若さの褒め言葉であり
「鋭敏」とか「研ぎ澄まされた感覚」とかにも通じるのだろう。
でも、トゲトゲだけ残ったら、
それはただの偏屈であり、極まると癇癪玉にもなる。

同じ職場に長く勤めるとよくない。
制御不能になる。
このジンクスというか、流浪の民には不治の天敵。

最近、自分で自分の癇癪にビックリするもんなあ。
リセットする。
できるだけ他人に逢わないですむ所にいくしかない。
どうやって修正すればいいのかわからないもの。

だから、結構困ってます。
もしかしたら敷かれちゃうかもしない諸々のことに。
常識や普通と云うものに呑まれることに。

なので鎮静剤かわりになるもの。
ある種尖端で、ある種大勢を容易に包みこめる力を持ったもの。
両立することは厳しいスタンスをやってのけた
二つの作品に出会いました。

路地裏第一区 ―ムライ作品集― (IKKI COMIX)路地裏第一区 ―ムライ作品集― (IKKI COMIX)
(2012/07/30)
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この繊細なタッチで仕上げられた不可思議な生物たちの集まる世界は
何度も何度も読み返させてくれる。
エドワード・ゴーリーとか、西岡兄妹とか、遠く岡田史子も連想させるけど、実は底流が非常に優しいもので包まれているので、毒が毒として発効しないまま、すっと咽喉の奥で融けてしまう。
決して、むき出しの刃でこちらに向かってこない。

漫画を
精神を切り刻むエキセントリックな物差し一辺で
計りうることはできないのだと、強く認識させるもの。

この隠された毒は
黒死館に出てくる「砒食人アーセニック・イーター」ではないけれど
微量であれ飲み続ける砒素が体内に蓄積し
その人が奥底に抱えていた、何かしら「聖なるもの」と
奇妙な融合を続けてゆき
そして多くの人に幸福な化学反応を示すような気がする。
これは、「稀有な大衆化」だと思う。

あやかし古書庫と少女の魅宝 (1) (REXコミックス)あやかし古書庫と少女の魅宝 (1) (REXコミックス)
(2012/07/27)
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鉄壁の水木ワールド再構築。
ルビの洪水に含まれる、相当な衒学趣味に驚いた。
そんじょそこらのファンタジーなんて蹴飛ばしてしまう。

全然美女には見えない
(なにしろ水木絵そのままですから)
美少女といわれる二人の少女+吸血ガールにやいやい唆される
典型的な巻き込まれ型古本少年のかわいさよ。

でも、実は本編以上に面白いのが
各話の最後につけられたヒトコマ漫画のツッコミなんですよ。

この表情は、この街の描き方は、
たしかに水木漫画で観た筈とニマニマしつつ、
一方でこの顔は水木漫画の流れにあっただろうか
とウンウン唸ってみるもよし。
こちらも、繰り返し心を緩ませることができるのでした。

二巻で完結しております。
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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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