2017-06

泥かぶり灰かぶり

今日のお昼の「ウチくる?」に高橋ひ○みが出ていて、「ふぞろい」関係の(私は一度も見たことがなかったドラマだけど)お友達やら何やら、一杯参加していて、それはそれで微笑ましかったのですが、(某石原さんが出るのではないかと戦々恐々としているところも可笑しかったのだけど)何より、彼女は「天井桟敷」からデビューした人で。
それで、若松○史が来たら、泣いちゃってね。

私は、ある種のオオオオと低い唸りを上げずにはいられなかったのだけど。
「天井桟敷」とか寺山周辺というのは、私には総て過ぎ去った後の残像を手のひらに載せる行為しかしたことがないので。
映画祭に行っても、歌集や図録を開いても、遠い遠い空白県空白村の出来事で。
だから一時は夢中になったけど、今は一年に一度ぐらい、古書市で(自分にとってだけ)新しい資料を捲ってみるような風景なのです。

だから、殺しちゃいけないのだけど、若松氏が生存してそこにいるだけで、ひどくぶっ飛んだ。
そして、彼からひとみさんへの手紙がすごく良かった。
子供を持たなかった寺山さんの何千人のファミリーの、ひとみちゃんは末娘で、若松さんはできの悪い兄貴なんだそうだ。
そして、真珠のように真っ白だった彼女を、「アングラというどろどろした世界の外に出してやれてよかった」ってね。
なんというか、そうか、アングラの中に居る人は、自分たちがどろどろしていると認識していたことに、少し衝撃を受けたのです。
綺麗な人ほど、純粋な人ほど。
つまりは若さに一端をもつ美しい者たちが、無心になって泥まみれになることを、私はある種憧れていたけれど、泥の中で、あの白粉の中で呼吸をした人たちが、その旗手自身が、そんな風に感じていることが、とても不思議に思えました。
切ない未満、安堵未満。

ちゃんと泥の中に突っ込めなかった人間は、一度も澄むことなしに終わってしまうのかな。
こんな風に何かが見えかかっている気がする日は、何かお話を書かなければいけない気がする。


****************
ここ二、三日考えていたこと、教えて貰ったこと、見たこと。
暗すぎるので反転。

誰も分かってくれないと思うより、誰しもたとえ似ていても同じ考えの人なんて二人といないと思うようにしなさい。
そうかもしれない。
そうしよう、しばらくは。
そしたら、悲しくない、多分。

子供を産む人も、産まない人も、みんな全部違う理由があるはず。
それでいいんだと思おう。
絹子にとって、血縁とはただの運命の巡り合わせであって、なぜあの人が母で、あの人が父なのか、あの子たちが妹なのかを考えるのは、全くの思考の無駄なのだ。
だから絹子は二人っきりでいる。
自分の意志で選び取った人にだけ、一生を捧げる。
選び取れたことに、選ばせてくれた神様に最大の感謝を捧げる。

怖い夢。
想像は表層の意識であって、必ず思い描いてはならないと堰を設けるけれど、夢は内側から掻きむしっては、剥がしとる。
ひどい暴力には違いないけれど、明らかな自浄作用でもある。
だからこの恐怖を夢の水位にまで引き上げてくれたことに感謝する。
そして、夢がどんなだったかを語ることで、絹子の恐怖は一枚一枚剥がれてゆく。
聞いてくれてありがとう。

もうひとつ、寺山つながりで思い至ったこと。
昔、相模原のアパートに、設計士さんがやって来ました。
昭和三十年代生まれのその人は、「天井桟敷」をリアルタイムで眺めることが出来た人でした。
「寺山好きなんですか」
「仮面画報」やその他沢山の資料を本棚に見つけて、尋ねてこられた。
私は、ただにんまりと笑っただけ。
本物を見た人には叶わないと思ったから。
でもね、その時、隣にいた人が、「好きですよ」って応えた。
びっくりしたね、内心、この嘘つきめって思った。
だって、何も知らない人だったから。
知ったかぶりしたことに、怒りよりも不信感で一杯になった。

絹子は当時も沢山好きなものがあって、好きな本があって、好きな音楽があったけど。
一度だって、読ませよう、聞かせようとしたことがなかった。
一方で相手が好きなものはいくらでも話を聞いて、いくらでも遊びに付き合った。
それが奇妙な友情を生み出してしまう引き金になっていたともいえる。
なんだか今日急に、ひどく残酷なことをしたと気づいた。
一度だって誘わなかったからね。
この人は絶対分からないって、線引きしていたんだって。

そういえば、「教えて欲しかった」って泣いていた。
「製本の手伝いが出来て、楽しかった」って泣いていた。
残酷だったな。
本当にひどいことをしたな。
線引きできるほど自分は何も知らないのに。
寺山のことも、その他たくさんのことも、本当の絹子は何も分かっていないのに。
なんて偉そうで、なんてひどい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。

絹子はやっぱり、どう言われても、償いを続けなければならないのだと思う。

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