2017-11

ヴィクトリア朝の残滓

プリーズ、ジーヴス 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)プリーズ、ジーヴス 2 (花とゆめCOMICSスペシャル)
(2010/12/03)
勝田 文

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随分前に出ていたけど、存在を知らなくて。
先日店頭で何気に掴んでしまい。
今まで素氏からウッドハウスは絶対面白いからと何度云われても、
ユーモア小説とかスラップスティックへの拒絶感があって逃げていたけど。

はまった。
はまりこんだー。
原作読むよ、これちょっとBL的にも捨ておけない関係ですね。
とかなんとか勝手なことをいい。
ついでに、栄光のヴィクトリア朝時代、貴族たち上流階級者たちが
のんびりお金の心配もせずに、子供みたくはしゃいでいた時代が
自分では何にもしらないくせに、妙に愛らしく映ってしまう。

また先日の辻邦生「トーマス・マン」の話に戻ってしまうけど。
1875年生まれのマンも、たった15年しか19世紀を生きていないけれども
自分は19世紀の人間だと言っていたことを思い出した。

あらゆる価値観が相対的に安定していた時期で、そうした安定に支えられた経済的、精神的な秩序が、成長率のほとんどゼロといった社会状況のなかで、永遠に続くと思われていたような時代」
120p

「懐かしき良き時代」とはドイツの「教養と所有という市民性の二大支柱の上にあぐらをかいていて、ひどくこまめな勤勉にも支えられ、市民的な安定のなかにあった」とマンが書いている
121-122p



皇帝ヴィルヘルム一世を頭においたドイツ帝国、
かたやヴィクトリア女王からエドワード7世と継がれたいったイギリス帝国。
嗅いだこともない、古き良き時代に匂いがここ一週間ほどで辺り一面に広がった。

そうこうしているうちに、また岩波文庫に手が延びる。
だから、原稿終わるまで長編はやめなはれ!
と自分を叱ってみるものの、海外文学むさぼらずにはいられず。
手にとってしまったのが、これ。

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)
(2009/01/16)
イーヴリン ウォー

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奇しくも、ジーヴスと同じ時代のイギリスが舞台。
ツンツンした執事も顔を覗かせ、熟れすぎた果実みたいな壊れそうなでも壊れない、佳き日々。
オックスフォードのコリッジcollegeで出会う若者たちが、
どれだけ馬鹿騒ぎしながら瑞々しい、終生続く友情を温めているか。
なんていうのも、ずっと共通言語になっている。

なにしろね、セバスチャン・ブライズヘッドという青年が可愛いの。
誰も彼を好きにならずにはいられないのが、ちょっと触れただけで分かるくらいに。
いつもテディベアと一緒にいる。
大切な景色、美しい瞬間をいつも「金色の壷」に入れてその場所に埋めて
いつか戻ってきて取り出したいと願うような人なんだ。

現在、中世付近で格闘している素氏に、ちょいと囁いてみる。
多分、いや絶対に。
このお話、【まぼろしたてもの】ですよって。
イーヴリン・ウォー『黒いいたずら』も意地悪たっぷりでよかったけど、
こっちはもっと素敵になるに違いない。
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