2017-04

yellow poison

なぜベストセラーになったのか非常に疑問なチボー家。
だってさー、ひどいんだもん、これ。
端的に言わせてもらえば、「下品」なの。
まるで日本のぐじぐじ私小説読んでるみたい。
これだけ期待させてくれて、と2012年に文句言っても仕方がないけど、
むしろこの生温い私小説感、わざわざ見なくてもいいどこにでも転がっている青年のダメダメさが、当時の日本の若者の風土にぴたりと来たのか?と思わせるような雰囲気。
素氏が絶対読まないよ!と云った意味が分かってきた気がする。

ジャック、ダニエル、アントワーヌというのが今のところ中心人物なのだけど。
特に主人公ジャック、この泣き虫男。
特にダニエル、すっかり父ちゃんの血を惹いてジゴロ感丸出しの優男。
最悪だ、最悪だよ、君たち。

たしかに、ハンス・カストルプ(魔の山)もダメ男だったさ。
訳の分からないクランケ仲間の毒素にやられてすっかり山を降りられなくなったさ。
でも魔の山には、清澄な空気が(サナトリウムだからじゃなく)
混沌の中にも一貫した美しさがあったのだよ。
あるいは悪に徹したっていい、狂気にさらされてもいい。
貫き通すもの、時間が経過しても個人を、その場所を一言で言い表せるような確たる「美」があるものなのだ。
佳き長編と云うものは。

人間だれしも状況ひとつで心も揺れる?
確かにそうだよ、そうなんだよ、現実の世界では。
昨日はあれが好きで、今日はこっちに行きたくて、右へ左へ、誰も僕に何もしてくれないけど自分でも何もしたくないな、あの娘が可愛いもうぞっこん、でもあの奥様も素敵って、、、。
知ってますよ、ほとんどの人間は、一生に一度も自分を変える出来事に出合うことなんてないのだと。
まあいいよね、今なんとなく生きてるから。
そういう首尾一貫のない人間がほとんどだということは分かってる。

でも、そのアホくさいリアリズムを見せられて、
チューばっかり見せられて、
一体この小説を読む喜びってどこにあるんだろうか。

デュカールは友達がジッドしかいなくて、チボー家も草稿から見てもらっていて、ジッドの「新しき糧」の引用がかなり出てくるのだけど。
その引用の効果のないこと、ないこと。

高野文子の「黄色い本」で女学生の主人公は寝ても覚めてもジャックと同化し、チボー家の人たちと呼吸をしていたけれど。
たとえ僕が中高生であったとしても、あんな風にはなれなかったはずだ。
それとも二巻以降にその素晴らしい何かが潜んでいるのだろうか。
以前ならもうここで投げてしまっていたけど、今は投げ出さないを戒律にしているから、取り敢えず読み進めてみる。
黄色い毒吐き再びにならないことを祈りつつ。

***

海月姫(8) (講談社コミックスキス)海月姫(8) (講談社コミックスキス)
(2011/09/13)
東村 アキコ

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アニメがあんまり面白かったので、現在蒐集中。
腐女子のシンデレラストーリー。
世界は自分だけでは完結しないんだろう。

これを読んでいると、オタクって非常に自分勝手だと思う。
それはオタクな自分がよくよく分かっている。
辛いことがあったら、自分の国に戻ればいいと思ってるし、「解決しよう」と動くこともないし。
電車の中で曇った窓硝子に点数盤書いてずーっと大声で野球解説している青年。
ホームで大声で演歌を歌い、合間にあほ!と叫ぶおっさん。
そういう人を奇異の目で見て見ぬふりをするけど、自分とどれほどの差があるだろうか。
口を閉じていられるというだけなんだな。

しかし、フジテレビのノイタミナって尖がった漫画をアニメ化してくれるのはとっても嬉しいのだけど、なぜいつもパツンって終わってしまうのかな。
アメリカのドラマのパイロット版のみで本編なしみたいな。
テルマエロマエ、全三回って。。。
ローマと日本、一往復ですか?
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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

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