2017-07

Rrose Sélavy

先週日曜日、初めてJR千葉駅に降り立つ。
「瀧口修造とデュシャン展」「実験工房の作家たち」@千葉市美術館に向うためであった。

駅から20分余り、市役所街区と駅周辺が離れているために、途中モノレールの不思議なうねりを放つ線路が横たわる空間は中空地帯になっていて、迷いながら到着。
市役所の上階に美術館が併設されているが、一階には旧川崎銀行千葉支店の一部が遺構として残されている。
丸の内の、乗っかり建造物よりもっと悲しい感じの、銀行の吹き抜けエントランスだけが包み込まれた構造。
今はさや堂ホールと呼ばれるその部分は鍵がかかっていたので、薄暗い中を覗き込んだ。

瀧口修造とか、シュールレアリズムとか、もう何度展覧会に行っただろうか。
僕は瀧口修造に思い入れが強いけど、素はあまり~な気分だったみたいですが、なにしろこの展示物の多さと、視点の面白さにとても楽しんでくれたようで、何よりでした。

瀧口の多面の中で一番僕が好きなのは、デカルコマニーとかロトとか、偶然の瞬間を切り取った作品たち。
粘度の高い絵具が油の浮かんだ水面から写し取られて、氷山の奥行をもつ美しさといったらないのですが。
漆黒に加えて落とされた薔薇色の耀きといったらないのですが。
今回もほんの少し展示されていて、嬉しかった。

今回はデュシャンと瀧口の交流ということで、沢山の書簡が公開されていました。
デュシャンは受け取った手紙を返信を書いたものから、捨ててしまったそうで。
たまに貰った手紙に直接返事を書いて、そのまま返信としていたそうです。
なので、瀧口がタイプした紙に、デュシャンが色々許諾の意思を書き込んでいたりして、面白かった。
そして、かなり積極的に、あれもこれもお願いできますかとデュシャンに頼んでいるのが意外でした。

女装したデュシャンは自身をローズ・セラヴィと呼んでいましたが、
瀧口はその名を自分の夢想するオブジェの店の名前に使わしてもらいたいとも頼んでいました。
それに対してデュシャンは、Rroseとrを重ねるのは意味があるのだから、綴りを間違えないようにと、アクサンを抜かさないようにと指示を出しています。
快諾の返信を受け取った瀧口は、店の看板となる"Rrose Sélavy"をデュシャンのサインからなんとしてもそのままプレートにしたくて、真鍮板の腐食処理を繰り返し依頼したといいます。

オブジェの店。
夢の中だけ、書斎の中だけで終わってしまうだろうけれども。
大切な書類や切り抜きを自装したり、どこかの街で見つけた小さなモノたちを並べて。
役には一向に立たないけれど、傍らにあると幻が広がるモノたち。
客は誰もおらず、たとえ間違って入ってきても、掌に載せて首を傾げて去っていくような。
いいなあ。
箱に詰められた漂流物シリーズ、リバティパスポートもみんな大好き。

まだ瀧口修造を知らなかった20歳の頃の僕は。
妹とよくこんな店のことを夢想していました。
僕たちが考えたのは、「マラカス屋」(笑)
世界にただ一つのオーダーメードのマラカス作製します。
なので、マラカスに描く模様を早々とデザインして、ディスプレイを絵にしていました。
展覧会会場を廻りながら、そんな時代のことを思い出していました。

そういえば、妹とお互いにカセットテープのA面B面に色んな曲を突っ込みまして、
その謎のコンピレーションアルバムにタイトルをつけるのも流行ってた。
今でも手元にある一本は、Neon of Sycophants.

閑話休題。

DSC_00891.jpg

超絶充実の図録と、パリから輸入販売されていた、キキちゃんのお尻。
このヴァイオリン、僕はこっそりtwitterでプロフィールに使わせてもらっていて、マン・レイの写真の中でも一番好き。
裏を返すと鏡になっております、可愛いです。

それにしても、瀧口関連の図録は表紙が真白コートなしになってることが多くて、保管に困る~。

あと、「大ガラス」の展示に今回も大笑い。
ちょうど展示の切れ目を曲がった瞬間にあの巨大鴉が出たので、噴き出しそうになりながら、後にいた素の元へ走った。

帰り、お目当ての古書店はお休みで。
どこもかしこも喫茶店が混んでいて入れず、ようやく駅近くで休憩して帰宅しました。

***

這ってでもいきたい展覧会メモ。

「村山知義の宇宙」@神奈川県立近代美術館 葉山館
2/11-3/25

「藤巻義夫展 モダン都市の光と影」@神奈川県近代美術館 鎌倉館
1/21-3/25

「今和次郎展」@パナソニック汐留ミュージアム
1/14-3/25

多摩美の「エリック・ギルのタイポグラフィ」もちょっと気になるけど、時間がなさそうだな。(1/29まで)
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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