2017-11

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ナチスと映画特集 その2

僕の第一次レトロ映画ブームは二十歳前後でした。

図面の色塗りとかプログラミングをやっていた、ちょっと変わったバイト先。
そこに一つ年上の農学部に通う不思議な先輩がいました。
その人が、僕にちょこまか映画の話をしてくれたのです。
借りた寺山の「草迷宮」「田園に死す」、怖かったー。
その後何度も観たけど、今でも夜一人じゃ観られない。。。
色々タイトルを聞いて、レンタルビデオで少しずつ変なものを観て。

そのうちに、新開地にある「パルシネマしんこうえん」に行くようになりました。
今でもちゃんと残っています。
値段を確認したら二本立て1200円のようですが、当時は700円くらいじゃなかったかな。
ファンクラブの人たちの手作り解説チラシが素敵だった。

現在は三番館的なラインナップですが、当時はもう少し名画座色が強かったような。
いや、もう20年前の話だから、当時は三番舘的にやっていても、記憶の中ではレトロに置き換わってるのかも。
TOHOシネマ系で午前10時の名画というのをずっとやっていますが、あの雰囲気に似ています。
だから、レトロだけど、王道洋画路線。
ジェームス・ディーンとか、英国の貴公子系とか。
薔薇の名前や、存在の耐えられない軽さなんか、長すぎて腰が完全に折れた記憶があります。

ま、再び、個人的に映画ブームが来て嬉しいってだけの話ですが。
腰が折れても、DVD出てても、映画館が幸せ。

***

土曜日、ナチスと映画特集に向かったのは、ほんとに偶々のことだった。
行き慣れてきた神保町シアターなど邦画路線がムムム・プログラムだったので、
それほど期待せずに、渋谷に向かったのでした。
でも、そのフラットな気持が、幸運を呼び込んだらしい。
「死刑執行人~」と同時上映が、ルネ・クレマンの「海の牙」で、
これまた終わって東急百貨店の前の道を歩きながら、足をがくがくさせちゃうくらいよかったのだ!

海の牙 [DVD]海の牙 [DVD]
(2009/03/19)
マルセル・ダリオ、アンリ・ヴィダル 他

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1945年4月某日、オスロから一隻のUボートが南米にむけて出発した。
潜水艦に乗り込んだのは、秘密指令を受けた将軍、ゲシュタポの二名、将軍の愛人とその夫、ノルウェーの学者と美少女の娘、フランス人新聞記者、そしてドイツ軍の潜水艦士、通信士たち。
このすぐにでも均衡の崩れそうな面子に、フランスで拉致されてきた医師・ギベールが加わる。
敢えて危険なドーバー海峡を潜行していくなか、ヒトラー死亡の打電が入り、
情報の錯綜と、それぞれの複雑な権力配分/愛憎劇によって、艦内は異様な緊張に包まれてゆく。

潜水艦の中って鉄板一枚の極限空間ですよね。
どんなに地上では豪勢な暮らしをしている人間でも、与えられる船室は狭いし、食事も限られている。
この映画の一番の見どころって、艦内の人一人が通るのも精一杯の通路の往来や
中央部にある動力源・ピストンの忙しない動きにあると思うんです。
すし詰めの空間、蒸し暑く息詰まり、荒くれの操縦士たちは汗を噴き出しまくっている。
体臭と油と食物と潮のまじりあった匂いがフィルムの向こうに、必ずある。

その手の届きそうな悪臭と同時に、人間の下劣な魂がむき出しになってくる。
それが、この眼鏡へちゃむくれジジイ(画像右)・ゲシュタポのフォルスター。

umikiba1.jpg

愛人を連れ込んではみたものの、ひ弱い将軍(左)を押しのけて艦内の指揮を取り始める。
ついに南米に着岸するも、手引きの裏切りによって、上陸が不可能となるや
残忍さをいや増してゆく。
給油してもらった船が潜水艦から離れるや否や、魚雷かまして沈めてしまう。
逃げまどう船員も、機関銃で撃てと命令する。
えげつない、えげつない。

ついでに、絹山視線でみると、
このフォルスターと部下のウィリー(中央)って奴の関係がどうも怪しい。
もはや崩壊したドイツに帰っても何もいいことはない。
南米で一旗揚げろよと、パイナップルひとつでほだされ、コーヒー豆の倉庫に身を隠す彼。
しかし、フォルスターは焦ることなく倉庫内を歩き、ばらばらと穴のあいたドンゴロスから
豆が落ちている場所へ足をむけ、震えて隠れるウィリーに一瞥をくれるだけ。
ウィリーはその視線ひとつで、犬に元通り。
このシーンの嗜虐的なぞくぞく感ったら、堪りません。

主人公(語り手)は、拉致されたフランス人医師で、彼もまた一瞬の隙をついて
脱走を試みようとするのですが、これが全て打ち砕かれていくわけですね。
大戦末期に、これだけ母国も目的も異にするアクの強い人間が閉鎖空間に押し込められて
一人ずつ、自ら死を選んだり、選ぼうとしたり、殺されたり、
どんどん人が減っていくのも、恐ろしさ満点です。

この映画の中で、唯一平静に事態を見守っているのは、
彼女(Anne Campion)だけかもしれませんねー。

umikiba3.jpg

日曜に観たタイトルは、また後日。
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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