2017-10

初心者はぽつぽつ潜る

震災のあと。
家に引き篭もっているのがしんどくて、映画に行こうとした。
僕がいつも参考にさせてもらっているのは、「魅惑の名画座」というサイトである。
おそらく通な人たちは覗いていらっしゃるだろうが、
僕も暇を見ては覗き、毎日のように何か面白そうなのやってないかと、眼を凝らしている。

3/20
計画停電華やかなりし頃(?)、停電を免れた都内でも
映画館は軒並み休館宣言がでていた。
そんな中、フィルムセンターは夜上映は休みだったけど、昼の二回は行われている。
名画座といっても、僕の触指がうごくのは、ミステリー風味や夢幻風味が多いので
えいやっとばかりに、休日出勤を済ませて、京橋に向った。

初めて訪れたそこには、大勢のおじさんたちが犇いていた。
どこもここも開いてちゃいねえ、けど映画が観たいぜな人たちの中に、
ルールも分らぬまま、500円硬貨一枚握り締めて、
二階の券売所につながる階段の列に紛れ込んだ。
フライヤーも掴み損ねて、開演30分前に中央の席にすべりこみ、
背後から、東電神話は崩れた!と大声で喋るおっさんの声に驚きつつ、
スクリーンが開くのを待つ。
どんどん混んでくるので、鞄を胸に抱えて、周りの人を観察する。
そうしていたら、眼の前の席に、確かに知っている人の姿を認めてびっくり。

映画は、鈴木清順が清太郎名義で作った「8時間の恐怖」というサスペンスモノ。
大きな体に大きな眼鏡で料理をつくる姿しか記憶にない、金子信雄が、
たまげるほどハンサムさんな護送される殺人犯の軍医で、
彼を含めたいろんな経歴をもつ乗客を乗せたバスに、強盗犯二人がジャックしにやってくる
ハラハラドキドキものだった。
キップのいいパンパンのお姐さん(利根はる恵)の奮闘で、敵をやっつけちゃう。
胸のすかっとする、あっという間の映画だった。

8jikannnokyouhu.jpg

映画が終って。
普段は、街中で知人に会ったら、遁走する僕なのに。
なぜか、その日は気分が違って、声をかけてみた。
すると、IKさんは、すぐにお茶に誘ってくれたのだった。
その後、仕事を上った素氏にこの出来事を連絡すると、
どんなマニアックな映画だ!と、爆笑のメールを送ってよこし、めでたく合流。

京橋/日本橋/東京駅の位置関係がいまだに分らぬ僕はふらふらとついてゆき、
運良く丸善で開いていた川瀬巴水のミニ展覧会を三人でのぞき、
最後は当然のごとく、居酒屋にしけこんで、オダをあげたのであった。
辛味に強いIKさんと素氏はロシアンルーレット状態の
一個だけ激辛味の入った弾丸コロッケを次々に口に放り込み。
どれが辛いか、いやこれがあたりかもしれないけど、ちっとも辛くないとニマニマし、
店員を唖然とさせていた。
なんとも偶然のなせるわざ、楽しい一夜でありんした。

さて。
それから三週間後。
4/10の日曜日。
平常営業になった神保町シアターは、「華麗なるダメ男」特集である。

日常生活では、矯正可能な(ここ重要!)メガネダメ男しか気にならない僕であるが、
なぜか、古い邦画の世界では、いわゆるニヒルなイケメンが好みなのである。
天知茂のムンムンキザっぷりが、今のところ一番なのだけど、
どこかに新たなムンムンがいないかと、覗きにいくことにする。
ダメ男かもしれないが、森繁も勝新もちっともニヒルでもムンムンでもないので、却下。
ムンムンたっぷりとチラシに書かれた山崎努の「肉体の学校」は日程が合わず、観れなかった。
そこで、少しはニヒルと予測され、内容が探偵系の「悪魔からの勲章」を観にいくことにした。

137.jpg
※このポスター画像は、大映の元副社長さんのHPから転載させてもらいました。
すごい画像がたくさんあります。→ジュニアー・ラッパ思い出のホームページ

ちっともダメ男じゃなかった、田宮二郎。
オープニングで彼のシャワーシーンから始まるサービスぶりに、噴きだしそうになる。
ストーリーも明快な割りに練り込まれていて、最後までちっとも飽きなかった。
江波杏子の美貌もまだ少し幼さがあるけど、ぞくぞくできた。
でも、田宮二郎には、ムンムンはこれっぽっちも感じられなかった。
なんというか、演技派でアクションもできて、
「あばよ!」も「○○だぜ!」もちっとも恥ずかしくなく決まるけど、
たとえこの作品のように善の側に立たなくとも、悪の色香からは遠い存在だ。
本人も恐らく製作サイドもその路線を狙ってるのに、どうしたって滲み出てこない。
それがなんだか可哀想だった。

映画が終って、首を回して凝りをほぐしながら、ロビーにあがる。
何も考えず、外に出ようとしたら――。
またもIKさんに会ってしまう。
IKさんの横には、何度かお会いしたいつも映画のちらしを宴会で見せてくださるTさんも。

お茶でも飲みましょう。
はい、喜んで。

待ち合わせの予定だった素氏も合流し、またも不思議なお茶会をラドリオで。
珈琲酒をちびちび飲みながら、映画の話を三人から聞きながら、僕はニマニマしていました。
よく考えれば、僕は初心者のなかの初心者で。
ちょこちょこ名画座に首をつっこみ、そこにディープに出没している人にあってしまうのは
偶然でもなんでもないのかも、しれません。
でも、また、幸せな深海の素もぐりを終えた後、偶然がおこると面白いなと思っています。
スポンサーサイト

連敗つづき «  | BLOG TOP |  » Never Let Me Go

プロフィール

絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
Twitter account:@quinutax

最近の記事

FC2カウンター

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

月別アーカイブ