2017-05

歯医者に行きたくなくなる映画べすと1

ホントは土曜も行きたかったけど、体力低下で引きこもってしまったため
日曜一本だけ行きました、神保町シアター。
現在「文豪と女優とエロスの風景」特集です!

爺様率・オッサン率高し。
でも綺麗な映画館ですよ。
僕もオッサンなので、いそいそと地下に吸い込まれます。
ここは地下の映画館で、スクリーンを見下ろす形式、頸が途中からグギグギになるのが難点かも。

観たのは、谷崎原作の「白日夢」。
歯医者さんで麻酔打たれて(昭和30年代は、腕に麻酔を打って抜歯だった模様)抜歯の恐怖で昏倒しちゃった青年の白日夢もの。
隣のシートで治療を受けていた女性に突如思いを寄せ、彼女が歯科医の情人になってしまうのを阻止しようと、もがくという設定を基点にしてエロチック映像が押し寄せる。

最初に歯科医院の模様が、かなりエグミをもって描かれて、怖いのなんの。
キュイーーンというあの削る音が、ゴゴゴゴと排唾管がなる音が、ベベンという三味線(琴?)の音と交じり合って、全編に流れているという。
窩洞形成も印象採得も、ついでに水が噴射されるだけでも、かなり怖い。
あー、歯医者さんに行きたくない!ベスト1に輝く映画です。

そして全編を覆うエロスが、微妙に中途半端であると。
むしろイメージとしてのエロス(歯科医の指が歯肉や唇を撫で回すとか、白い液体がどろどろと流れるとか)の方が、実質的なSMもどき(旅館の鴨居に縄で吊られるとか、意味不明の電線二の腕マキマキビリビリ実験とか)よりもまだ萌えます。

あと、個人的に最も文句が言いたいのが、路加奈子という女優さんの顔や肉体。
僕の印象は、往年のSMスナイパーとかのグラビアに出てきた、
素人に毛が生えたような、化粧とパーマが度ぎつくて、肌がざらざらで、
縛られてるのが、ちっとも気持ちよさそうじゃない、あのお姉さんたち。
映画最初に流れる、谷崎の推薦文では、綺麗でイメージぴったりとあったけど。
たしかに、上品な水商売風と云う意味ではあってるのかもしれないけど。
全くそそられない部分が多分にあると。

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歌は上手だけど(レコード結構出てます)、無意味な喘ぎ声を歌に挟むのは、、、、。
恍惚の白眼を剥いた表情が、エロチックというより、ホラー。
アンサンブルなんか着て正面からみるとさほど変ではないのに、
動くと首筋のラインがむむむ、貧乳・下半身ムチムチなので裸体がむむむ。
ついでに気だるいとか、為すがままというよりも、流されっぱなしの演技。
喘ぐならもっと喘ぐ!
おびえるならもっとおびえる!
本気出して欲しいのです。
特に、上りのエスカレータを全裸で駆け下りようとしては、あがっていくシーン。
何回、あがったら気がすむねん!

まあ、なんだかんだと文句を並べるも。
僕はとてもこの映画好きです。
スクリーンで見る事ができて、とても満足でした。
恐らく公開当時は散々に言われたであろうけれども。
これを日本のシュルレアリスム映画としてみれば、素晴らしいものだと思います。

夢に不条理はつきもので、その不統一な断片を難解になる直前で繋いでいく。
例えば、女は一面では焦がれる主人公に惹かれ、現況から逃げ出したがっているかにみえ
一面では、最後に呼ばれるように売女である一面をみせる。
同じ事象を別の視座で何度も撮り、
夢の中の巻き戻りきらない繰り返しのテープのような錯覚を吾々に与えてくれる。
あるいは
寝返りを打つたびに、瞼をとじるたびに、状況に少しずつ生れる変化を忠実に辿る感覚。

好感がもてるのは。
先ほどエスカレータと書きましたが、後半に現れる真夜中の百貨店のシーン。
僕はよく、子供の頃、絶対買ってもらえないベッドというものが憧れで、
真夜中忍び込んでは、大きなスプリングの上で転がる夢を良く見ていました。
(いまだにベッドって一度も買ったことなし)
野放図な展開とはいえ、奇しくも潜んだ肉体とマネキンの肌が合致してしまう空間
というのは、特にあの時代の人たちの「夢」を喚起するのもであっただろうと想像できます。
また45年前の銀座千疋屋(一階はフツーの果物屋さんにみえる)や林のような日比谷公園の画が
とてもいいのです。

最後の無関心の波打ち際で、
血まみれのナイフを握り締めた青年の、殺したんだ殺したんです!と叫声響く銀座の光景。
あんなに湿度の高い夢のなかで、ここだけがカサカサに乾いていました。

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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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