2018-07

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栞の怪

今週頭の体調不良はすさまじく。
同時にウツも三千世界の鴉も笑い出すほどの極みに達し。
仕方がないので、地獄の三丁目ショットバー(なんじゃそりゃ)
みたいなものをネットの渦の中に作成し
これからはフラッシュバックやあらゆる嘔吐はそこに流すことにし
ようやく汚穢の中から少し頸をもたげた次第。

以降ここは「当たり障りのすくなめ(ゼロではなく)」「毒の少ない(ゼロではなく)」
別の意味で薄暗く、投げやりで、何の役にも立たない呟き所となる。
っていままでも、役に立たないのは同じですけどねー。
まあ、僕は心底酩酊したことが一度もないわけで
つまりは、酒を飲んでも飲まなくても、喋った罪を忘れない、わけで。
(うわ!大嫌いなアダチミツルみたいな喋りだ)

先日オオタヒカリ氏が、言語の始まりの始まりを探る先生を訪れた際に
言葉は求愛の歌が発端だった説をとる先生に対して
「僕が言葉を発しつづけるのも、求愛行動な訳です、世界に向けての」
とかなんとか、切なくも語っていたのを横目に見ながら
なんて衒いのないと、羨ましくも想い
同時に、僕は世界への求愛がないから、言葉を究極は信じていないのかもね
とか思ったりして。

いや、言葉とひとくくりにしても、
喋る、声に出し、表情と音調とリズムで刻む喋り言葉を、全く信用していないので。
酒を飲んで、ツルンと口から出した言葉で
二週間は、死ねると(笑)
書き言葉にしても、いったん公開の憂き目にあえば、
ジワリのはずの言葉もツルンに変ったりしてねえ。
後悔ではなく、なんと醜悪であることよと思うわけであります。
なので、地獄の三丁目で、ヒロポン齧ってカストリでもチビチビやって、
沈んでは浮かぶ、沈んでは浮かぶの繰り返しでもしてればいいわさ。
ってな話。

***

さて、遅々として進まぬ作業。
いやむしろこっちが俺の本業だといいたいんだけどねー。
冬コミすら危ういぞっと。

その作業で一ヶ月近く持ち歩いている、小栗虫太郎『成層圏魔城』桃源社。
ようやく終盤にさしかかってきましたが。
この本に奇怪なことが。

いったん話はずれるが。
春の一箱古本市で、「痕跡本ツアー」みたいな企画をやっていた。
痕跡、つまり、書き込みや蔵書印やその他もろもろの
かつての持ち主の何らかの痕跡が残る、
いわば古書的にはマイナスになりがちな部分に光をあて
面白い軌跡を探ってみようと、数人の若者達が箱をさぐっていた。

土曜日に、やや高尚のきらいがあり、価格も高尚な
講談社文芸文庫「戦後短篇小説再発見10」を100円で掴んだ。
ぱらぱらとめくると、一編だけに段落頭に数字が打たれたりして、
どうも読書感想文系?の痕跡を感じたのだが。
最終頁に近いあたり、再発見シリーズの一覧中央に、書かれた文字に。
大失笑。

鉛筆で、丸でくくって

【空腹】

そーかー。
これも立派な痕跡ねー。

さてさて、『成層圏魔城』。
その内容は、虫太郎のマレー・ラブ・マレー・マイ・ユートピア爆裂
でかなり中盤からお勧め作品が多いのですが
それはそれとして、いずれ語るとして。

この本にも痕跡が残されていた。
書き込みではなく、蔵書印でもなく、もっと不気味な。

最初は、紛れ込んだのかな?と思ったわけです。
でも、異常に数が多いんです。
時々、四つとか綺麗に並んで張り付いてるんです。
タイトルの下に、まるで★★★★みたいについてたりするんです。
微妙に不快なので、手で払ったら、簡単に吹き飛ぶんです。
でも、油染みが残るんです。

何がって?
、、、毛なんです。
三センチくらいの、黒々とした、毛根しっかりした(ぶるぶる)。

だんだん気になって観察すると
明らかに自然に抜け落ちたものではなく、
故意に引っこ抜いて、そこに並べたと思しいのです。
しっかりと貼り付けた意志が感じ取れるのです。

これはどこの毛でしょうか?
雰囲気、長めのマツゲか、眉毛か、、ハナ、、、ゲ?
ちなみに縮れはありません(笑)

彼/彼女は付箋が、栞がなかったのでしょうか。
それともお気に入りの作品に印をつけるには
自らの肉体を切り離さねばならなかったのでしょうか。

実に不気味です。
想像が膨らめば膨らむほど、怖いです。
これだけ本数があれば、余裕でDNA回収できますが、
犯人の予測も立たないので、鑑定できません。

そもそもこれは最後に入手したのだが、
約三ヶ月前、日本の古本屋さんを通じて某古書店から届いたのでした。
検品したのかなー、しても見つからないかもなー。
一頁一頁捲って読み込んでいかないと、見過ごしそうだもん。

さてはて、奇っ怪の栞の意図はどこにあるのか。
ホラーな気分を溜め込みつつも、
僕は鋭意作業を漸進させねばなりません。
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狸穴幼稚園の図書委員

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