2017-11

小さなおじさん

雪が降ったり、地面が凍ったり、吐息が紫煙よりも深みを増したり。
冬は相も変わらず気持ちいい。

先週末はドタバタの十乗。
眼精疲労と肩こりの極み。
任務先と勤務先は三時間の距離。
土曜の昼、任務先で切っていた携帯の電源入れてみたら、恐ろしいメールが。
ツートントン、カクマクヤブレテ、キンキュウオペ、オペカイシ7ジマデニ、シートヨウイセヨ、トンツー。
いや、実際には出動できるかの打診だったのですが。
今回は青色申告準備で丸二日かかっても終わらないレシートの山、財務会計入力の山で。
上司と相談の結果、月曜休んで、勤務先まで往復することに。
移動時間だけでも6時間が消えました。
結局月曜の朝も徹夜して、パソコンに向かう羽目に。
ついでに、その財務会計ソフト、なぜか今時DOSモードで動くので、保存先がFDそう、魔のAドライブしか選べない。
さらに、OSがMEなせいかUSBが怪しく、外付けFDドライブ認識がめちゃくちゃ怪しい。
まるで呪いのSCSI接続のように、再起動しないと抜いたと認識できないとは、いかに。

で、電車に乗る時間が長すぎて、膝下クラッシュ症候群ですが。
三冊本が読了できたので、よしとしよう。

***

年明けに会ったJ君から昔聞いた言葉の一つ。
「おじさんが、アリャマタ先生だったら、どんなによかったろう」
そりゃ素敵だと、当時僕も同意したものだった。

そう今回のキーワードはおじさん。
おじさんといえば、X年前、小さいおじさん事件があった。
当時僕は、一人暮らしするために、住まいを探しておりました。
で、当然必要になるのが、保証人というもので。
一人暮らしの理由が他人には明かせない類のものだったし、加えて親兄弟は他人同等な僕にとっては、かなり厳しい状況。
その時、「おじさん」として署名したのが素氏でした。
ええ、叔父でも伯父でもなく、本当は小さなおじさん=小父なのにね・笑。
しゃあしゃあと、親類風を吹かせて、言わなくてもいいことまでぺらぺら不動産屋に喋っていました。
ついでに、この転居先が、素氏の当時の勤務先の目と鼻の先にあったのは、偶然かくも恐ろしやという蛇足。

で、おじさんとは、頼もしい導き手であるというのが、共通の認識でありましょう。
美しい絵、愉快な本、綺麗な映画、趣味のあれこれ。
勉強なんてそっちのけで、無責任に一緒に遊んで、世界の扉を広げてくれる。
血が繋がっていれば、一応お互いに離れにくい「理由」もできるけれど、本当のところ子供たちにとって血は関連付け程度でいい。
又従兄弟の奥さんの又従兄弟だっていいわけです。
二町先のクリーニング屋さんだっていいわけです。

その世界の扉がひとつでもあれば、僕たちは外を見ることが出来る。
自分で遠回りして無理に開いた扉をばたんと閉めて、また走り出すことを繰り返した少年少女たちは、いつかそんな面白くも無責任なおじさんを探しているのです。
そう、走り回った人にこそ、おじさんは輝いて見えるのです。

さてと、年末にとまっていたミステリーランドの感想を再開します。

ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)ステーションの奥の奥 (ミステリーランド)
(2006/11/09)
山口 雅也

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山口雅也作品は初めて触れたけど、中盤までは非常に面白い展開になっている。
同居するおじさん(屋根裏部屋で本に囲まれて暮らすところなんて、わくわくするね)と共に、夏休みの自由研究「東京駅の秘密」を調査するため、東京駅のステーションホテルに宿泊し、最初はおじさんの友人の駅員に案内されて、後には二人きりで駅の秘密の通路を探り始めるといった具合。
霊安室に繋がる通路とか、障害者専用の通路とか、
で、奇妙に損壊された死体が発見され、密室もできあがり、おじさんも密室から消えてしまい。。とさらに読者は、この大風呂敷に広げられた謎にますます期待を膨らませるのだけど。

うーんとね。これ謎解きがいわば超現実手法なんですよ。
ありえないことも、それを信じるならありえてしまう、という奴。
エロイムエッサイム状態に入った瞬間など、僕はかなり引いてしまった。
しかし、この解答を得るまでに、少年少女はミステリマニア(なにしろブラウン神父ものまで大人版で読んでいる。チェスタトンを面白いと言える小学生って、凄すぎる)よろしく、心理トリックの検証まで大真面目に行っている。
詰めるときは、詰める。
過程を楽しむという意味では、かなりよく出来た筋立てで、結果になんじゃこりゃ!と怒るも笑うも人それぞれだろうけど、こういうのもありなんじゃないかと思います。
恐らく謎解きに対する感じ方は、子供だったら納得し大人だったら反感を感じるとかではなく、ほぼ趣味の問題だろうから。
謎解きは別にして、大好きなおじさんが少年の側にもういてやれない状況になってしまう別れが最後に描かれていたことが、非常に好ましく思えました。
一方で、この人の描く子供像はやや薄っぺらな感があり、子供は子供なりの意識の流れをもっと描くべきだったと思うし、たとえチェスタトンが楽しめたとしても、何かしら子供としての思考回路があってしかるべきではないかと。
体が小さい大人みたいな雰囲気でしたから。
おじさんとの別れにも、もっと感傷的な部分が欲しかったというわけです。
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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