2017-10

蒼ざめたヘビタコ

今日も精一杯頑張ったぜ!
室内にいて寒風吹き荒れるクリーンベンチ前で寒さと退屈(?)さで意識が遠のく。
二時間顕微鏡覗いてごそごそ擦ってたら、そりゃもう。
しかし、報われない感が強いお仕事だこと。
喫煙所によくくる入院患者さんがいて、色々な要素から僕が作ったものを使ってる人なんだけど。
直接対面することは叶わない関係だから、あーと思う。
それだけ。
ドクターとか看護師さんは、その点別の責務もあるけど、リアクションがあっていいなと。
ま、臨床苦手な僕としては、表の面だけを見て文句をいってもしょうがない。

そんな文句たれの僕に一喝の文章。

謹慎の二字を生涯の守りとしていた翁にあっては、おそらく周囲のものに対しても滅多に愚痴も不満も洩らさなかったであろう。しかしこれは多弁と沈黙とを以て決定せらるべき問題ではない。俎上の魚が叫ばぬというを以て、かれに不平が無いと認めるのは人間の手前勝手である。翁はおそらく叫ばなかったであろう。叫ばなかった所に、我々は無限の悲痛を感ずるのをとどめ得ないのである。
p175



江戸のことば (河出文庫)江戸のことば (河出文庫)
(2003/06/05)
岡本 綺堂

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本日読了したこちらの一冊から、綺堂が河竹黙阿弥について語ったエッセイより引用。

まあこの文庫、タイトルから想像するよりも、かなり雑多な寄せ集めエッセイ集にも思えますが。
一応綺堂が、江戸、江戸時代から明治を跨ぐあれこれといった視点が中心になっているのかも。
未読の怪談が3編入っているのが、儲けものといったところでしょうか。
なにしろ我が家のすぐ脇を流れる小名木川、そして猿江を舞台にしたカワウソ嫉妬譚が哀れに怖ろしかったので、ついつい必死に素氏に筋を語ってしまった。「深川の老漁夫」
イメージとしては、ガンバの冒険のノロイのように怖ろしい。
しゃーーっっっ。
あと、不忍池の鯉に祟られて、鯉のぼりに絞め殺される話も凄かったです。

で、「甲字楼夜話」という雑記帳めいたものがあって。
これは綺堂が15才の砌より見聞したあれこれを蒐集したメモから抜粋したということなんですが。
やはり「甲子夜話」を意識したタイトルなのかしら。
って調べてみたら、綺堂が麹町の自宅を「甲字楼」と呼んでいた。。。って全然関係ないじゃん。
僕が自宅を狸穴(まみあな)って呼ぶのに、、、似てない似てない。

それはさておき。
どれも短い、おや?と思われる味わい深い事項が出てきます。
その中で絹山の興をそそったのが、「蛇蛸」という項目。
馬琴の『兎園小説』に登場する出雲の蛇が蛸に変化するという記載が気になった綺堂は、
実際に出雲の人に尋ねてみたそうな。
それこそ悲哀満点のユーモラス。

この事甚だ奇怪なりと思いて、或時出雲の人に糺したるに、同地にて昔より左る伝説あり。即ち蛇が海中に入りて、半死半生の体にて浮かぶこと六、七日、次第にその形が変わりて蛸と変ず。これを蛇蛸と云いて食う者無し。蛇蛸は普通の蛸に比すれば色甚だ蒼く、脚は六本或は七本にて、満足に八本揃いたるを見ず。されば同地方にては脚の不足せる蛸を見る時は、或は蛇の化身ならんかと危ぶみて一切口にせずと云えり。動物学者の説を聞きたきもの也。
p65

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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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