2017-08

融解力

えー、今夜からチャンネルNECOで天知茂の雲霧仁左衛門が始まりまして。
ビデオ録画しつつ見てしまう。
さすがにしぶいわー、天知茂。
荒井注が目明きだけど按摩に化けて潜入し、当然ながらオトボケ役になっていた。
火付盗賊改方長官の田村高廣との対決も際どい感じで、この先楽しみです。

あと別チャンネルですが、石坂浩二の「平四郎危機一発」も始まり、ちゃっかり録画。
昭和42年放映開始ってことですから、僕が生まれるちょい前ってことで当然知るわけもなく。
でもモノクロ時代の推理ドラマってことで、かなり期待しております。
が、しかし、病気降板で途中から主役が、宝田明って、、、、。
どうも、サラリーマンNEOの印象が頭を駆けめぐり、困ります。

***

先日久々に丸の内線に乗ったとき。
お茶の水とか四ッ谷で地上に一瞬出ると、ホッとするねえと話していたのですが。

僕が通勤に使っている都営新宿線も、地上駅は東大島と船堀の二駅だけ。
で、なにしろ都心から離れる方向に進むので、いつも朝はがらがら。
だから、地上に出ると、対面の窓ガラスに壮大な景色が広がります。
なぜ地下鉄がここで地上に出るかというと、江戸川を渡る必要があるからなんですね。

ちょうどその二駅間で、江戸川を越えて行くのですが、その瞬間、河口ががっと開けて見える。
電車の高さが高速道路よりもずっと低いのと、朝霞が漂っていることが多いので、
千葉側の河岸上、褶曲しているカーブにそって走る首都高中央環状線の葛西JCTの手前に向う流れが、非常に不可思議な様に見える。
靄が幻を誘って、数段高い道路を支える柱が、ふっと消えて見えたりするので、まるでどこか未知の世界に向う道路のように浮遊して感じられるのです。

勿論、晴れ渡って遠く遠くまで見渡せる日も好きだけど。
本当なら歩きづらい今日みたいな雨模様の日には、余計にその風景が奇妙に目に飛び込んでくるので、いつもこの瞬間は、手元の本から顔をあげて、ぼんやりしているのでした。

***

ちょうど、おととい、「点と線」の再放送がありまして。
特別ヴァージョンということで、初回放映もちゃんとみたくせに、もう一度じっくり観ました。
特別といっても一時間ほど短縮されて、石坂浩二の解説が増え、内容的に「東京駅4分間のミステリー」に主眼が据えられた編集になっていただけですが。

僕は、あのドラマの中で出てくる、安田亮子の書いた随筆がとても好きです。
結果的には安田夫妻と遠く離れた香椎という地の繋がりを立証してしまった随筆ですが、二度目に聞いても、じっと染みこんでくるような素直で美しい音でした。
原作をもう忘れてしまったのでこの作中作が、原作通りなのか分らないのですけど。
もう一編登場する、時刻表だけで旅をするエッセイともども、ひどく印象的で、翌日から先程の二駅を通過するたびに、文言が鮮明に浮かんでくるようになりました。

ドラマの中で結核に冒された安田亮子に、鳥飼刑事が
「分っていても、先に逝ってしまって、夫が別の女と結婚すると考えると、堪らないものでしょう」
と問いつめるのですが。
亮子は、きっとした眼差しで、取り乱すこともなく、
「安田は私が死んだら、後を追うでしょう」
と答えるのです。

僕はこの言葉を聞きながら、ヒトをぐずぐずにしてしまう力を思い出しました。
その融解力は、力を及ぼすものが知っていても知らずとも、
いつの間にか、本当にいつの間にか、秘やかに広がっていくものだと、思い出し。
その恐ろしさを忘れておこうと思いました。
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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