2017-05

あの日のオシャレさん

お久しぶりです。
トリプルワーカーならぬ百足のわらじちゃんこと絹山は、この一ヶ月バッタバッタしておりました。
肉体疲労は募るものの、珍しく精神は至って健康なので、問題なし。
そして三ヶ月前から叫びに叫んでもぎとった夏休みが明日から始まるのであります。

が、しかし。
悪魔はフフフと笑ってくれました。
僕たちの猛烈な愉しみに対して、大嵐がぶっかぶるのです。
嗚呼、明治村が、近代建築がーーー。
伊勢湾台風並みって、なんですか、それ?
大嵐は大嵐でも、高校生の頃、部活の閑散期にやりまくった、あのウソツキイス取りゲームみたく、ふかしてどこかに立ち去ってくれればいいものを。
とはいえ、僕たちは邁進するのだ。
閉園にでもならない限り、猛然と村を巡るのだーー。

さて、最近読んだ本、伊藤俊二の「裸体の森へ」も滅法面白かったのですが。
なんで今までちゃんと読んでいなかったのか!の狂喜の一冊がこれ。

お・それ・みを 怪奇探偵小説名作選(3) 水谷準集 (ちくま文庫)お・それ・みを 怪奇探偵小説名作選(3) 水谷準集 (ちくま文庫)
(2002/04)
水谷 準

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なんて、おしゃれさんなの、君は!
「お・それ・みを」「空で唄う男」「七つの閨」といった青い虚無、青い絶望を裏返しにファルス的に読み込んだ第一部も勿論素敵だけど。
イマイチと呼ばれた第二部だって、そりゃあ面白かった。
水谷準は、ハイカラさんなの、おフランス小説読んでるみたいなの。
ピカレスクとは異なる仄かな悪徳の匂いを、ロマンチスト全開で包み込む。
第一部でその爽快な空中遊泳を楽しみ、第二部は、確かに舞台自体は俗っぽいのだけど、その浪漫の羽根で頁を繰らせること必至です。
そう、下手な恋愛小説よりも数倍ドキドキします。

あとね、彼はきっと絵がとっても好きだったのだろうと思う。
戦前からこんな風に自然に比喩の一端として絵画のことを頻繁に引き合いに出し、また登場人物に迷妄する画家が多いのも気にならずにはいられようか。
僕はよく短編を読んでいると、もったいねーと叫ぶことが多いのだけど。
それは、こんなプロットが壮大なのをギュウギュウに詰め込んで、長編にしろ!という意味なのだけど。
水谷準の場合、もったいねーと一度も叫ばなかった。
また氷川瓏みたく、同じプロットの使い回ししやがってーとも、叫ばなかった。
どの話も時代を超えて新鮮で、短編に凝縮された濃度が濃すぎず薄すぎず、拍手喝采なの。

一体このオシャレさんを放置し、有能な編集者としての側面ばかり光を当ててきたっていうのは、如何なものかと。
そりゃ拗ねて、そっぽ向いちゃったのも自明の理でしょう。


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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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