2017-05

たたんのたん

昨日の疲れが出て、午前中はぼんやりしつつも、サイトの通販ページを更新。
さっそく、「夜極」にもお申し込みをいただいたと素氏から声をかけられ
自宅にいながら、かーーっと恥ずかしくて俯く。
いえ、ほんと、ありがとうございます、こんな辺境/偏狂本に興味を持っていただいて。

日差しを避けるように、夕方から出勤。
さすがに誰もいません。
休出するとときどき、
エジプト人留学生がスカイプで日本語教室受けていてぎょっとするんですが。
それも相手が、70歳超のおばあちゃま先生なのです。
一度日本語検定のテキスト見せてもらったら、中学社会の教科書のレベルでびっくり。

ま、そんなことより、また本日カビカビ事件が勃発。
もう、どうやったらええねん!
夜11時回っても帰れません~~。
緊急オペで戻ってきた先生に、電話して、走り回ってる~。
元々材料がヒトの口から来てるので、怪しさ満載なんですが、文句言っても僕の責任だ。
とりあえず、明日東急の古書市にいく前に、出勤せねば。

***

いま、小沼丹と三島を並行して読んでいます。
三島は、「禁色」ね。
三島って、前から美文だと思ってたけど、この話に限っては、敢えて技巧的に、
ねちねち下品なほどの鼻につきすぎる美文なんだなあ。
あの同性愛の青年に契約を結ぶ老作家の自己分析が、黄ばんだ白髪の趣。。

小沼丹は、気になっていた、ミステリ「黒いハンカチ」から復活。
なかなか古本屋でも見かけないし、見かけても小沼本は高いのよ~。

黒いハンカチ (創元推理文庫)黒いハンカチ (創元推理文庫)
(2003/07)
小沼 丹

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小沼さんのミステリは、ほのぼのというか、
地面に手首が転がっていて犬が咥えていっても、生臭くないんだ・笑。
というか、謎解き自体、犯行動機に一切重きを置かれていない不思議な味わい。
あっさりしすぎていて物足りないといえば、その通りだけど、
日常に潜むミステリって呼ぶにも、ちょっと趣が違うんだけど。

懐中時計 (講談社文芸文庫)懐中時計 (講談社文芸文庫)
(1991/09)
小沼 丹

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で、素晴らしいのはこちら。
以前読んだ「小さな手袋」でも相当惚れ込んでいましたが、いまやメロメロです。
小沼丹は、眼鏡じゃないのかなあと思ったら、違いました。。。
非常に残念です、眼鏡文人三人目の大候補だったのにー。

小説は昔から書いているが、昔は面白い話を作ることに興味があった。それがどう云うものか話を作ることに興味を失って、へんな云い方だが、作らないことに興味を持つようになった。自分を取巻く身近ななんでもない生活に、眼を向けるようになった。
277p 著者あとがきより


私小説というジャンルは僕はかなり苦手で、
その理由は内面の吐露・仮託された心象風景が貧相だったり、あまりにも濁っていたり
あるいは素直に日常を描くという手法が、稚拙さを拭う術だとはき違えていたり。
だから、小沼さんの話は、私小説じゃなく、まさしくオヌマ小説なんです。
この本に収録されている昭和30年代に書かれた、小沼さんいわくまだ「面白い話」を
目指していた頃の「断崖」や「砂丘」は、じわじわホラーです。
その怖さは、綺堂の怪談に似た、答えのない足元がじんわり冷たくなる感触。
技巧的ではないけど、やはり読者を引き込もうとする腕が見えています。

一方、大寺さんシリーズ(小沼さん=大寺さん)は、もっと寂しくて
空気や風や川音や本来視覚に訴えないものが、色をもって穏やかな不思議を生んでいる。
頸を傾げたくなる、けれども時折誰しもが体験する
カミサマの悪戯的な偶然の重なり、運命の曖昧さが不可思議にみえてくる。
百間が語る空間の歪みに少し似ているけど、百間が角度10度曲がってるとすれば
小沼さんは、ほんの1、2度なんだ、曲がり方が。
その見つけづらい褶曲の隙間に、悲しさがしっくり収まっている。
さみしいなんて一言も言わない、けれど、薄いレンズになって挟まってる。

ほんと、僕はこういう黙した寂しさ、黙した絶望に弱いんです。
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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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