2017-10

アメリカ的なるもの

えー、指の怪我ですが。
先週頭にほぼ無理矢理、抜糸。
傷口がぱくぱくしていたけど、なにしろ手袋はめた作業が多いので、バンドエイドまで縮小。
昨日から、それも取って風にさらして、乾かしてます。
みんなから、えぐーー。。と非難の嵐ですが、着実に肉芽増殖中。

本日は、二週連続の週末返上で青色申告を仕上げた疲労から
(いつも思うけど、一年かけてやる仕事を三日でやるのが間違っている)
グダグダでしたが。
何よりカビを嫌う環境に、げにおそろしい黒い塊が大出現しておりまして。
綿棒やらエタノールやハイターやらで、格闘。
カビキラーはゴムパッキンにかけても根こそぎ分解するのはたやすくありませんが。
さすがにシリコンチューブvsハイター原液の戦いは二時間で勝負がつきました。
次亜塩素酸万歳!

ついでに色々大掃除。
体力は減ったけど、時間が経つのは早くて、よかった。
あー、そうそう。
今日初めて、自分が作ってるモノが、如何にオペで縫い合わされてるか、DVD見ました。
同時に見た白内障のオペがこわかったー。
しかし、すごい技術の結晶です。

で、おもむろに、昨日読了した本。
確か吉野朔実さんの本の雑誌掲載シリーズで存在を知っていた本。
ずっと頭の隅にひっかかっていて。
BOで100円で買ったけど。。。やはりその辺の値段が妥当かもしれません。

アインシュタインをトランクに乗せてアインシュタインをトランクに乗せて
(2002/06)
マイケル パタニティ

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僕の浅いアインシュタイン体験といえば、↓の我らが工作舎の二冊本。
プリンストンに集結した静けさのなかに小爆発を繰返す叡智たちの物語。
アインシュタインは既に神格化された存在で、むしろその存在をじわじわと匂いでかぎ取りながら
一切の実験を行わない理論を用いた頭脳討論が繰返されていた。
そんな惑星(こう呼んだら、本当はとても失礼なんだと思うけど)の方が
ずっと魅惑的に映るつくりになっていました。

アインシュタインの部屋―天才たちの奇妙な楽園〈上〉アインシュタインの部屋―天才たちの奇妙な楽園〈上〉
(1990/09)
エド レジス

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で、今回の本は。
もうロードムービーです、まさしく。
それもアメリカ的、極めてアメリカ的な。

アインシュタインの死後、彼の遺体を解剖する僥倖を与えられ、さらにはその脳を所有した一病理医と、脳を所有していることを知った著者の11日間の旅。
目的地は、アインシュタインの義理の孫(長男の養子)。
旅の途次、いろんな人に会う。
W・バロウズは、最晩年で、もうジャンキーの権化、行間からサイケ模様があふれそう。
80才を越えた病理医ハーヴェイは当然ながら偏屈で、幾度著者がねだっても、実際の脳を見せてはくれない。
いわく、彼は運転手にすぎないのだと。
そのくせ、著者の友達の家に泊れば、簡単に見せてしまい、中学校に講演会に寄れば、何百人もの観衆に見せてしまう。

ハーヴェイは自分に与えられた使命は、アインシュタインの脳は一般のモノとは異なると証明することであったようだけど。
そのために論文を漁り、当時著名な神経病理学者のもとに標本の一部を送ったりしていたが。
結果的には、神格化すべき脳は、通常と大きな差異を見いだすことはできなかった。
そのために余計にかたくなになって、来るべき日を待ちながら、老いを重ねても、脳を守り通していた。

電飾に溢れたモーテル、どこまでも真っ直ぐに続く国道、遙かな雲と焼ける夕日。
おなか一杯のアメリカ的な風景の合間に語られるのが。
そうむしろ唐突に挿入されているのが、アインシュタインの逸話(良くも悪しくも)、ハーヴェイ博士の生きてきた時間、加えて著者の生い立ち。

旅はついに長男の養子でクライマックスを迎えるはずだったけれど。
博士は、脳の入ったタッパーを故意に車に残して消えてしまう。
渡すべき相手にようやく辿り着いたけれど、肩すかしの言葉ばかりで、消えてしまう。
そして受け取るべきエヴェリン・アインシュタインも、受け取ることはできないと返してしまう。
最終的に、特別なものを、特別なものとして証明してくれると信じられる、別の病理医のもとに脳は託されることになった。

僕は、本書を帯に記されたような、「心にしみるノンフィクション」とは決して受け取ることは出来なかったけれど。
むしろ一冊の本にするために挿入された夾雑物に困ってしまったけれど。
最後に、ようやく守り抜いた、次に託すことが出来たと、長い呪縛から解き放たれた博士の安堵の声を読んだ時。
たった一人で解剖したという「僥倖」の重みを感じたのだった。

科学的な裏付けを欲する気持ちは、絶対の理を求める気持ちは誰にもある。
それは、この世に生まれて、何か形を残したいと願う気持ちにも通じている。
でもね、それは確かに生の活力になる一方で、
酷く自らを呪縛することにもなるんだよ。

うん、これは、僕自身への諫めの言葉でもあるのでした。
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Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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