2017-03

ロリポップ・ノスタルジイ

うーん。
眠りたいです、一日でいいから、爆眠したいです。
もう8月から、突っ走ってばっかり。
なので、今日は、とりとめもなく連想ゲームといきましょう。

黒死館の中にこんな一文が出てくる。

アルボナウト以後の占星学アストロジーでは、一番手前の糸杉と無花果とが、土星と木星の所管とされているし、向う側の中央にある合歓樹ねむのきは、火星の表徴シムボルになっているのだ。
SML355-6p



次回更新予定の「あ03」に含まれるastrologyは語彙だけとれば、別段曲者でもなんでもないけど。
ついでに引用箇所の惑星と事象の(根拠なき?)つながりを虫ちゃんがどこから引っ張ってきたのか、と欲目を出すともう止まらなくなる。
多分、ここなどを覗くと、惑星と星座、星座と石(誕生石)、植物、果ては匂いといったものまで、商業主義も後ろ楯になってある意味整然と表になっていたりする。

ちなみに僕は牡羊座で、火星とつながりが深いから赤が幸運を呼び、金属は鉄がよくて、植物は棘のある木、水仙にゼラニウム、スイカズラにチューリップと節操がない。
じゃあ、黒死館で出てくる、糸杉cypressはどうなのかといえば、牡牛座とてんびん座→金星、山羊座→土星と関係が深いようだけど。。。『土星と木星』にぴたりとは来ない。
無花果figは果物全般?に含まれるのかとか。
そもそも合歓ってPersian Silk TreeとかPink Sirisとか英名が呼ばれているようですが、よく分らない。

また惑星名は神話世界の登場人物だから、ここなどを見ると。
Saturn: fig, blackberry
Jupiter: aloe, agrimony, sage, oak, mullein, acorn, beech, cypress, houseleek, date palm, violet, gorse, ox-eye
なんて、一応書いてあるけど。
合歓ってどうなの、そんなマイナーな。
まあ、、、うん、、この場合中途に一致したからってどうにもならないのよね。
大事なのは、元々信憑性も根拠もない話題では、ぴたりと引用元が合って初めて検証がすんだ、と言い切れるのだから。

毎朝ニュースで星占いを見て、運勢がよければ裏返しに読み、悪ければきっとそうだろうとびくびくしているnegativeさんな僕も、占星術は少しは信じているらしい。
というのも、占星術には星の運行、位置関係という、変化する因数が含まれているからで、一体どうやってラッキーメニュー:ナポリタンとか導き出すかはおくとして、時々刻々変化する理由の最低限の裏づけを持っているから。
一方で、姓名判断や血液型に背負うべき運命の一端があるとしても、日々変化する運勢なんて、どう考えても納得できないのだ。
人が占いをするのは、概ね過去未来の行動の裏づけし、性格や起こした(起こった)事実の一部を転嫁したくて行っているのだろうとか考える。

で、合歓(ねむ)といえば。
僕の通っていた小学校の前には、「学校前」と呼ばれた文房具屋さんと喫茶店があった。
ちなみに、さらにその横には、有文堂書店という古本屋が今も残っている。

(そうそう、いつの間にか、こんな便利な神戸大阪古本マップが出来ていた!
帰省の予定は全くないけど、神戸も兵庫区以西は未踏の本屋さんばかりなので、覗いてみたいなあ。)

「学校前」は子供たちに大人気のお店だった。
正統の文房具屋さんであったはずだけど、必ず子供心をくすぐる商品が入荷されていた。
はっきり言って消えないけど匂いが素敵な、色鮮やかなソーダ消しゴムやフルーツ消しゴム。
多分元は製図用とかだったはずだけど、手垢で真っ黒になるまで捏ね回した練り消し。
冬の早朝の風物詩、全校生徒揃っての縄跳びに使われた蛍光なわとび。
綾取り糸に、20色もの芯が差し替え可能なレインボーペンシル。

でもその横の喫茶店には一度も入ったことがなかった。
以前書いたとおり、僕の育った町は繁華街なので、飲食店を生業にする家の子も多かった。
ビロードのソファと薄暗い照明に閉ざされたバーで、吐くほどコーラを飲ませてもらったり。
インベーダーゲームが並んだ喫茶店で、みよしららの「キノコキノコ」をソーダ水片手に読みふけったりもした。
でも、その喫茶店には同級生の家じゃなかったから、正面の校門横で蟻の家が売られていたり、学研のおばちゃんが「科学と学習」の勧誘に来ているのに吸い込まれていても、いつも素通りだった。
喫茶店の名は、「合歓」。
初夏になると店の前の高木にはふわふわの羽のようなものが広がった。
先がほんのり紅色がかって、もう半袖の時期なのに、綺麗だと思う以前に冬に広がったらもっと気持ちよさそうだと思っていた。
その木が「ねむ」という名で、漢字で書くと「合歓」と呼ぶと知ったのは、もう六年生くらいになってのことだったろう。

僕は小学校だけじゃなく、いつに時代も同じ空間に長く籍を置くことが苦手で。
一学年五十人にも満たない、学年の枠を超えてみんな幼馴染みたいな空気がかなり辛かったけど。
(だからこそ、中学も高校も誰も同じ出身校にならないような場所を選んだ)
それでも今の何倍も友達がいて、誰もが懐かしむようにあの頃は色彩に満ちた世界だったように思う。

チェスタトンのことを、単純に「嫌味」などと言ってしまったけど。
『詩人と狂人たち』『棒大なる針小』を読了して、それはたった一面に過ぎないと浮薄な表現だったと思っている。
まだまだ見えざる多面体であって、そんな中でも、読めば読むほど「可愛さ」が際立ってくる。
作風を何かしらの言葉で纏められれば、それはスタイリッシュかもしれないけど、
今はせいぜい「可愛い」としか言えないのだ。
(でも、「可愛さ」は僕にとって最大限含みのある勲章なんです)

『詩人と狂人たち』はガブリエル・ゲイルの人となりが後半に向かうに従って明らかにされていくと、ますます切なさが際立っていく。
奇妙としか呼べなかった第一話も、最終話からぐるんと見事な円環をなしていたことに、驚き。
実はこれが『木曜日だった男』で扱われた反政府主義を、狂気という、
一見『木曜日』の悪夢と同等に見えて正反対の残酷なまでに現実を用いて描いた作品だと分かりました。
さらに、とても禁欲的な優しい恋愛譚であることも。

チェスタトンの可愛さは、退屈を知らないということ。
子供のようにどんな仔細な事象に対しても、想像が溢れるほどの想像を生み出すこと。
おとぎ話を、色とりどりの置き去りにされてしまうものを、決して忘れないこと。

それは『詩人と狂人たち』の「紫の宝石」でゲイルが夢中になるソールトの店の景色に、嘘みたいに輝くお菓子のステンドグラスに現れている。
僕はこれを読みながら、あの指環の形をした大きなキャンディーを思い出しました。

「きっかけとなったのは、店のウインドウに並んだ色つきの菓子だろうと思います」とゲイル。「その菓子からぼくは眼を離せませんでした。それほど見事だったのです。宝石より菓子のほうが立派なのです。子供たちの意見ももっともです。子供たちはルビーやエメラルドを食べているのも同然なのですからね。さて、ぼくは、このウインドウの菓子がぼくに話しかけているような気がしました。そのうちに、何を語っているのか思い当たりました。あそこの菫色というか紫色の苺のドロップは、店の中から見ると、アメシストのように生き生きと輝きを帯びるのですが、外から見ると、光を受けて、かえってぼやけて光沢なく見えるのです。それに、同じ菓子でも、もっとくすんだ色のもので、外から眺めるお客さんの眼にずっと派手に見えるものがあるのに、それは陳列していないのです。ここまで考えたとき、ぼくは、ステンドグラスの窓を内側から見たいから是が非でも伽藍の中に入り込みたいといった人を思い出し、それと同時に、謎が解けました。
p240



この宇宙のいちばいいもの、いちばん貴いものは皆半ペニーで手に入る。もちろん、太陽、月、地球、人びと、星、雷雨、その他もろもろのものは別で、それはただである。もう一つのものも別なのだが、それはこの新聞では書くわけにはいかない。その値段は最低で一ペニー半である。それはそれとして、今言った法則が正しいことはじきにわかる。たとえば、このうしろの通りでは、今半ペニーで電車に乗れる。電車に乗るというのは、おとぎ話の空飛ぶ城に乗るようなものだ。それからきれいな色のキャンディも半ペニーだせばずいぶんもらえる。
 しかし、半ペニーでどれほど厖大な、面くらうほど美しく並んだ値付物が得られるかを知りたければ、きのうの晩私がやったようなことをやればいい。私は、バンシーの通りの中でいちばんものさびしいパッとしない通りにある、暗い光に照らされたちっぽけなおもちゃ屋のウインドウに、ぺったり鼻を押し付けていた。その四角な光は薄暗かったとはいえ、中は(いつかある子供が言っていた通り)神様がこしらえたありとあらゆる色でいっぱいだった。この貧しい人たちのおもちゃは、それを買い求める子供たちに似ていた。どれもこれも不潔っぽいが、また、明るいのである。私としては、明るさのほうが清潔よりも大事だと思っている。前者は魂にかかわり、後者はからだにかかわるものだからだ。
『棒大なる針小』p290「亡霊の店」


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