2017-06

日々是発見

毎日とても楽しい。
たとえ鬱になっていても、そんな気分。

色んなラボを渡り歩いたせいか、息苦しい劣悪加減はある程度知っているので
今の場所が、どんなにのんびりして、他人に干渉しない空間であるか。
だからとてもしんどいけど。
また9/19まで3週間以上ぶっつづけで、まったく休みなしだけど。
それでも、僕はなんとなく生き生きしている。

なので、そんな恵まれた環境でやおら他人の行動にキリキリ叫ぶ人がいると、
もう少し落ち着けないのだろうかと、昼休みは外に向かい、ipodを取り出して耳栓をする。
先日、キリキリな子(といってももう33才)であるところの、
いまだ専業主婦を夢見る困ったちゃんと
二人きりでお弁当を広げないといけなくなった。

困ったちゃんは、全ての休みをアイドル(古い言い回しやね)追っかけに費やしている。
ひどい言い方をすれば、受動的にお金を使って脳内欲求を満たし、
無為な時間を、無為でなく使っているという幻想を買っている人である。
僕と彼女の間には、全く通じることがない。
だから、恐怖政治に近い結婚・出産願望に対して、受け流す生返事の隙間に、ついつい棘を並べてしまうのだ。

僕は一日でも早く隠居したいと語る。
いつも笑われるけど、やりたいことが多すぎて、どうしようもないのだからしょうがない。
でも相容れない人は、必ずやこう返答する。
「何もやりたいことなんてない」って。

信じられない。
こんなに外には、Qが落ちていて、知らず知らずに不可思議な連携をしているのに。
それを見つけようとしないなんて。
こんなに内には、妄想と呼んでもいいけど、形になりたくてうずうずしているアブクが立っているのに。
それを取り出そうとしないなんて。
信じられないけど、僕はどうしたって「楽しんで」いる人しか好きにならない。

素氏は、そりゃあもう、遊びの天才である。
史上最高の楽しい玩具を手に入れて、三十年以上戯れているんだもの。
筋金入りの享楽主義者だもん。

最初は、即売会にでること、本を作ることが絶対嫌いじゃない、
いや、好きに決まっていると思ったから、僕の遊びに引き込んだ。
僕自身は、パッケージとしての本作りは純粋に楽しんできたけど、
中身を絞り出すことは、簡単に楽しいで済まない、泣いて泣いてのことも多かった。
けれど、素氏は、どんなに追いつめられても、赤青緑、炎の三色ボールペンで直されても、
ちゃんと黒死館と遊んでいる。

逍遙7号で文学関係の検索をやって、
いままた古代時計室の整備に携わっているうちに、なんだか僕も。
まぜてーーー。
になってしまいました。
黒死館語録、未発見の虫太郎が残した謎に答えるべく、連日楽しんでしまっているのです。

で、今日は。
毎日一、二個新しい発見をしては、プチ情報として素氏に自慢をし。
時々知ってるよと言われてむっとして。
でもしょうがないかとニマニマしているという、ただそういう状況のお話です。

本当に三十年の蓄積ってば、モノスゴイ。
結局、駆け出しの助手からすれば、虫語録というのは、点でしかないわけです。
通して読んだのは2回で、あとは例えば「眼鏡文人」を作る際に、登場人物にまつわる「修飾語」つまりは、どんな人なの?という各キャラ設定ばかり探ったことしかない素人には、
特にカタカナの未詳の語録は太刀打ちがなりません。
そして、その一単語は全く独立したものとして、検索の対象になりがちなのです。

しかし、長年この世界にどっぷりとトンスラが被ってしまうくらいに潜った人にとっては
全ての語が線で結ばれ、もしかしたら面にまで次元上昇しているのではと、毎晩唸らせられっぱなしなのです。
そういえば、素氏は、当初、黒死館の図面を引くという不可能命題に取り組むのを主眼にしていたのでした。
さすれば、線は面になり、面はいつかたとえ捻れた構造であっても、一個の確かなる三次元の建物が浮かび上がってもおかしくないじゃないですか。
さらにいえば、黒死館には、ただ算哲が世に生まれて、苦々しく法水が立ち去るまでの時間だけじゃなく、文献や語録が召還する時空があるんだもん。
四次元だよ!
いいなあ、この玩具。
本当に、助手の末尾に座らせてもらって、わくわくします。

で、話はまた長くなるけど。
ここの所の相次ぐ発見は、地道に古代時計室にUPしていますが。
まあ、誰も気づいていないでしょうけど、それはそれ。
いいんです。

例えば、グアリノという項目があります。
人名です。
『ナポレオン的面相』ファチス・ナポレオニカという書物を書いたという情報のみが存在します。
さあ、ここからどんな風に追いつめていくか。
ファチス・ナポレオニカというのは、どうやらラテン語のようです。
なので和羅辞典で、恐らくFaceに近い語で顔という言葉を探します。
FACIESと判明しました。
ナポレオニカはまあ、NAPOLEONICAで間違いないでしょう。
ここからGoogleのお世話になります、粘着気質丸出しで、食い下がります。
グアリノをカタカナのままで検索し、元綴りの候補を拾います。
Gualino,Guarino,Guallino・・・・。
まずは、書名だけで引っ掛ける、英訳されている可能性を考えて、Napoleonish facesなんてのも掛けてみる、さらに名前も掛けてみる。

で、ぐいぐい粘っていると、ぽっと浮かんできました。
ある論文が。
E.AUDENTINO & L.GUALINO. LA.FACIES NAPOLEONICA. (Atti del V Congresso di Psicologia, Roma. 1906; S. 674).
よっしゃ。
どうやら1906年ローマで発行された心理学関係の専門誌の載せられた論文のよう。
さらには、2007年発行の『Epilepsia』という専門誌に、この論文の要約が出ているとな。
こいつはドイツ語で書かれているじゃないですか。
昨今、Google bookという素晴らしいものが出来ていまして。
古い文献をPDFファイルでそのまま見られたり、テキスト化できたりするんで、大変重宝していますが。
それはさておき、これはなんとか『Epilepsia』だけは、中身をみることが叶いました。
で、ドイツ語を翻訳(勿論、翻訳サイトを使用)して。
ほうほう、どうやらてんかん患者の顔とナポレオンの顔に似通った点があるって言ってるらしいよ、
と、素氏いわくの、変態心理の中でもとりあげられていた、骨相学(とくれば菅原教造に通じるのねえ)と結び付く。

ついで、じゃあ、グアリノ先生はどんな人なんだと。
正しい綴り、Gualinoが分かったので、Psychopathologyなんてのと掛けて検索。
またぐいぐい押す。
名前はLで始まってるけど、本当はなんて言うの、知りたいよとね。
で、結局Lに続く名前は分からなかったのですが、彼の経歴を書いたと思しき、別の論文を発見。
しかし、ここで、論文の壁にぶつかって立ち往生。

そう、この壁は、いつも仕事で使うPubMedの論文検索でも散々やられているの。
FullTextが、有料会員じゃないと見られないと言う。
仕方がないので最終的には断念しましたが、どうやらグアリノ先生は、イタリアの野戦病院で兵士の心理状態を研究していた人みたい。
ね、面白いでしょ。

で、今日気づいたことなんですが。
今までの検索方法(元綴りをカタカナから想像して、ひたすら餌をばらまく)に加えて、WIKIの活用が充分でなかったと思い至りました。
最近は、思わぬものでも、英語版WIKIには出ているので、関連サイトとしてあげさせてもらっているのですが。
よくよく考えると、WIKIは人名に強いと感じています。
で、GooGleで、闇雲に元綴りが何通りも考えられる中、人名かどうかも分からないものが浮かび上がっているものを掬い上げるのは、かなり大変。
だったらと思って、WIKIでこんな技を使いました。

対象は、グロースです。
犯罪心理学の開祖、ハンス・グロスについてはよく知られていますが、こっちは「古代軍器書」という本を出した人という情報しかありません。
虫太郎はハンス・グロスについても、グロースと一箇所音引きを使っていることもあり、同じGrossかもしれないけど、Glaus,Gloss,Grose・・といった可能性もあります。
そもそも、GrossもGroseも世の中いっぱいいるし、「古代軍器」なんていう怪しい語も、Ancient Armsとか、色々考えられてなかなか絞り込みが不自由です。

そこで、WIKIでGross(Surname)という技を使ってみました。
つまり、同じグロスさんを全て一覧で見せて貰って、生没年、職業をだだだっと眺めることが出来るわけです。
(ただし、数人以上同じ名字の人がいないとSurnameは使えないみたい)
虫太郎が参照した可能性は、少なくとも1930年以前に活躍し、「古代軍器」という本を書くジャンルにいる人。
歴史家?軍人?あるいは・・・?
で、このページです。

見てください。
Francis Grose (1731-1791), antiquary and lexicographer
おおお!
怪しい、このフランシス君!
アンチーク蒐集家だよ。武具蒐集やってんじゃない、君?

そして、開かれた彼の説明の中に、
a Treatise on Ancient Armour and Weapons
!!!これだ、これにちがいない!
ついに発見です。

しかし、虫太郎が「新青年」に連載していたのって、1934年ですよ。
もう、虫ちゃんどうやって調べたのよーーー。
という驚喜の叫びなくしては、この楽しい遊びは始まらないのでした。

ほんとごくごく一部の人にしか意味不明な話で、すみません。
あ、そうそう。
おまけですが。
もしオーストリアに行くことがあったら、行ってみたい場所。
ハンス・グロス博物館

DSC_0139.jpg

なんか、怪しい凶器とか指紋関係とか、薬品とか並んでるみたい。
見学の子供達、めっちゃ楽しんでるよ。
面白そう!!
スポンサーサイト

● COMMENT ●


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://quinutax.blog35.fc2.com/tb.php/116-8a49a0be
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

こむらかえって身悶える «  | BLOG TOP |  » 二度とない奇跡

プロフィール

絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
Twitter account:@quinutax

最近の記事

FC2カウンター

カテゴリー

リンク

このブログをリンクに追加する

ブログ内検索

月別アーカイブ