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2024-03

正木博士に捧ぐ?

チャカポコチャカポコ。
ブーン、ブーン。
チャカポコチャカポコ。
ブーン、ブーン。

とある研究室の夕暮れ時の出来事である。
普段、実は同じ年だが、冗談など滅多に吐かぬ上司が、こう問いかけた。

「ねえ、ア○バンク太郎って知ってる?」

アイバ○クはこの研究施設の総元締めの名称である。
は?と首を傾げた絹山研究員に、すかさず合いの手を入れた、こちらは日頃から少々度が過ぎる冗談人。

「週に一回、一階で太鼓を叩いてるんですよお」

ああ、例の最近閉店した浪速の宣伝マンと引っ掛けてる訳ね?
でも、ア○バンク太郎って、なんのこと?
上司の顔を見ると、どうやら真面目に云っているらしい。

「??いや、、知りませんけど」

だがその時、絹山の脳裏に、前任者の道具が置かれた棚の一角にひっそりとある、発泡スチロール製のアイスボックスがふっと過ぎったのだ。
その箱には、確か『太郎と次郎の家』と書かれていた。
結構なんでも探りたがる絹山であるが、以前の職場で『マウスの家』と書かれた段ボールに、ただケージが詰め込まれていて、なーーんだと落胆した経緯もあり。
小さいながらも、どうせ何かそういった類の道具が入っているのだろうと。
深くさぐることもなかったのである。

「▼▼君(前任者)から聞いてない?一ヶ月に一度、ホルマリン交換してたはずだけど」

ますます食い下がる上司。
ホルマリンですと?
一体、何?

「あの・・・もしかして」

と棚から恐る恐るアイスボックスを引っ張り出す。
フタを空けると。
何やら、クッション代わりのキムタオル(実験用の紙雑巾)に挟まれて、二つのボトルが。

「あ!こんなところにいたんだ。太郎と次郎」

急に古参の研究員も集まり始める。
持ち上げてみると、透明な液体の中に、親指大のものがふわふわしていた。
絹山は、その時、てっきりそれは目玉だと思ったのだ。
ここなら、そういうものがあっても、まあおかしくはないからだ。
でも、人やウサギのものにしては、ちと小さいし、何やらいびつ。。
よくよく眼を凝らすと、そこには宇宙人めいたものが横たわっていた。

「太郎はついてるから男だって分かるけど、次郎は4週だから、よく見えないねえ」

おおおおお。
かつてえげつないものを数々眼にしてきましたが、また新たなものが加わったようです。
でも、これって供養しなくてもいいんでしょうかね。

現在の黒死館的環境を鑑みれば。
正木博士よりも、降矢木博士、押鐘博士、、、。
いやいや零保久礼博士に捧げるべく、絹山、誠心誠意ホルマリン交換させて頂きます。
でも、そんなに頻繁に替えなくてもいいんだけどなあ。
まあいいか。

チャカポコチャカポコ。
ブーン、ブーン。
チャカポコチャカポコ。
ブーン、ブーン。

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