2017-04

りある新発見

昨晩の投稿について。

実はよくよく素氏に確認したら、この件は既に判明していたことが、判明(呪)。
が、別に二つ発見がありました!

まず「ミニヨン」を潮出版社の『ゲーテ全集』 山口四郎訳の当該箇所。

君知るやかの嶺 雲の桟道《かけはし》
霧深き道には騾馬《らば》の歩みおのずから遅く
洞窟《いわや》には龍の古き族《うから》棲み


ルビは少し違うのですが、黒死館本文とそっくり!
何これ! 前投稿の訳文と見比べてもらうと、同じドイツ語を見て、和訳がここまで似るのおかしくない?
虫太郎と山口四郎氏が同じ戦前訳を参照しているのではないのか?

山口四郎は1919年生まれ、黒死館初出時、15歳です。
まさかこちらが黒死館を見て……いやいや、それは穿ちすぎ。
現在戦前訳を多々捜索中。

**

それよりも!
新発見!

先のミニヨンに続く、「黒死館」本文

そして、しだいに廊下の彼方へ、薄れ消えてゆく唱《うた》声があった。

狩猟《かり》の一隊《ひとむれ》が野営を始めるとき
雲は下り、霧は谷を埋めて
夜と夕闇と一ときに至る

 それは、擬《まご》うかたないセレナ夫人の声であった。


この原典が見つかりました。
ゲーテ詩 「イレムナウ川」 の以下の節
原文全体はこちら
Ilmenau (am 3. September 1783)


Melodisch rauscht die hohe Tanne wieder,
Melodisch eilt der Wasserfall hernieder;
Die Wolke sinkt, der Nebel drückt ins Tal,
Und es ist Nacht und Dämmrung auf einmal.


和訳の一例

背の高い樅の樹の風にそよぐ爽やかな響き、
滝をなしてたぎり落ちる水の爽やかな響き。
雲が沈み霧が谷をおおうと、
夜と夕闇が手をたずさえてやってくる。

『ゲーテ全集 1』 潮出版社 新装2版 2011 , 244pp 松本道介訳

虫太郎お得意の改竄です。
狩猟とか関係なーーい!

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個人的大発見

わー、今翻訳している本の註に、これはゲーテの詩からの引用とか「ファウスト」からの引用とかいうのがやたらあり。
図書館にゲーテ全集を依頼して本日受け取り。

探していたものが見つかったのは、それはそれとして。
なんと!
黒死館の以下部分で、註がつけらずにいた原詩が判明しました!
きゃー、おめでとう僕たち!!

「なるほど、狩猟ですか……。だがレヴェズさん、貴方はこういうミニヨンを御存じでしょうか。――かの山と雲の棧道《かけじ》、騾馬《らば》は霧の中に道を求め、窟《いわあな》には年経し竜の族《たぐい》棲む……」と法水が意地悪げな片笑《かたえみ》を泛《う》かべたとき、入口の扉《ドア》に、夜風かとも思われる微かすかな衣摺《きぬずれ》がさざめいた。そして、しだいに廊下の彼方へ、薄れ消えてゆく唱《うた》声があった。

このミニヨン。
ずっと、「谷を越え川を越え」で始まる「ミニョンに寄せて」という詩だと思ってました。
が、本日人文書院のゲーテ全集1をなめるように見ていて、発見。
『ウィルヘルムマイスター』の第34章に登場する、「ミニョンの歌」と判明しました!!
わー、よかった素氏の註釈では不明で残していた項目です。
めでたいので、原文と訳を載せておきます。
ゲーテってすごいよねーー。

Kennst du das Land, wo die Zitronen blühn,
Im dunkeln Laub die Goldorangen glühn,
Ein sanfter Wind vom blauen Himmel weht,
Die Myrte still und hoch der Lorbeer steht,
Kennst du es wohl?
Dahin! Dahin
Möcht ich mit dir, o mein Geliebter, ziehn!
Kennst du das Haus, auf Säulen ruht sein Dach,
Es glänzt der Saal, es schimmert das Gemach,
Und Marmorbilder stehn und sehn mich an:
Was hat man dir, du armes Kind, getan?
Kennst du es wohl?
Dahin! Dahin
Möcht ich mit dir, o mein Beschützer, ziehn!
Kennst du den Berg und seinen Wolkensteg?
Das Maultier sucht im Nebel seinen Weg,
In Höhlen wohnt der Drachen alte Brut,

Es stürzt der Fels und über ihn die Flut:
Kennst du ihn wohl?
Dahin! Dahin
Geht unser Weg; o Vater, laß uns ziehn!

ミニョンの歌

知っていますか 白いレモンの花が匂い
みどりの木かげに黄《こ》がねいろのオレンジが熟れ
たえず青空から微風が吹きかよい
ミルテはしずかにロオレルがたかく立っている――
あの国を御存じですか そこへ
いとしい方よ 御一緒にまいりましょう

知っていますか 太い円柱のうえに大屋根がなだらかな曲線をえがき
広間や部屋々々にうつくしいともし灯がかがやき
大理石の像がじっとわたしを見て
不憫なものよ どうしたのか とやさしい声でたずねてくれる――
あの屋根を御存じですか そこへ
たのもしい方よ 御一緒にまいりましょう
 
知っていますか 雲にとざされた山みちの険しさを
騾馬が狭霧のなかに道をもとめ
洞穴に年をへた竜の一族が棲み

切りたてた岩のうえにしらじらと滝水の糸がかかっている――
あの峠を御存じですか そこへ
愛する父よ 御一緒にまいりましょう

『ゲーテ全集 1 詩集』 人文書院 S35 113-114pp 大山定一訳

**
こちら新発見ではなかったのですが、新事実が!
待て次号!

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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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