2017-02

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diaspore

本日もーーーーはい、絶賛絶不調!
痺れて動けませーン。
めまいがくらくらですー。
が、ネズミのうんちと血を集めないといけないしー。
這っていきましたー。
2時から出勤だ、おー!
昨日までに泳動写真でパワポ作っといてよかった、対数計算してグラフ描いといてよかった。
高校で習ったlog使ってますかー、使える仕事もあるんだよ、実社会で。
そういうのも実は大好き。
嫌いなのは哺乳類だけかもー。
木曜は週一の呪いの報告日なので、よろよろでメール書いてデータ貼り付けて、絶賛退散であります。
実質四時間で全部やりきったー。
みんなバイバイ。

**

先日S書房百均棚で購入した北杜夫『或る青春の日記』(中公文庫)、ざらっと一気読み。
東北大学医学部に奇跡的に合格してからの四年分。
茂吉がよれよれ、よいよいになって、身罷るまでの姿も含まれている。
茂吉の遺体を家族含め病理解剖に立ち会った様子、たしか『楡家』でも少し描かれたような記憶があるが、ここにも臓器の状態など細かく記されていて、とても興味深い。

北杜夫に多大なる影響を与えたトーマス・マンは僕のベスト5の作家なので
マンについて二十代の彼がどう捉えていたか、そこが一番気になっていたのですが。
『魔の山』を翻訳した望月市恵氏と直接交流があって、色々聞いてるんだなとか、
古本屋で少しずつマンを集めてるなとか、気になることはポツポツあれど。

一番泣けたのは、あとがきの次の言葉でした。


そんなふうに、およそ文学と縁がなかった私が、どうして「木の芽」の、かなり難解な短歌に惹かれたのか、これは今あれこれと考えてみても、どうしても分からない。或いは、血のささやきだったのかも知れぬ。松本へ行ってから、茂吉の「赤光」「あらたま」からの自選歌集「朝の蛍」を手に入れた。これには、私が生まれた狂院のことや懐かしい青山墓地の歌などが詠まれており、いっそう感激した。それまでずっとおっかなく煙ったく思っていた父は、だしぬけに私の内部で、崇拝すべき偉大な歌人に変貌したのである。
それで私は茂吉を模倣した短歌をかなり真剣に作り始めたのである。私の文学の師はトーマス・マンではなく、実は父茂吉であったのだ。



『楡家』では、一切茂吉の歌人としての姿は描かれず、苦悩する精神科医という側面だけしか描かれなかった理由に、思いを馳せる夜でした。

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ghosts

水曜日は最悪に不調だ。
鬱が極まっていて、お疲れさまです、と声をかけられただけで、首に匕首を押し付けられた気分になつている
しかし
お疲れさまとか、良いお年をとか
何の意味もない、いわく緩衝材のようなこの言葉たちが大嫌いだ。

帰り際ならまだ分かる。
なぜ昼間に、何度も顔合わせてるのに、空気を和らげたいのか、突如(おそらく相手には相手の理由があるのだろうが、全くわからない、半分あいたパーテーションのすき間から)
お疲れさまですという。
新人さんは、無理に僕に話し掛けようとする。
が、そのうち、この人、おかしいぞ、とすぐに分かるよ。

お疲れさま返しに、どれだれ喉の奥か声を搾り出しているか。
それでも最強の陰気な声音に向かいでドン引きだろう。

朝遅刻確定したから、血の気なくなってるから、
乗換駅でカフェで一時間休んでから出勤した。
カフェで少し気持ち落ち着いたかと思ったけど、もう近くに知ってる人の気配するだけで吐きそうだ。
気持ち悪い、死にたい、気持ち悪い、死にたい。

職場はもと精神科専門の病院で
時々、入院患者さんがタバコ吸いに脱出している。
横で、それぞれまともにコミュニケーション取ろうとしてる二人の食い違いっぷりに微笑んだ。
わからないよ、見えないよ、人が何考えてんのか、気持ち悪いよねー、、
早く帰りたい、消えたい、消えたい、真っ黒な落し穴だ。

pyrite

平日の方がやる気が出る。
休日はだらけてしまい、いまだ二章しか訳せてない。
1/10だ、最低でも1週間に三章は進めないと、解説が手こずるの分かってるからなあ。
邦訳出てる分の資料も集めないといけないし、
ハードル高いのは本名で書かれたカント哲学関係も読まないといけないのかということ。
ついでに、註のためにシラーやゲーテの詩も探さないと―。
地元の図書館にあるといいけどなあ。

この作者、同時代の仲間からは「現代のヴォルテール」と綽名されていた。
シェ―アバルトやA・クーピン、G・グロスともお友達だった。
以前から思ってたけど、海外文学のある部分を読んでいると、ひたすらヴォルテールの評価が高いことが如実にわかる。
やたらに文豪たちに影響を与え続けてきたという評論にぶつかりまくる。
そのたびに、またヴォルテールかよ!と叫んでしまう。
この叫びは、自分が『カンディード』一作だけしか読んでおらず、
あれ『三角帽子』的などたばた、塞翁が馬的な恋愛喜劇にすぎないんじゃないの?
と非常に低評価を下しているせいであって、彼の真価は一切分かっていないことによる。
だから、こんな綽名もらっても褒められてるのだろうかと、
(いやおそらくかなりの賞賛なのだろう) 穿ってしまうのであった。

**

15年前まで持ってたけど、当時はあまり馴染めず売ってしまったトロピカル三部作が
今聞き直すとサイコー! 買い直そうか迷ってる。
バカです。





zircon

多夢と抗うつ剤との関係については、誘発するものも実際にあるけれど
今飲んでいる薬はほぼ報告がなく、
むしろ過去に受けた傷/溜まったストレスの方が夢魔に手を貸しているような気がする。
それより女性のアスペルガーに関する記事。
同じ当事者の方がまとめたサイトが本当に正鵠を射ている、
というか、もうほぼ合致してしまうので恐ろしい。

女子トーク大嫌いな話は以前にも書いたけど
普通の女性が喜ぶ、ブランド品、衣服、化粧に一切興味がない。
というかそのジャンル見ると気持ちが悪くなる。
化粧品は吐き気がするほど臭いので、つけるにしても絶対無香料。
オトナになっても制服にしてくれればいいのにとか普通に思ってる。
体をしめつけず、選ぶのに困らない単色で、しごく没個性的な画一化されたもの。
実際、僕はズボンしか履かないし、そのズボンを一週間は同じものを履き続ける。
洗濯機で回せない服、アイロンが必要な服は絶対買わない。
下着は替えるけど、白衣の下がどうなってようと他人の服も見ないので、
全身毎日同じにしたい、けどなんとか我慢して上半身は替えている。

そういう感覚が、長い間ずっと「どうやらおかしいらしい」とは思っていても
答えが見いだせなかったのが、ようやく仲間に巡り合えた感じ。
女子トーク=答えがない、時間の無駄、意味不明の堂々巡りとしか思えない。
外観装飾=機能性を重視、窮屈が苦手、一部の感覚が鋭敏(音や匂い)。
そういう訳で、まったく受容できないことがわかった。

他にも社交辞令が一切言えないとか。
嘘ではなく、その場限りの曖昧な言葉が使えない。
だから冷たい、空気が読めないとかになる。

ただ僕は幸いなことに、過去にこうだからといってあからさまに苛められた経験などはなく。
さらにこの年齢になると、変人には距離をとっておこうと放置してくれる
(これがいかにありがたいことか)
そういう人が多くなったことが、本当に感謝しておかないといけないことだと思っている。
昔は、無理に自分の嫌悪感を隠して、そのあと爆発して、けんか別れを繰り返した。
今は最初から人を近寄らせないようにするのが、一番。
お互い傷をつけないですむ。
心配、労いも無用で、上記内容通り殆んどの贈り物や声掛けが的をはずれてしまい。
その結果嘘でも「ありがとう」を言わないといけなくなって、また爆発の導火線になってしまう。
食い違いって恐ろしい。

もう一つ気をつけないといけないと思うのは
自分の「苦手」なものを「好き」な人に対して、できるだけ敵意を見せないようにすること。
ここでも人に近づかない、情報に触れないことが役に立つはず。
嘔吐感のスイッチが回って真っ黒に自分が変化してしまう材料に触れないこと。

アクリル毛布のするする柔らかい触感に挟まれて瞼を閉じ
ノイズを避けて好きな音楽で耳を満たして
タバコとウイスキーの匂いで鼻をごまかしながら、
今夜こそ夢を見ないようにしてくださいと祈りながら眠ろう。

**

ソフトサイケ系の中でも特に好きなアルバム2枚選んでみました。
サジタリウスは同名のアニメも大好きだけどね。
関西弁のカエル、ラナがすごいいいんだわ。



polonium

病院4回目。
苦手な人と狭くて暑い部屋で作業してたら翌日起き上がれませんでした
と言ったら
そういう嫌な奴には近づかない方がいいよ。
おーい、そんな対応策でいいのか、
そうしたいけど、ちょっと苦手なくらいで丸一日寝込むとか許されないでしょ。
院長は自営業で苦手排除できるかもしれないがリーマンってものは…
とこの非常識な僕ですら、それじゃあ給料もらえないっすよーと言ってしまった。
とはいえ、木曜は一人きりでその部屋使えたので、クーラーがんがんにしてのびのび作業できました。

いや、実は火曜の夕方、僕だけ一時間退勤が遅いので
使ったことのない機械のメンテをその苦手な人から頼まれて、
ボタン一つ押せば済むはずの話が、画面が全然聞いてた話とちがーーう!
もうその機械のこと知ってる同僚もいない!
みんなでやってるLINEには一人参加してないので質問もできなーい!
なので苦手な上司に丸投げして逃げた。。。ので倒れたのかも、ね。
後から、机に付箋でも貼っておけば、夜中でもメールしておけばとか
翌日眩暈でぐらぐらしながら考えたけど、元の木阿弥。
そういう非常に些細なことが刺さるのです。
にこにこ笑って底意地計り知れないタイプだから、わざと?とか変なことまで考える始末。
木曜は顔を合わせないようにしてました。
とりあえず謝っとけ、自分と思う。
でもできず、吐きそうになってる。馬鹿だなと思う。

**

素氏にひっついて西荻の古本屋巡り。
お世話になってるS書房さんと少しお喋り。
造本や装幀のこだわりの話はすごく楽しくなる。
結構緊張してました。
あんなに気さくにお話してくれるのにね。
ありがとうございました。
全部で6軒回っていい本屋さんばっかりだから、ついつい財布空にしてしまい。
それでも気持ちは上昇したと思う。

SF分からないので、またバラードとACクラーク一冊ずつ購入したよ。
原稿期間に入ってしまったけど、ちびちび新しい世界を広げたい。

雑誌「グロテスク」も一冊購入。
エログロ関係の雑誌、その森に分け入るのは危険だからー。
梅原関係の森は富士の樹海並みだからー。
やめましょう。
とはいえ、「戦前『科学画報』小説傑作選」で複数回とりあげた那珂良二の奇妙なエッセイが掲載されてて、うおー!となりました。
那珂良二=木津登良=木村虎夫ですが
小説は単行本三冊だっけ、纏まって読めるけど(国会図書館収蔵)
エッセイ、それも結構長いの、初めて見ました。
嬉しかった!けど、那珂良二と聞いて、一緒にうおー!と言ってくれる人、
新青年研究会のあの方くらいでは。。。
復刻したいけど、他にネタ探さないといけなくなるよねー・苦笑。

IMG_20170218.jpg

『グロテスク』昭和5年新年号


borax

気持ちはそんなに落ちてない。
月火と苦手な人が近くにいる狭い場所で作業してて、夕方片頭痛してたけど、頑張ってて。
今日、もはや立ち上がれず。
正午まで昏々と眠り夕方からまた四時間、昏々と眠る。
数日収まってた悪夢復活。
登場人物は血縁者のみ、よくもまあ自分の脳は次々にこれだけストーリーを編めるなあと。
夢の中で、自分で自分にあきれている。

今自分は夢見てる、体はベッドに横たわっていると意識はある
という半覚醒の感覚ってそんなに珍しいものかしら。
翻訳している主人公の女性は夢に没入すること
(白日夢の延長、現実を侵食しかねない夢幻体質もふくむ)
に対して稀有な存在だと主張するのだけど、そうでもない気がするんだよね。
昼休みの喫煙中とか、乗り物に乗ってるときとか、よく意識が別世界に飛ぶ。
ふっと自分がどこにいるかわからなくなる、なんて珍しいことでもない。

気持ちはフラットになっても体力がなくなる。
体力がそれなりに残っていても沈みすぎて動けなくなる。
不毛の永久機関。
ちょっと無理に笑ったり、人がいることで緊張するだけで物凄く消耗する。
週5でキリキリ働き、家事や育児もこなしてる人、尊敬しかないです。

**

最近、YMOばかりBGMにしてる。
一番好きな曲は、このまさしく階段を上下する感じ。
強迫観念あおるし、痺れるし。


stibnite

気持ちが少し上向きになってきたようなので五月の準備に入る。
土曜もバイトで大久保へ。
奇妙な宗教施設が多いなとか思う。
電車の中で真剣に英文読んでみて、やはり面白そうだと思ったので翻訳するのは前者にしようと決める。
元々ドイツ語の本で自分には無理なので英訳されたものからの重訳。
今日は丹念に辞書を引きながら作業開始。
夢と真剣に向き合う女性が主人公。
ちょっとエロチック、でもダダのひとだからね、いわゆる幻想小説になってるかといわれると、どうかしら。

まあ分量も少ないので、あと前回の「生者の埋葬」みたく異様な構文とか、異様な論理展開(オカルティスト独特の)とかはあまりなさそうなので、するっといけると嬉しい。
コツコツ早めに仕上げたいです。

では今週も頑張って仕事いけるかなーってとことで、おやすみなさい。
善き夢見でありますように。

phosphorus

亜悪夢と書いておきながら昨晩は猛烈に悪夢の連続で驚く。
嫌いな人、見知らぬ人が陸続とゾンビのごとく首を締めにくる。
払っても払っても、夢醒めろ!わああと叫んで目が覚めたと思ったらまだ夢の中で
目覚めてうなされてると思ったら、まだ夢の中で。
もう寝たくない、こわいというか気持ち悪い。
特に母親が「優しい子だ」と言いながら締めてくるの。。終わってると思う。
こんなホラー連続のなかなか見たことないよ、今まで。
膿?出てますかー。
排出されてますかー。
腹の上に手を置くと怖い夢見るという言い伝えみたいな、おまじないとかお守りとかほしい。
疲れが取れないです、まじで。

**

池袋西武の古書市のぞきにいった。
何もねー、買ったけど少しは。
初日から数日経ってるからかというか、ほんと変な古い雑誌とか変な戦前本ないです。
新しめでも、博物学系もないです。
SF初心者がSFの文庫手に取っても何買えばいいのか分からん。
かっこいいの教えてほしいです。
現実世界で起きるような茶飯いらないです、王国の覇権争いもいりません、怪獣空飛ばなくていいです。
黙示録・年代記風も苦しいです。
寂しいやつか、虚無感満載とか、狂った感じとか(狂い過ぎて意味不明は無理ですが)求む。

結局、山中散生や西脇順三郎などポエムの凄い人たちが参加してた「無限」が激安だったので三冊買って、
一回全部売り払ってしまったブラッドベリまた買い直し、
村山知義の演劇的自叙伝を購入。
なんか消化不良、南部/西部の古書市のガラクタ謎本の山に久々にまみれたい。
最後は池袋で一番好きな「伯爵」でお茶して、バイトに向かいました。

**

五月文フリで出す本悩んでます。
また英語力だめなくせに翻訳やってみようかと思ってます。
全然知られてない、ダダの哲学者の小説か、ちょっと知られてる恐怖幻想の女史か。
どっちがいいかなあ。
どっちも売れないと思うので、少部数にしよう。
原点に戻って、楽しく苦しむのである。

もう黒死館とか全然関係ないです。
関係あること疲れてきてて、サークル名との乖離がひどくて困る。

**

女性二人の澄んだ歌声がヨレヨレネオアコ界でも印象的だったタルラー・ゴッシュ。
バンド名を冠したこの曲は途中の速くなる部分が聴きどころ。



タルラー・ゴッシュのアメリアちゃんはHeavenlyやthe Pooh Stiksでも可愛い声を響かせていました。



quartzite

水曜の夜9時に布団に入る。
睡魔に勝てず。
朝、6時過ぎに目が覚めた。
薬飲み始めて変わった一番のことは、やたらに夢を見ることだ。
おそらく誰でも夢を見ているが覚えていないことが多く、せいぜい目覚めの数分前に見たことくらいしか残っていない。
僕も今まではあまり覚えていないことが多かったけど、ここ一ヶ月見ない日はない。
それも、亜悪夢ともいうべきものか。
最悪とまではいわないが、出てくるメインの人物が往々三種類しかいないので、
どれも軛のような存在なので、さらに夢見ている最中に「これは夢だ、早く醒めろ」と思ってるのがもっとしんどい。
そのくせ目覚めると、全身気だるく背中や腰に激痛が走っているので、一日の中で最強の絶望感を浴びている。
だから夜を越えるのが苦しい。
薬がどういう作用で愚鈍な夢を誘っているのか、機序が想像できない。

**

仕方がないので一番早く出勤する時より10分早く家を出た。
電車は遅延していた、が、二本前の電車だった。
乗り換えた京成はなぜか乗ったこともない早い電車に乗れた。
すると1時間15分かかるところが50分で到着するという奇跡。
なんだか、損したような気分である。
仕方がないので早々にネズミたちにご挨拶。
みんな病気持ちになってるので、毛並み悪いし食欲もなさそう。
なのに毎回尻尾切られて可哀想なんだけどね。
一日がやたらに長く、雪がざんざんと舞う中、帰宅。
ようやく今週が終わりました。

**

バラード、読めば読むほどかっこよさに痺れる。
情景描写の荒涼感がたまらん。
ゴシック建築とかバロック風という語彙をこのような風景に用いた比喩がかつてあっただろうか。

面白い小説の登場人物は、反体制である。
「体制」がなんであれ、抗う人である。
抗う方便は、戦うことだけにあらず。
怠ける、疎む、逃げる、怯えるであったもいいのだ、アンチであれば。
そこに沸々とした孤立が浮かび上がってくれば。
そういう意味でも、バラードはかっこよすぎると思う。
抗わせておいて、放置プレーする、救いなく、冷ややかに壊れた世界を見おろしている。

「砂の檻」という一編で、後半になって明かされる、砂まみれの地球の成立過程と、なぜ疎開を拒んだ三人が拿捕されようとしているのか、判然とした時、本を落としそうになった。
電車の中で、わーーと叫びそうになった。
今更、基本文献で騒いでいる、僕はなんとも愚かしいのだが。
もっと早くに出会いたかったな。

些細なことだけど、ヴェールをベールと書かないで済むなら、ビールスはないだろうと思う。

**

およそ五十年前、惑星調査ロケットや宇宙船がぞくぞくと打ち上げられ、大量の物資や装置類が火星に運ばれた結果、地球の重さがごくわずかだが低下して、太陽をめぐる軌道がよりせばまるのではないかというおそれが生じたころ、数百トンの火星の表土がそれを補うために地球に運ばれた。地球の軌道が太陽に接近する距離は数ミリメーターの範囲を出ず、したがって大気の温度もほとんど不変であると推定されたが、その極微な温度上昇も長期間にわたって累積されると、希薄な外気層と、地球の生命圏《バイオスフィア》を生存可能にしている放射線ヴェールが宇宙空間に消滅してしまうことも考えられた。

そこで二十年間にわたって大型貨物船団が地球と火星の間を往復し、ケープ・カナヴェラルの着陸場付近の海に積荷《バラスト》を投下した。これと平行してソ連は、カスピ海の一部を埋めたてた。当初の予想ではバラストが大西洋とカスピ海の水に呑みこまれてしまうだろうというつもりだったが、まもなく火星の砂の微生物的分析が不十分だったことが判明した。

かつての大気中の水蒸気が凝結した場所である火星の極冠では、古代の有機物の残滓が表土を形成していた。それは数百年万前まで生き残っていた火星最後の有機体である巨大な地衣類や苔の化石した胞子を含む微細な黄土層であった。これらの胞子の中には、かつてそれらの植物を餌食にしていたビールスの結晶格子《クリスタル・ラティス》が内蔵されていた。それがケープ・カナヴェラルやカスピ海に投下されたバラストといっしょに地球に持ちこまれたのである。
 
それから数年たって、アメリカ合衆国の南部諸州とソ連のカザク共和国およびトルクメン共和国において、広範囲にわたる植物病のおびただしい増加が認められた。フロリダ各地で枯凋病とモザイク病が発生して、オレンジの木は枯死し、道ばたのシュロの葉は乾いたバナナのように枯れ、マニラ麻の葉は熱気のもとで硬化して紙の槍のようにめくれあがってしまった。数年以内にフロリダ半島全域が砂漠と化してしまった。エヴァグレーズの湿原ジャングルは白っぽく干あがり、乾いた河床には白く輝くワニや鳥の骨が散らばり、森は完全に生命を失った。

ケーブ・カナヴェラルの旧発射場は閉鎖され、それからまもなくココア・ビーチは立入禁止区域に指定されて住民は疎開し、何十億ドルもの値打ちのある不動産はビールスにゆだねられた。さいわいこのビールスは動物宿主に対しては無害だったので、その影響力はビールスを含む火星の黄土を投下した狭い範囲に限られていた。ただしそれが人間の体内にはいりこみ、宿主に対しては害を及ぼさず、したがってその存在にも気づかれないままに、腸内のバクテリアと共生し、やがて排泄されて土に還った場合は、ケープ・カナヴェラルから何千マイルもはなれた土地の植物に壊滅的な被害を与えることが予想された。

『永遠へのパスポート』 創元推理文庫 1970 永井淳 訳 255-256pp


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dolomite

月曜は週末の力で進むことができる。
火曜は朝一にお掃除タイムがあるので這ってゆく。
水曜はもう倒れる。
木曜は午後から行けたらいい。
いつもそんな感じですが、今週は月火と普通の人並みにバリバリ実験してしまったので、水曜がやばいです。
とりあえず早めに夜の薬を飲んでみた。
三つとも効いてるのかちっともわからんが。

**

バラード『永遠へのパスポート』収録の「監視塔」が素晴らし過ぎた。
歪んだ不条理空間、もがけばもがくほど一人孤立し、他者は別の世界/夢/現実を見ている。
自分も他者も何に怯えているのか分からず、脅迫感だけがじりじりと包み込み、いつしか目に見える世界が反転している。

こういう亜空間/いいしれぬ不条理と被虐感、
どこかで読んだと思ったら、そうか倉橋由美子だなー。
スミヤキストQ(僕の中でこんな作品が書けたら瞬間昇天してもいいベスト)も、
アマノン国往還記も、ポポイも、初期のパルタイも聖少女も、誰もSFとか呼ばないし、幻想とすらいわないけど。
恐ろしくも荒涼とした亜空間に放り込まれて、耳鳴りに似たキーンという音が遠雷のように聞こえている感じ。
これが自分にとって、最高の欲する夢平面なのだなと、
中途な感情などバッサリ捨て去った、無の空間。

監視塔から見ているモノの目的も存在すらも、最後まで靄の中にあり、そのくせギラギラと圧迫感だけは常に絶対権力のようにある。
この恐怖と美学を伝える言葉が見つからないのが悔しい。

**

最近知ったハンガリーのジャズギタリスト、ガボール・ザボ。
破調が病みつきになる。どのアルバムもいいので絞り切れません。



gibbsite

また本日もライブ。ANN50thアニバーサリー。
代々木体育館一万二千人のアリーナ席後方。
今日は忘れず100均オペラグラス持参しました。
大型モニターあったので結構表情とか見れてよかった。
ラジオパーソナリティー沢山集合、なのでトリ以外興味なしでしんどいかなと思ってましたが、
立ち見じゃなく席があったので、座れる時間が多く助かりました。
エレキジングルかっこよかったし、いつもながらに気配りサービス精神旺盛なので、楽しく過ごせました。
お隣女子高生、でもおとなしかったな、コイダンス恥ずかしそうに、可愛く踊ってたな。

金曜は病院のあと、練馬美術館へ。
粟津則雄コレクションを見に行って、
ルドン、駒井哲郎とかメゾチント/エッチング/リトなどの版画が多い展示で数は少ないものの、
好みの作品多くてほっこり。
池田満寿夫そんなに好きじゃなかったのに、「黄金の真珠」と題された作品がとても煽情的でした。
↓拘束衣なのか爛れた傷跡なのか背中に魅入ってしまいます。

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遊んでばかりだな、休日は。
もっと平日のために体休めないといけないのだけど。

**

バラード二冊目、「永遠へのパスポート」読み始めました。

生まれた時から、多世代型宇宙船の中でアルファ・ケンタウリ目指して飛んでいる少年。
君がおじいさんになっても到着できるかわからないんだ、船の中で子供を産み、世代を超えて近づいていかないと着かない星と教えられている。
でも船は50年前月や火星移住計画の一環で、遠い未来に太陽系から離れた惑星に移住するための壮大な訓練装置であって、暗い宇宙と思い込まされた映像は人工的に作られたもの。
そして訓練は50年を経て、中止されようとしている。
自ら進んで訓練装置に入った者以上に、延々と騙され続けた少年少女は外に出たら、どうなるのか?

こういう逆説的な命題ってわくわくするね。
パラメーターを、因数を投げ込む物語も好きだけど、壮大な胡蝶の夢的、錯視も大好きだ。

アルファ・ケンタウリといえば、沙村広明さんの「幻想ギネコクラシー」だったかな、その中の一編に、この星の名称を使いたいだけ!で書いたSFがあって。
いや絵は壮麗なのに身も蓋もないギャグエロス描かせたら、この人の右に出る人いないんじゃなかろうか。

  

Alunite

春めいてきたので爽やかネオアコ曲を。
英国フォークロック、ダフィー兄弟率いるライラック・タイムから二曲。

一曲目の後半ギターソロ2:56付近は、まさにパーフリの「ラブアンドドリームふたたび」の元ネタって丸わかり。
二曲目のAメロひたすら繰り返しなのにじわじわ盛り上がる高揚感絶大。

幸せな気分になるよー。





feldspar

先週末の事務仕事が尾を引いたのか、ライヴの疲労がここにきたのか
今週は水・木と使い物になりませんでした。
背中に接着剤でできた蜘蛛の巣が張られたみたく動けない。
同時に意識が目覚ましのスヌーズで一瞬浮上しかかるけど、すぐに失神したみたいに消える。
首の後ろに太い綱があって血の気をザーッと引いてる感じ。
起き上がる自分を着替える自分を想像して、動いているような気持ちのまま意識がなくなる。
スマホはすぐそばにあるけど、職場に連絡入れることすらできず、11時まで硬直。
何なんでしょうね、頻発するこの症状。
腕にはなぞの湿疹頻発。

仕事の日に起きることがほとんどなので、行きたくないという気持ちから来てる?
でも行かないと余計に行きづらくなる、生きづらくなるのはよくよく知っていて
動けるなら仕事山積みだから行きますけどと思ってるんだよ。
意識と深層心理の殴り合いみたいなもの?

本日三回目の心療内科。
婦人科での治療も話し、貧血ではなく多血症とも伝える。
「それじゃあどうしたらいいいんですかね」とセンセー。
おいおい、そのために来てるのに。
もうお手上げなの?
「どうしたらいいんですかね、あとは異常に就寝時間早めるくらいしか、でも夜がなくなったらストレス逃がす時間ないんですが」と僕。

結局お薬増やす方向で。
発達障害でも多動性、集中力欠如のADHD用の薬を。
それASにも効果あるのかい?
ジェネリックないので、出費かさむー。
でも試すしかないのよー。

**

初シャーリー・ジャクソン、「鳥の巣」読了。

第二章に至った時、高校生の頃を思い出した。
既に自宅は狂気のるつぼと化していたせいだったのか。
逃げるように休みの日には市立図書館へ行っていたけれど、一時ひたすら精神医学の症例集を読んでいた。
今思うに、答えを探していたのだろう。
そこには統合失調こと分裂症、解離性同一障害こと多重人格など多数の本があり。
深くのめり込んだ僕は、精神科医になればもっと分かるかもしれないという、
つまり誰かを助けるという高邁な気持ちではなく、答え探しのために医学部志望でした。
(おそらく仲の悪い臨床児童心理士になった妹も、答えを探すことが一端だったのではないか)

物語は四人に分裂した女性エリザベスと、叔母と、治療に当たる精神科医ライトの三人だけで進む。
二章は初めて医師と隠れていた人格が催眠療法で対峙する場面。
解説でシャーリー・ジャクソンも一冊の多重人格治療症例集との出会いをきっかけに本書を構想したと書かれており、この二章は特にその影響が色濃く出ていると。
僕もまさに胸の奥にしまっていた幾冊もの翻訳された症例集が蘇った瞬間でした。
当時のタイトルは一つも思い出せないけれど、実は患者の個々の症例よりも僕の頭に刻まれていたのは、医師と患者の共依存という関係性でした。
患者が医師に恋情めいたものを抱くように、人間である医師も患者に関われば深く揺さぶられてしまう。
症例集の筆者たる医師の中にはそれを否定するために、あえて患者側の依存のみを描いているケースが多いことも、当時印象的でした。

「鳥の巣」におけるロングとも綽名される(wright - right - wrong)医師は、非常に弱い人間として描かれていて、
幾度も治療放棄を宣言し、分裂したエリザベス・ベス・ベッツイ・ベティの個々に過度の愛着と、過度の嫌悪を示す。
挙句自己制御できないほど激高すらしてしまう。
母親の死後、姪を引き取り育てたモーゲン叔母も、異様な興奮状態に陥る。
つまり明確に多重人格とはならずとも、人の「自分の知らない他者が内に潜む」姿を描いていると思われます。
そこが小説として非常に巧妙で。
なおかつ分割されたエリザベスの4人格の闘争はさらに壮絶で、たとえこういうプロットを切ったとしても、持続的にこのギリギリまで張られた弦を切らずに成立させる緊張感たるや、恐ろしいものがありました。
いかに世界と対峙することに悶絶しつづけたか、その苦しみが織らせた硝子の糸の布のようでした。

作中では、嫌なおばさんとして位置づけられていたモーゲン叔母ですが。
僕はこの人、結構好きなんです。
特に彼女も姪の多重人格を認めざるを得なくなったとき、一人一人とお得意の嫌味を轟轟と吐きながら、きっちりとあしらえてしまうパワー。
絶えなる智者であり、根底に姪を守り続けてきた愛情があり、ユーモアのセンスも抜群。

特に好きな叔母さんの科白。
冷静にいられない、普通は狂気をこんなユーモアに還る芸当できる人はいない。

コーヒーを見つめながら陰気に言った。
「カップを四つ用意しようかと思ったよ」
そして念のため説明した。
「おまえたち全員のためにね」


さて、最終章に至り、この話はどのように収束したのか/分散したのか?
僕は解説とは意見を異にし、豊饒なハッピーエンドと見ました。
そしてこう落とす必要があったのか疑念を抱きつつ
予想外に幸福感すら得てしまったのです。
(もしかしたらシャーリー・ジャクソンという作家にこんな感覚を抱くのはおかしいのかもしれませんが)
他の人はどう捉えるのか、ちょっと聞きたくなりました。





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