2011-08

本日のホラー缶

さっき明日のお弁当をつくろうと思って。
卵焼きに入れるシーチキンがまだ残ってたかなと
食料品のストックワゴン開いたら。

眼前にありえない光景が。
缶や海苔や紅茶や粉末スープが入っていて、一切水気のない場所に。
真っ黒い汁が!!
えーーっと思ってイタリア輸入品トマトホール缶をつまみあげたら、
ぼたぼたっときて。
ついでに、小蝿が一匹飛び立った!

トマト缶の下の蟹缶はびしゃびしゃ。
なんだこれーーーっ、どこから出てるの!
って、外紙べちゃべちゃのトマト缶洗ったら、ぶくっと溜息。
ぎゃーー!
紙を剥がしてよく見たら、缶の溶接部分に穴が!

いや、賞味期限10年過ぎて膨らんだ、桃缶は観たことあるけど。
これって、中身腐ってガス噴出中??

本当は、中身出して、缶は資源ゴミ、中身は燃えるゴミに分別しないといけないのは
わかってます。
わかってますよ、むしろ僕は日頃分別王と思ってるくらいきっちりルール守ってるんだ。
でも、怖すぎる。
この汁の色からして、中身はホラートマトに変化しているに違いない。

ごめんなさい。
怖すぎて分別できません。
なので、袋に詰めて出します。
燃やせないゴミ二週間に一度だから、燃えるゴミで出します。
なんか、一瞬例の一斗缶事件が頭によぎった。
ずさんだなーぬけてるなーとか思ったけど、ダメだ、これ、置いておけないわ。

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ナチスと映画特集 その2

僕の第一次レトロ映画ブームは二十歳前後でした。

図面の色塗りとかプログラミングをやっていた、ちょっと変わったバイト先。
そこに一つ年上の農学部に通う不思議な先輩がいました。
その人が、僕にちょこまか映画の話をしてくれたのです。
借りた寺山の「草迷宮」「田園に死す」、怖かったー。
その後何度も観たけど、今でも夜一人じゃ観られない。。。
色々タイトルを聞いて、レンタルビデオで少しずつ変なものを観て。

そのうちに、新開地にある「パルシネマしんこうえん」に行くようになりました。
今でもちゃんと残っています。
値段を確認したら二本立て1200円のようですが、当時は700円くらいじゃなかったかな。
ファンクラブの人たちの手作り解説チラシが素敵だった。

現在は三番館的なラインナップですが、当時はもう少し名画座色が強かったような。
いや、もう20年前の話だから、当時は三番舘的にやっていても、記憶の中ではレトロに置き換わってるのかも。
TOHOシネマ系で午前10時の名画というのをずっとやっていますが、あの雰囲気に似ています。
だから、レトロだけど、王道洋画路線。
ジェームス・ディーンとか、英国の貴公子系とか。
薔薇の名前や、存在の耐えられない軽さなんか、長すぎて腰が完全に折れた記憶があります。

ま、再び、個人的に映画ブームが来て嬉しいってだけの話ですが。
腰が折れても、DVD出てても、映画館が幸せ。

***

土曜日、ナチスと映画特集に向かったのは、ほんとに偶々のことだった。
行き慣れてきた神保町シアターなど邦画路線がムムム・プログラムだったので、
それほど期待せずに、渋谷に向かったのでした。
でも、そのフラットな気持が、幸運を呼び込んだらしい。
「死刑執行人~」と同時上映が、ルネ・クレマンの「海の牙」で、
これまた終わって東急百貨店の前の道を歩きながら、足をがくがくさせちゃうくらいよかったのだ!

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マルセル・ダリオ、アンリ・ヴィダル 他

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1945年4月某日、オスロから一隻のUボートが南米にむけて出発した。
潜水艦に乗り込んだのは、秘密指令を受けた将軍、ゲシュタポの二名、将軍の愛人とその夫、ノルウェーの学者と美少女の娘、フランス人新聞記者、そしてドイツ軍の潜水艦士、通信士たち。
このすぐにでも均衡の崩れそうな面子に、フランスで拉致されてきた医師・ギベールが加わる。
敢えて危険なドーバー海峡を潜行していくなか、ヒトラー死亡の打電が入り、
情報の錯綜と、それぞれの複雑な権力配分/愛憎劇によって、艦内は異様な緊張に包まれてゆく。

潜水艦の中って鉄板一枚の極限空間ですよね。
どんなに地上では豪勢な暮らしをしている人間でも、与えられる船室は狭いし、食事も限られている。
この映画の一番の見どころって、艦内の人一人が通るのも精一杯の通路の往来や
中央部にある動力源・ピストンの忙しない動きにあると思うんです。
すし詰めの空間、蒸し暑く息詰まり、荒くれの操縦士たちは汗を噴き出しまくっている。
体臭と油と食物と潮のまじりあった匂いがフィルムの向こうに、必ずある。

その手の届きそうな悪臭と同時に、人間の下劣な魂がむき出しになってくる。
それが、この眼鏡へちゃむくれジジイ(画像右)・ゲシュタポのフォルスター。

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愛人を連れ込んではみたものの、ひ弱い将軍(左)を押しのけて艦内の指揮を取り始める。
ついに南米に着岸するも、手引きの裏切りによって、上陸が不可能となるや
残忍さをいや増してゆく。
給油してもらった船が潜水艦から離れるや否や、魚雷かまして沈めてしまう。
逃げまどう船員も、機関銃で撃てと命令する。
えげつない、えげつない。

ついでに、絹山視線でみると、
このフォルスターと部下のウィリー(中央)って奴の関係がどうも怪しい。
もはや崩壊したドイツに帰っても何もいいことはない。
南米で一旗揚げろよと、パイナップルひとつでほだされ、コーヒー豆の倉庫に身を隠す彼。
しかし、フォルスターは焦ることなく倉庫内を歩き、ばらばらと穴のあいたドンゴロスから
豆が落ちている場所へ足をむけ、震えて隠れるウィリーに一瞥をくれるだけ。
ウィリーはその視線ひとつで、犬に元通り。
このシーンの嗜虐的なぞくぞく感ったら、堪りません。

主人公(語り手)は、拉致されたフランス人医師で、彼もまた一瞬の隙をついて
脱走を試みようとするのですが、これが全て打ち砕かれていくわけですね。
大戦末期に、これだけ母国も目的も異にするアクの強い人間が閉鎖空間に押し込められて
一人ずつ、自ら死を選んだり、選ぼうとしたり、殺されたり、
どんどん人が減っていくのも、恐ろしさ満点です。

この映画の中で、唯一平静に事態を見守っているのは、
彼女(Anne Campion)だけかもしれませんねー。

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日曜に観たタイトルは、また後日。

ナチスと映画特集 その1

よく過去に戻ってやりなおししたい時代はありますか。
みたいな質問があるけど。
それとか、江戸川コナン君の生活に耐えられるのか。
みたいな質問もありますけど。
ないわー、少なくとも高校生まではもう絶対戻りたくないわー。
勉強だけなら、いくらでもやりますが、学校生活はなし。

決まった時間に週5日も登校すること、
クラス皆で同じことをすること、絶対無理だわー。
文化祭、体育祭、キャンプ、合宿、修学旅行、ないわー。

思い出してみると、僕、成績云々ではなくて、どうしても小学校と同じ面子で
地元の荒んだ中学に行くことが耐えられなくて。
でも貧しいので私立はいけないので、某国立大学付属の中学に行ったんですが。
三年間。これが限界なわけです、同じ面子と顔を突き合わせていられる。
よかった、あの付属中学にエスカレータ式の高校がなくて。
(現在は、できたみたいですが)
それで、また、同じ中学出身が一人しかいない、地元の県立高校に入ったと。

大学はまあ、サークルにさえ入らなければ、なんとかなりますね。
一人で行動しても、単位落とすも拾うも勝手だし、
せいぜい実験くらいですから協力体制。

高校生までほとんど学校をフケなかった自分が今考えると凄いと思うのですが、
家にもいたくないので、ひきこもりもできなかったわけですな。
社会生活も含め、一度もイジメにあったこともなく、むしろ大切にされていたのに、
なんで不適合なのか、いまだに自分が理解できませんが。

そして現職を三年目を越えた現在。
ついに「空気化」に成功した模様。
誰とも喋りたくない、俺に近づくな、という棘オーラを出していてはダメだったのです。
空気、空気。
一分子が大きいけど、空気になりきること。
これによって、一日一語も発することなく、平和裡に立ち去ることができるようになりました。

分け隔てなくというのも大切ですね。
誰かとだけ喋っていては、空気にはなれないので、無言のままふわふわと漂うように生きる。
周囲の人が何を喋っていても、あからさまにイヤホンつけたり耳を塞いだりしてもダメ。
(たまに不調だと、吐きそうになるので、静かに逃げますが)
ふわふわふわふわ。
どうやら気体自体も無色化していきます。
これぞ葉っぱ変化、透明タヌキのできあがりです。

うん、落ち着いてきたぞ、僕。

***

そんなこんなで、休日はお外に一人で映画を見に行く。
土日は、初めての渋谷シネマヴェーラへ。
やった!「ナチスと映画」特集!楽しい! →こちら

二本立てで1400円。入れ替えなしなので、一日いてもOKです。
ただし休憩時間が非常にタイトなので、トイレもコツがいります。
鞄を席に残し、貴重品だけ握って4階から1階に駆け下り、煙草を一本ふかし、
空いている一階のトイレを使って4階へダッシュで戻って、ギリギリです。
途中入退場可なので、上映中に人が立ったりして、コラー!って気分になったりします。
オジサン率高し、プログラムによっては結構混んでる感じ。
席は前の方でもかなり見やすいです。
とはいえ、二日とも昼抜きで4時間観たので、首と腰がグキグキです。

まずは一本目。
始まってすぐに、あれこれって、フリッツ・ラング監督?
と気づくくらい、予備知識なく観たのですけど。
最高!!僕の人生の十本指に入れないとダメだ!というくらい大当たり!

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ブライアン・ドンレビー、ウォルター・ブレナン 他

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第2次世界大戦中のドイツ軍占領下のチェコ、プラハでナチスの地区司令官が暗殺された。
犯人であるレジスタンスの医師フランツ(ブライアン・ドンレヴィ)はマーシャ(アンナ・リー)一家のアパートに身を隠すが、ナチスは市民を無差別に逮捕・連行していき…。

というあらすじ冒頭なんですが、偶然に追われている男の逃げたのと反対方向を示しただけのことが、
ヒロイン一家全体の人生を大きく狂わせていく。
「死刑執行人」とは
その綽名で恐れられていたナチの高官ハイドリッヒのことなのですけど、
まず最初にこいつのサディストくねくね加減に観客総ムカツキ。

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犯人は身を隠すところがなく、唯一の手立てで夜間外出戒厳令の出ている時間に
マーシャの家にいき、匿ってもらう。
マーシャのパパは、かつては反ナチの活動をしていた大学教授で、非常に高潔な人。
色々ごまかそうとはしたものの、ゲシュタポから怪しいと目をつけられパパと400人が
人質として拘束されて、犯人を突き出さなければ、処刑していくと市民に脅しをかけられる。
マーシャは当然ながら、ちょっとした好意で嘘をついただけだったのに家族をめちゃくちゃにされて、
犯人を突き出そうとゲシュタポに乗り込んでいくわけです。

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いやー、かっこいいんだけど、真犯人で外科医役のブライアン・ドンレヴィ。
ただこの睫毛バシバシで苦み走ったところが、おかしくて。
変にチョンマゲ似合いそうなんだよなー。マツケン?
まあ、色気ムンムンだけど、マーシャがよろめいたりしないところが、いいんですよね。
つまり、安直なロマンスは不要と。

そして、憎みきれないのが、僕がニセ・ポアロと呼ぶ、雰囲気魯鈍刑事・グリューバー 。

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これがねー。間抜けそうに見えるんですけど、ものすごい敵ながらアッパレ推理力の持主でして。
酒と女と金に目がない、俗の塊なんだけど、実際にはゲシュタポ一番の切れ者でしょう。
そう、普通はナチといえば、残忍で狡猾な肉体的/心理的拷問で
白状しないと、毎日○人ずつ処刑していくぞ的な自白強要なんですが、
このグリューバーは、残された証拠をつなぎ合わせて謎を解くタイプなわけです。
つまり、ここで、単純なナチスの恐怖に対して、
チェコ全体か父親の命かいずれかを選択せねばならない、ヒロインの極限の緊張から、
観客は別の娯楽の方に息を抜かせてもらえるわけです。
ここに、ドタバタ喜劇が生まれ、推理の愉しみが生まれていくんですね。

画像の場面でも、ドクターの家にこそ怪我をしたレジスタンスの指導者が匿われているはずだ
と見抜いたグリューバーが押し込むと、婚約者があるはずのヒロインちゃんが半裸でいたと。
ドクターのこと好きになってしまったのと、嘘の不倫発言。
家探ししても指導者は出てこないけど、警部の後のカーテンの中に実は隠れていて、
ポタポタと血が滴り落ちる。
そこでドクターは酒を勧めるふりをしてわざと躓き、酒を零して血を隠す。
といった、丁々発止が、格別にハラハラさせられながらも楽しいわけです。

グリューバーが秘書とソファでいちゃいちゃしている背後に置いてある
ギリシャ風全裸の女性石膏像にも着目しましょう!
ありえない手の置き方をした像なので、笑えること必至です!

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本当はゲシュタポの犬として働くチャカ。
また観客にむかつく!感情を沸々と溜めさせるマグマの小壷の登場です。
チャカは、反ナチの地下組織に潜入して情報をもらし、
一度は組織の首脳部が壊滅に追い込まれそうになるわけですが。
このおバカさんは、本当に軽率な道化なので、最終的には全てのチェコ市民を敵に回して…。

前半に映画館で「死刑執行人」が暗殺されたという館内放送が流れ
全員が拍手喝采をするシーンがあり、
最初に拍手した奴は逮捕すると息巻くゲシュタポを皆でこけにする。
また、犯人を申したてようとゲシュタポに向かうマーシャを
お嬢さんが行く場所じゃないよと、大勢がからかい半分に留めるシーンがある。
そういう細かいエピソードの積み重ねで、観客の中に
逞しいチェコの人々の反骨精神への共感が膨らんでゆくわけです。

そして、ついにクライマックス。
表面的には笑って笑ってのチャカの大転落。
どこからどこまでが、申し合わせたことかは分からないけれど、
根っこにあるチェコ市民総反ナチ感情が結集していく痛快さがたまりません。

でもね。
笑い物にされたナチ側も、単なる間抜けではなく、やはり恐怖警察でることが最後にわかります。
ハラハラドキドキ娯楽活劇の側面も多分にあり
同時に決して笑うことのできない闇の過去、人間の最も卑劣な部分と最も高潔な部分が同時に観ることができる。

DVDもあるけど。
これは銀幕の光で、脇に人の呼吸や体温や笑い声を感じながら観るべきものだと思います。

ほんとこんな素敵な映画に出会えてよかったなあ。
残りの映画については、また後日。

悪夢の色彩

自分を律すること。
内省に内省を重ねること。
雑音を排除し志をもつこと。

静かな生活がしたいなあ。
ただそれだけなんだけど
いつも敵は自分の中にある。

***

久しぶりに「寒さ」の感覚が戻ってきた。
朝の通勤でジーパンびっしょり、お昼過ぎても乾いてません、ので寒いです。
それでも煙草を吸いに外に出る。
外の空気が吸いたいんだ。

8階建てのビルくらいの樅の樹が目の前の駐車場に立っている。
風と雨が一緒くたになって枝を揺らし、直ぐ脇の電線を擦っている。
火花が散らないだろうかとか、
忍者になれるなら、樹のてっぺんに立って一日風を聴いていたいなとか思う。
雨の降り出しのとき、小さな樹の下でも雨宿りに使える。
一方で、雨が上っても、樹の下は遅れて雨降りなので、傘はバラバラ鳴って面白い。

誰かの文章を詠む。
子供の頃に、そっちがわに渡れるスイッチがあったという話。
そっち側に渡ると、口の中が大きく無限大に広がっていく感覚がするのだと。
僕は扉の感覚だったな。
眼を閉じて、実家に二つあったトイレの扉を開くと、真っ赤な部屋にいける、行きたくなくても行ける。
もうひとつ、古い観音開きの箪笥を開いて、首をぬうっと突っ込むと樟脳の匂いの向うに光がある。
ああいう繰り返しの体験は、睡眠による夢でもなく、想像の「恣意」の扉でもなく。
今でも、勝手にパラメータだけ与えればどんどん話の進む白日夢をみてばかりいるけど
それとも少し違っている。
行けるのだけど、行って楽しい場所でもなく、帰り道もわかりづらいので、
自分から進んではいかない。
でも、一人で家にいて、三面鏡を万華鏡の中身みたいに三角に閉じて覗いたり、
古いオルゴールに入った、珊瑚とか瑪瑙の変なにおいのする指輪をこっそり触ったりしてると
簡単に扉は開いたのだった。

他者の夢の話は、えてしてつまらない。
つまらないといったら悪いけど、共感しづらい。
見た本人すら目覚めから砂が霧散するように壊れてゆくものを必死に再構築しようとするから
どうしても言葉は百分の一になり、映像が欠落した部分には、「補完」がなされてしまう。
不条理なものに、条理の欠片を補ってしまう力が無意識に働く。


幻の下宿人 (河出文庫)幻の下宿人 (河出文庫)
(2007/09/04)
ローラン トポール

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目的地に急がねばならないのに。
反対向きの電車に乗り、慌てて乗り換えて、さらに離れてゆく電車に乗り。
気づけば、そこは一日に数本の汽車しか来ない無人駅で、
ついでにその日の最終便はもう終わっている。
あるいは焦っているのに、無意味な議論を繰り広げ、時計を見上げてはまた別の人と言い争う。
日付は変わり、延々と時間は空回りし、待たせているであろう誰かの
悲しむ顔が沸々と浮かんでは沈み、いつまで経っても僕は「其処」へ行けない。

そういう夢を僕はよく見る。
待ち人の顔は悲嘆から絶望へと、絶望から諦念へと幾重にも黒ずむ。
本当は待っていてほしいのに、距離が広がる一方の僕の心も、焦燥を中空に投げ出そうとするのだ。
もうどうとでもなれってね。

「幻の下宿人」は息抜きで一気に読み切った。
とっておきの、覚めることのない悪夢の連続。
読む人はきっと、聡い主人公よりさらに先取りして、彼が追い込まれる未来像をみる。
彼が先住の下宿人になり、飛び降り自殺を余儀なくされることを知っている。
知ってはいても、トレルコフスキーに襲いかかる不条理の矢、隙間を縫う鮮やかな狂気の沙汰に、
ああ、この人は本当に映像の人なんだということを実感する。
血と汚穢まみれ、ついでに両性具有の夢まで叶えてくれる。

 突然、下の中庭が明るく照らされた、疾駆してくる馬蹄の響きが、あたりの静けさを破った。トレルコフスキーは好奇心をそそられて、よく下を見ようと窓から身を乗り出した。
 本当に、一人の騎馬の男が中庭に侵入してくるところだった。仮面《マスク》をかけているので顔は見分けられないが、大きな暗紅色のフェルト帽の影が、さらに仮面《マスク》を助けるように顔を覆っている。馬の尻の上に、人間の身体が横に寝ていた。トレルコフスキーは確信はなかったが、どうも縛りつけられているらしいと思った。人々が中庭でうごめき始めた。アパートの連中が見知らぬ仮面《マスク》の男を取り巻いて、何かわけの分らない身振りをしながら話しかけていた。青空のネッカチーフを頭に巻いた女が、トレルコフスキーの部屋の窓を指さした。男が馬からおりた。そして、馬のまわりを一回廻ってから、トレルコフスキーの部屋の窓の真下に歩み寄った。男は片手を上げて、まるで太陽でも見上げるみたいに、額の上にかざして、おそるおそる警戒するように、トレルコフスキーを見詰めた。オリーヴ色のズボンをはき、黄土色のセーターを着、ブドウ色のベレー帽をかぶった子供が一人、男に近づいた。そして、男に大きな黒い袖なし外套をうやうやしく差し出した。男はすぐにその外套を肩にかけると、軒庇の下に姿を消した。ほかの連中も、やはりまだ捕虜を積んだままの馬を引いて、どこかへ消えてしまった。そして灯りも消えた。トレルコフスキーは夢を見ていたんだと考えることもできただろうが、やっぱり、自分が死刑執行人の到着の場に居合わせていたことを知っていた。おそらく、男は今ごろ、トレルコフスキーの部屋に通じている階段をゆっくり登っていることだろう。やがて、ドアをたたき、返事も待たずに部屋の中に侵入してきて、不吉な仕事をやりとげるだろう。その仕事がどんなことなのか、トレルコフスキーは充分に承知していた。叫声をあげたとて、必死に頼んだとて、彼は窓の外へ突き落とされるだろう。

河出文庫2007 192-193p


 

ところが、中庭では、次のようなことがくりひろげられていた。 
 一人の青い仕事着を着たアパートの住人が自転車で走り廻っていた。彼は輪を描いたり8の字を描いたりした。トレルコフスキーの部屋の窓の下にくる度に、彼はトレルコフスキーに大きく笑いかけて、ウインクして見せた。サドルには一本のロープが結びつけてあった。そのロープは女を型どったロウ人形を引きずっていた。それはショーウインドーの中でドレスを着せられて陳列されるマネキンみたいだった。マネキンはでこぼこの地面の上ではね上がり、両腕をまるで生きているように動かしていた。たちまちロウがぼろぼろにくずれ、マネキンは地面にこすれて擦りへっていった。そして女を型どったマネキン人形は酸をかけられたみたいに跡かたもなくなってしまった。そして、自転車のうしろに引きずられているのは二本のあしだけになってしまったとき、自転車にのっていた男がトレルコフスキーに皮肉な合図を送った。そしてどこかへ消えてしまった。
 次は、棒で串刺しにされた巨大な魚を持った二人の男が現われた。男たちは中庭を数回廻ってから、持っている魚を地面に投げつけた。そしてトレルコフスキーの目を真正面から見詰めた。そして、自分の行動には目をくれないで、魚の腹を裂いて中身を取り出した。魚の内臓が溢れて、見る間に男たちのそばに小さな山を作った。すると、二人はうれしそうに笑って、魚の内臓を頭にのせた。二人は魚の内臓の冠で髪を編み、内臓を両耳からたらし、首のまわりに巻きつけた。それから、よく少女たちがするように、片足でぴょんぴょんとびながら立ち去っていった。
 二人の男のうち一人が、すぐまた現われた。そして、大きな警笛を思いっきり吹き鳴らした。そのひびきは、放屁するとき出る音に似ていた。
 そのとき、玄関口から、たてがみをつけたライオンが進み出てきた。それは縫いぐるみのライオンで、中に二人のアパートの住人が入っていることがすぐ分かった。 228-229p



もうこうなってくると極彩色曲馬団の様相。

それが彼にとって救いになるのかどうなのか、判らないけど。
夢オチでも、エープリルフールでも、
どっきりカメラでも出てきてネタばらしでもいいから
トレルコフスキー君大変だったね、君はよくこの悪夢と格闘してくれたよと
殊勲賞でもあげたい状況ではありますが、
裏の裏をかかれて、今や彼は病院の寝台の上の人。

ああ、どこかでこういう話読んだなと思ったけど、
これは安部公房の匂いに似てるんだな。
全てが悪意の罠で、息もつかせない。

ポランスキー=トレルコフスキーの映画「テナント―恐怖を借りた男」みたいですねー。
素氏持っているような気配出していましたが。
ついに自ら女装にしてシモーヌに扮し、敵の牙城に入って裏をかくつもりが。
シモーヌと同じに前歯が抜けちゃった、
抜けた歯は「あの壁の穴」に収まってた!のシーンですか、これ。

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***

悪夢というか迷宮というか。
揃ったはずの、カラマーゾフが見つからないんです。

三巻ないないと叫んでいたら、それはようやく出てきて。
でも四巻がないんです。
おかしいのは手帖の書籍購入メモには、1,3,5,4の記載があって。
じゃあ、あと2を買えば揃うなと思って、この間2を買ったわけです。
苦行の二巻、ほんと投げ棄てたくなった第二巻。
それを乗り越えたのに。
なぜか、二巻が二冊あることが判明。

そう、おいら一度も五冊並んだ姿をみていないのです。
メモに惑わされたか!第三巻ももう半分すぎちゃったぞ!
つまり、全部見つかっていないので、他の本を読んで迷宮から逃げているという。
カオスな家は困るううう。

夏コミ

13日は沢山のご来店ありがとうございました。
搬入数減らしたのもありますが、今回は西館のまったりジャンルに囲まれ
心地よい海風も入ってきて、昨夏とは一転ダンボール返送もなく、販売数ものびました。

この日の買い物は。
個人的に大応援中サークル、唯一の数学ガールサークル・数寄屋さん。
原作やっと一巻だけ買ったけど、まだ読んでません。
だって微妙に人気で古書価がなかなか下がらないんだよー。(新刊で買え!)
このサークルさん数学科出身の人たちが作っていて、
2回隣同士になったとき、こっそり聞こえてくる会話にほのぼのできたのでした。
素氏が耳に挟んだのは、僕たち同様、社会不適合宣言。
オタクは社会に貢献できそうにもありませぬ。

あとは、昔からの虚無への供物への供物さんとか、
乱歩サークル・全盲カタルシスさんとか、横溝サークル・夢観音さんとか。
ついでに今回は映画/芸能ジャンルが近かったので、そちらも廻る。
ついつい黒澤明べつに好きじゃないのに、黒澤映画をいろんな漫画家が絵にしたらどうなるか?
的な本を購入してしまう。
高野文子/かわぐちかいじ/水木しげる/岡野玲子/吉田秋生/弘兼憲史/細野不二彦/谷口ジロー
風などめちゃくちゃ特徴とらえていて、笑えました。

コミケといえばコスプレですが。
ちょうど、スレンダーでヘソ出しチャイナドレスに髪も中華簪(説明しにくい)で
キメキメのお姉さんが目の前を通りかかり。
「わー、あの人綺麗やね。コスプレ写真とりたくなる気持ちわかるわ」
と絹山がつぶやいた瞬間。
横幅も、全体の印象もショボーンな金髪ヘソ出し女子が通りかかり、素氏と同時に噴き出す。
さらに、その天地月鼈な二人が、同じサークル席に収まったので、いっそう困る。

昔からそうですが。
コミケはカワイコちゃんコスプレーヤー多いほうですが。
なぜ、間違ってる人が間違ったプレーをするのか、誰か解決してほしい。

いつもは外に打ち上げ飲み会しにいくのですが。
さっくり自宅近くに着くバスで帰れたので、ちよだ鮨で半額のお寿司を買い、
コンビニで偽麦酒を買い、おうちで録画した番組見ながら乾杯!

***

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何年振りかなー、二日連続のコミケ。
そして一般入場。
開場してからのほうがいい、でも早く行きたいのジレンマの中。
都バス一本で、10時半に西館前に到着。
傘は閉じてくださーい!の声に、日傘を閉じて首を焦がしつつ列にならぶ。
ほとんど留まることなく、あっという間に、西東館2階に続く大階段へと進んでしまう。
気づけば、15分で入場していました。
コミケスタッフの方の、年々素晴らしさを増す誘導に感謝。

どっちから回ろうかなー。西か東か。
迷った末に、やはり本日の使命、謎の新刊2冊を入手すべく(゜(○○)゜) さんのところへ。
よかった!まだ積んでありました。
Pさんと虫ちゃんのことなど少しお話させていただく。

その後、西に戻って、JUNEと創作少年/少女をのぞく。
サークルチェックして来たのも、何年ぶりかしら。
赤美潤一郎さんと夏目わらびさんのところで、本が買えて幸せ。
創作少年を練り歩くのが大好き。
ほんとみんな絵が上手いし、好みの漫画を探す至福の時間だ。

もう一度東に戻って、鉄道とかみたいと思ってたんですが。
この時点で汗だくだく。
12:30だけど、まあいいかと、バスに乗っかって帰ってしまいました。
でも、久々に色々面白い本が買えて楽しかったです。

***

次のイベント参加は、11/3の文学フリマ@TRC。
会場が変わるので、どうなるか、楽しみです。

そして冬コミの申し込み、郵便の方は、17日締め切り!
早い、早すぎる。忘れないようにしなければ。
では、また次のイベントに向けて、こそこそ頑張ります。

I'm proud of you

GWのこと。
神戸から下の妹がやってきた。
色々なことがあって、僕は実家とはかなり疎遠になっていて、
この妹とも昔はべったりだったのに、6年近く話すこともなくなっていた。

僕の悪影響で美大にいったけど、その後転々としてCADの仕事をしている。
そして数年前から某大学の通信講座+休日講義実習を経て、二級建築士を目指している
と間接的に聞いていた。
東京に来たのは、明大で行われたレモン画翠主催の学生建築コンペに参加するためだという。
なんでも卒業制作で一番だったので、参加権が与えられたけど、
元々コンセプトのみのひとつのCG作品を三つに広げて、
さらに苦手な模型とパネル制作を一カ月足らずでやらないといけないという。
東京のこと全然わからへんから、宿だけでも取ってくれへんかなあ。
そんな電話がかかってきたのは、四月頭くらいだったか。

週末大学に泊まり込み、模型好きの同級生、A1スキャナを自宅にもつパネルプロの先輩
なんだか不明なお祭り野郎たち。
僕と同じように人づきあいが苦手で、僕以上に体力不足なのに
大勢を巻きこみ、大勢で車に大きな模型を積んでやってきた。

久しぶりに会ったので、喋りまくってたかも。
何年たっても中学生の頃、みつあみを編んであげていたぼんやりした顔のまま。
でも、おしゃれとか女子力は遥かに遥かに大人になっていました。

この値段でこの情報量!とビックリの超お得な建築地図(↓)を片手に、都内を散策しまくった。
近代建築はちょこっと知識のある絹山ですが、現代は全く分からないので、
色々教えてもらってすごく面白かった。

建築MAP東京 mini〈2〉建築MAP東京 mini〈2〉
(2005/11/10)
ギャラリー間

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丹下健三の東京カテドラル教会にいくと、ちょうど結婚式の最中。
吸い込まれるような高い天井と静謐の中に激情を含むようなコンクリートの壁面に惹かれた。
今まで興味もなかった銀座や表参道のたくさんのファッションビルたちが
そういう視点でみるとなるほどなるほどと、急に違ってみえてきました。
隈健吾のやりすぎ寺院とか、伊東豊雄のミキモト銀座2、TOD'Sとか。
僕はどうしても嫌だと入っていかなかったブランドビルのあれこれも
「意匠魂」で妹は突進していきました。

そして、へとへとに歩きまわって、青山こどもの城に抜ける静かな坂道の途中。
まったく意図していなかったのに。
妹の一番好きな伊東豊雄の事務所を偶然発見するという大笑いの結末。
記念じゃー、オレが見張りしてるから写真とってこーい!
の掛け声で、苦笑いの妹も写真をパチリ。
楽しい楽しい散策の二日間でありました。

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展示最終日、ちょうど素氏の休日だったので、二人で明大に作品展示を見に行きました。
"記憶の中のimage”と題して
阪神大震災の鎮魂をこめた文学館
個を優先させながらも、三人の共通する趣味をもつ人間の住むアトリエ住宅
リボンのたゆたう波を通路や構造体に応用したファッション美術館
という三点を妹は出品していました。

デッサンが昔見せてもらった絵よりもずっと寂しさを湛えていて、
僕の心は小さく丸まっていくような気分になりました。
姉妹三人はみんな方向性は異なるけど本好きで、みんなどこかへ行きたいと願っていました。
三人三様もうお互いに深い心の中を理解することはできないけれど、
根っこの傷みは同じなので、
特に文学館の破壊から墓標へとつながるイメージは一層胸をつくものがありました。

そして、この作品は素氏もとても気に入ってくれたようです。
今回の新刊、まぼろしたてもの建築編のまとめに、
次号へのつながりとしてふさわしいと紹介してくれました。
本当にありがとう。

いつだったか、素氏が日本の親と違って、子供を個人としてみる海外の親は
自分の子供を褒めるときに、I'm proud of you.というのが素敵だと言っていました。
僕たちの育った家は、正反対の育て方でした。
だからこそ、子供を自分の持ち物のように自慢したり、虐待したり、
自分のできなかった夢を実現するmediumとする親を僕は呪詛してきました。
昔は沢山沢山、オモロイ影響も悪魔的な影響も与えてしまったけど、
今はきっちり自分の道を進んでいる妹に遠くからエールを送りたいと思います。

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恐怖の味噌汁 vs 恐怖のノコギリ

まずは夏コミのお知らせ

8/13(土) 東京ビッグサイト 西1ホール ほ35b
黒死館附属幻稚園 

新刊「黒死館逍遥 別巻1 まぼろしたてもの考1」
B6 108p 700円

既刊:逍遥5号以降&その他もろもろ 販売あります。



「逍遥」はいつも石川県珠洲市で頑張っているスズトウさんにお願いしています。
僕が最初に同人誌印刷をお願いしたところで、思い出深いです。
ほんと電話でトンボの入れ方とか教えて貰ってました。

最初のくせにというか、最初だからこそというか。
大好きな西条公威さん(いまでもBL小説の中で文章が一番上手いと思ってます)の
かっこいい同人誌のデザインを真似をしてみたかった。
銀色の光沢紙に、赤の単色刷り、本文用紙は色上質鼠色。
今にして思えば、本文はともかく表紙は別の印刷屋さんでセット選択して安くできたのに、
わからんから、スズさんで通常印刷になり結構値が張ったことも懐かしい。

で、「逍遥」はすずセット。
表紙:OKミューズカイゼル白110kg一色刷り、本文:美弾紙ノベルスという仕様。
カイゼルって、紙に入った梳き込みの模様がカイゼル髭に似ているかららしいです。
この一色刷りが結構くせもので。
選択可能な色が、20位あるんですが、変な色が多くてですね。
蛍光オレンジとか、なんで入ってるねん!なんですよ。
一方で、緑といっても、渋めの緑は外されて、明るめや白っぽい緑が入ってると。
毎回、うーむと悩んでおりますが。
まあ、このカイゼル君のいいところは染み込みがいいので、
ミラーコートに刷られた色見本では、派手やなあと思っても、結構いい仕上がりなのが救い。
過去に使った同色で逃げたこともありますが、今回は初めてメタルにしました!
別巻はメタルだ!ブルーメタルだ!
これ、黒っぽい表紙に使うと綺麗な色だわ。
ま、カイゼル君白ですが、いい色味に仕上がりましたです。

スズさんのいいところは、製版が素晴らしいところですかね。
多分凄腕の職人さんがいるんだと思われます。
(ただ、過去に変形本の断裁はダメだったことあり)
これをFC、PP貼りならここが一番安くていい大陽さんに頼むと、製版が薄くなるんですわ。
今まで僕が使ったのは9社なんですけど、それぞれ得意不得意がありますから。
価格と腕と対応と仕様のバリエーション等諸々を考えると、
しまや>スズ>大陽>hope21>printwalk>日光>あかつき>光>>comflex な感じ。
あくまで、僕の個人的な意見ですし、一回しか使ってないとこもありますし。
あんまり気にしないでくださいまし。

印刷会社のパンフ見てると、ここのところ自分でほとんど同人誌つくってないので
知らない特殊紙が増えていて驚きます。
あー、また紙見本指でスリスリしながら、仕様考える機会ができたらなあ。

はい、はやくテメエの本を出せ!という落ちですね。

***

さて、毎日炎暑炎暑で、タヌキも溶けちゃうわ、ですが。
ついでに体力低下も相変わらずでして。
月曜日、またも「もしもの日」というか本当に動けず。
眠り倒したら、今度は眠られず、火曜日は徹夜状態で出勤となりました。

日傘にかじりつくようにして、亡者の行進30分。
モウロウモウロウ、半眼じゃなく1/4眼でずるずる進む。
職場の近くは、ずーーっと高級住宅街が続いていますが、
ここにも不景気の波が押し寄せるのか、最近、
大きなお屋敷解体→更地→分譲売地→変な小さい家が建つ
のコースが徐々に増えておりまして。
道々どこかしらで、建築現場にぶつかることも多くなりました。

モウロウの隙間から、ギーコギーコと威勢のいい、ノコギリを引く音が聞こえてまいります。
そうですねえ、太さ10cm程の角材を切っているような、その割に一秒間に二回くらいの忙しない引き音であります。
ギーコギーコ。
歩けど、歩けど、ギーコギーコでございます。
思考停止、遠赤外線、アスファルト輻射熱を浴びておりますが、
次第に僕の中に疑問が湧いてきました。
なんで、もう何ブロックも歩いてるのに、同じ大きさでノコギリの音が響いているのか、と。

そこで、周りを見渡してみました。
お屋敷町はクネクネ細道、自動車も通れませんし、人通りもかなり少ないのです。
斜め45度くらいでしょうか、後へ頭をまわしてみました。
そこに、いたのは。

おっさんと、小さい影。
小さい、短足の、犬!
ギーコギーコは、よくよく聞けば、瀕死の喘息持ちのようなパグ系の犬の呼吸音だった!
激しい、激しすぎるぞ、やばいぞ、斃れるぞ!

あー、僕は動物飼わない主義なので、お犬様の習性は詳しくは分かりませんが。
あの背の低さの犬が受けている地面からの熱、日傘なしの直射日光、粘膜様の肉球の火傷寸前の傷み、熱発散のために出した舌の小ささ。
大丈夫だとは、到底思えません。

ごしゅじーーん。
死んじゃいますよ、こんな炎天下に散歩させて。
真夏の朝の夢、恐怖ノコギリ犬の巻でした。

東京の交通100年博

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金曜日、両国の江戸東京博物館でやっている、「東京の交通100年博」にいってきました。
夏休みの子供たちで溢れてるんじゃないか!とびびりながら行きましたが
結構拍子抜けくらいに空いていました。
ぐるっと回って、その理由がわかったような。
展示室の中には実物大の都電車両があって、そこだけ子供たちがチンチン鐘を鳴らしまくっていたけど。
他は、地味なんだな。
レールの切断面とか、記念切符とか、制服とか。

いや僕は楽しかったけど、それでも「博」と銘打つならば、
もう少しわくわくするような展示の工夫がほしかった。
この展覧会の開始と同時に、貴重画像満載のDVDが出て、素氏は発売日にうおーっと買いにいったのですが(笑)
あと図録も片方(都営交通100周年都電写真集)は結構充実しているのですが。
どうも、マニアの人には分かり切った話、都電を知らない世代には地味地味。
だから本当に都電を懐かしいと思える世代にしか受けないのかなと思えました。
荒川線以外の撤廃は昭和47年ですから、現在50歳以上の人ですかね。

僕の家の近くには、亀戸に向かう緑道があります。
ここは、まさに都電の走っていた跡で、チャリで走るとちょっと嬉しくなります。
走っていたのは、都電29系統。
秋葉原近くの須田町から、両国錦糸町亀戸に西から東に進み
亀戸で南下、江東区の大島、北砂を抜けて境川から再び東へ、葛西橋まで行っていた路線です。
廃線は、1972.11.12。
乗ってみたかったなあ、ですが、僕はまだ三つの砌。
京都のおばあちゃんの家に行くのに、嵐電で四条大宮から車折まで似たような電車に揺られていた頃です。

しかし、鉄ちゃんではないけど、こういうものが好きなのは。
やはり消えてしまったものへの憧れなんだろうなと思います。
廃線図みてるだけで、どきどきできるお手軽懐古趣味。

もし廃線図や路線の統合や廃駅なんかにどきどきしたいなら、
何日でも遊べるシリーズがあります。
我が家は、別巻・満州樺太編までそろえて、楽しんでいます。
先日も、素氏と私鉄T線考証絡みで渋谷駅の路線変遷を眺めてわいわいやっていました。

日本鉄道旅行地図帳〈歴史編成〉満州樺太 (新潮「旅」ムック)日本鉄道旅行地図帳〈歴史編成〉満州樺太 (新潮「旅」ムック)
(2009/11)
不明

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震災後、新潮社のメルマガで、この鉄道地図の編集部で
「日本鉄道地図帳 東日本大震災の記録」というブログが始まったことを知りました。
今回の大災害で廃線・路線の変化も訪れることが予測され、それを見つめていこうという企画です。
ご興味のあるかたは是非 →こちら

雷ごろごろ

出先でさっきからものすごい雷の連続。
ピカピカゴロゴロドンドン。
そしてついに、一瞬停電が。
まもなく復旧し、電源つながっていたPC慌てて確認しましたが、無事でした。
先日ご近所のビルの前の木に雷直撃したらしく、炎上。
その上、そのビルのエレベータが電気系統いかれたらしい。
コンセントにつながってるだけで、家電旅立つ可能性あるから、恐ろしい。

そういえば、子供のころ、昭和50年代前半。
ってまだ停電が結構あったように思います。
懐中電灯ではなく、太いロウソクがいつも引き出しに用意してあった。
あれは落雷とかではなく、本当に電力需要オーバーだったのかもしれませんね。

***

乱と灰色の世界 3巻 (ビームコミックス)乱と灰色の世界 3巻 (ビームコミックス)
(2011/07/15)
入江 亜季

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入江亜季さんは、ここ三年くらい急成長のお気に入りさんだ。
「群青学舎」の短編オムニバスも素晴らしかったけど、
現在連載中のこの作品は、僕の求める真のファンタジー要素がてんこもり。
魔法使いも出るし、狼男もでるし、人に寄生して魔を吹き込む虫も出てくる。
なにしろ主人公の乱ちゃん(小学校低学年)が、オンボロスニーカーを履くと
ボンキュボンのムチムチ美少女(高校生くらいかな)に変身しちゃうんだから。
でもオツムは天真爛漫、我儘な小学生のまま。

普通こうゆうアイテムって、僕の苦手なファンタジーと思われるのだけど。
なにが、かの忌まわしきスペースオペラなどと違うかといえば。
従来のファンタジーは、世界や原理は非人間世界であっても
そこには俗世間と同じ「ひゅーまんどらま」とか「年代記」なんてもので
すっかり濁り固まっていて
ついでに、誰が決めたかしらん、「掟」とやらで龍の目玉をあつめるぜ!
苦難をのりこえ、愛と冒険活劇だとかいって、暑苦しい話になるんです。

でも、入江さんはそうはしない。
漫画のコマからはみ出そうなくらい、みんながハチャメチャに遊んでいて
でもこの日本のどこかにちゃんと足がついている。
恋のドキドキも、魔法界のエステの凄技も、みんなみんな楽しくて
これこそ漫画の王道だ!と元気を貰えること請け合い。

まあ、少し絵が雑になってきた感があるのですけど
それは、このハチャメチャな浮遊感にはふさわしいものといえるでしょう。

入江さんは幻想水滸伝でサークル活動されていたようで
本家のゲームは全く知らねど、ちょこちょこと収集して楽しんでいます。

おキツネさん

真夜中。2:30。
僕の住む、長屋風ちっこいちっこい家が密集するブロックで。
二階の窓を開け放って、大の字で眠っていたら、
どこぞの家の中から、高周波数のアラーム音が鳴り響く。
僕が普段使っている目ざましとそっくりの鳴り方をするものだから、
びっくりして、何度も確認するけど、関係ないことが分かる。
そして、そこから、延々と、持主は一度もsnooze機能も使わず、
三十分以上、その電子音を鳴らし続けたのであった。

耳鳴り常時君の僕には、非常に苦しい周波数帯があって、
そこと電子音が合致しているものだから、全く寝られず。
聞こえる方の耳を枕に押し付けてもダメ、ついに窓を閉め切ってもダメ。

聞こえない耳をカバーするために、右の聴力は相当いいので、
これくらいのカバーじゃ太刀打ちがならないのです。
そういえばこの間、職場の一階のホールで、
二階のラボの中においてきた携帯のメール受信音をはっきりと聞き取ってしまい。
(途中扉もあり、僕の席は扉から10mは離れている)
まさかなーと思って席に戻ったら、ホントにその瞬間にメールが来ていた。
周波数限定地獄耳のおそろしさよ。

***

本日も渋谷でプチバイトあり。
バイトまで、初めて渋谷ブックオフに寄ってみる。
クラブクアトロの下、BFから三階までびっしりです。
地下には古着古雑貨まであるらしいけど、今日は二階の文庫単行本のみ。
ここは、白金のブックオフに似ています。
洋書がかなり置いてあって、単行本が100ではなく200円均一がある。
その分、置いてある本のレベルが、普通のBOよりも高めになってる。

カラマーゾフ第一巻読了。
光文社古典新訳シリーズでドストエフスキーに入った人も多いと思うけど、
「失われた時を求めて」の第一巻ばかりが転がっているに似て、
こいつも結構手ごわいわと思う。
いや、「罪と罰」から入って良かったと思っているわけです。

エピソードの個々は時折面白かったりするのだけど
「罪と罰」で感じた嘔吐感なんてぽーんと蹴飛ばすほどの俗・俗・俗の嘔吐の連続。
仕方がない、この一家は、女たらしとおキツネさんでできているのだから。
読んでいて、家長フョードルに殺意を覚えるのは、わざとなんだ、策略なんだ。
登場人物に殺意を覚えさせる程の嫌悪って、相当のものです。
大丈夫、ちゃんと読了してみせるさ。

亀山ノートによれば。
一つの重要なタームとして、おキツネさん(ヒステリー下の憑依風の女性)を含む神がかりが
ドストエフスキー作品には沢山登場してくる。
彼らは、日本のように土蔵に押し込められるのではなく、
一般人よりも遥か神に近しい者として、集団のなかで大切にされているのであります。

で。
神がかりじゃないんだろうけど、僕はよく変な人に会う。
さすがに毎日とはいわないけど、一週間毎日ちがうタイプに会うと、なんでやねん!という気分になる。
そして、当然ながら、みんな無視していて、だれも神に近い人などと思ってない。

今日も、先のBOで海外文学の200円棚を観ていたら。
横からおじさんが、ブツブツ言ってる声が聞こえた。
ひとりごとかなーと思ってたけど、やたらと声が大きい。
話しかけてる?
話しかけてます。
なにやら、俺はこの日本経済の破綻を予言していた!みたいな内容。
二、三歩逃げてみた。
追いかけてきた。
平台バンバン叩きながら、日本はもうダメなんだと。
ええ、ええ、だめでしょうとも。
でも僕は、目の前にある新潮社クレストの粗筋が読みたいの!
ちょいと振り返ると、ぐっと顔を近づけてくる。
おっさんの主張は続いたまま。
くそー、本選ばせろ!と裏側の本棚まで逃げる。
追いかけてくる。
さすがに、身の危険を感じたわ。
ペーパーバックのコーナーで振り切ったわ。



先々週。
踏切に沿って歩いていたら、おじさんが荷物を狭い道に広げて
コサックダンスの途中みたいな姿勢で呆然としていた。
その日は炎暑で、夕方になっても溶けちまうほどの暑さであったのに。
おっさんの周囲には食べかけの弁当、お風呂セット、調理道具が
一応遠慮がちに広がっていた。
その置かれていたものが、どうも合点のいかない組み合わせであった。

さらに翌日、同じ線路沿い。
向こうから大きなカートを引いたおっさん。
おっさんの腕からなんかぶらぶらしてるなーと思ったら、血圧計。
いや実際には機器はついてなく、圧迫帯と送気チューブだけだったけど。
まったく気づいてないってなんだろう。

***

明日は、東京の交通100年博@江戸東京博物館をちょいとみてきます。
今週、上司みたいな人たちが夏休みで、すっかりパラダイスでしたが
沖縄台風直撃、欠航で帰ってこれず、明日も来られませんとの嬉しい情報が。
いい、いい。
今週は出勤しながら夏休みということで。
同時に天の恵みか!?夏休みの素氏ともども、ダラダラ週間万歳であります。

香りを読む

人にはそれぞれどうしようもない性質というのがあり。
僕はそりゃあ何度もこの業のせいで、友達ほぼゼロ人を誇っているのですが。

いわば距離の取り方がわからないぜ、
というのと変なエンターテインメント魂が混交すると
こういう結果に終わるという話。

例として一番起こりやすいのは、同人界である。
同人関係は萌えがある、普段喋りたいのに喋れない、
なので喋れる相手があると、爆発的にしゃべりだす。
では、萌えがあんまりなくて、普段溜まっていない、
躁は一年に十日もない僕はどうなるかというと。
とりあえず、疑似躁を作り出す、酒の力でね。
そして、関西人に眠る楽しませまっせ!によって、相手を調子に乗せてしまう。
ここで既に躓いているのである。

彼女たちは、突進してくる。
そりゃそうだね、絹太さんはオモロイ人みたい(あくまで【みたい】)だもんね。
そこからメールや手紙やなんやらかんやら。
突進突進。

でも、普通に考えると、別段突進していないんだろうと思う。
心遣いに溢れたプレゼントや言葉や感想がいっぱいだもの。
とはいえ。
僕の決死ラインは、非常に遠くにあるのだ。
そこには、勿論砦もない、石ころも、白線すら引いていない
と感じられるほどに、僕から離れた場所に導火線は埋められている。

だが、僕には日々、一人の人が馬に乗り、槍をもち、十人、百人、万人と
一個師団を構えた、ズサズサズサという足音が鳴り始めているのだ。
たとえば、ラインはこんな風に踏み越えられる。

合体サークルで、スパコミに参加しませんか?
一緒に中古同人屋巡りしませんか?
私のうちに泊まりにきませんか?

ね、ラインなんてちっとも踏み越えていないと思われるでしょ。
これがねー、爆発しちゃうんですよ。
きっとその日まであった小さな綻びが、だーっと一気に裂けてしまうのでしょうね。
初めから、違和感があったら我慢しなくて逃げちゃえばいいのにとか。
せめて爆発しそうになっても、ふ・ぇ・い・ど・あ・う・と
なんていう素敵な世渡り術があるんじゃないかと自分に指導してやりたいですが。

必ず、破裂します。
絶交だ、踏み越えるんじゃねーってあからさまに告げてしまいます。
困ったチャンですね、呆れますね。
相手が吃驚するのも当然ですね、別人に変わったとしか思えないですね。
なので、最近はこういう失敗を繰り返さないためにも
日々あえて自らをウツに置き、酒を飲んでもしずかーにしずかーに。
しているつもり。

まあ、どうしようもないこんな性格はさておき。
こんな風に僕にあっけなくふられてしまった一人の売り子ちゃんが
当時、木の実やスパイスで作った小さな造花やアクセサリーをプレゼントしてくれていました。
調べてみると、「ザルツブルガーゲビンデ」と本当は呼ばれていて
ウィーン滞在が長かった彼女が身につけていた趣味としておかしくないものだったと分かります。

仲がまだ良かったころ、彼女は僕に「香り」にまつわるお勧め本を尋ねてきました。
いわゆる幻臭ともいうべき、小説から匂い立つ香りではなく、
実質的な香料本を訊かれたので、当時は何も知識がなく返答に窮しました。

そもそも、僕は化粧品の一番大事なのは「無香料」、
香水なんてもってのほか、化粧品売り場は脱兎のごとくな人、
実質の一般的に「いいかほり」と言われてるものが苦手なんで、お話になりません。
僕の好きなのは、煙草と正露丸の匂いです。
正露丸はビンに鼻をくっつけて吸い込むと、くらくら恍惚感が味わえるほど好きです。
ついで、アセトン臭に近い有機溶媒系という輩なんですから、
ますますもって訊く相手が間違ってます。

が、あれから数年を経て、彼女に薦めるべき本に出会えました。
前置き長すぎだわ。

調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫)調香師の手帖 香りの世界をさぐる (朝日文庫)
(2008/12/05)
中村 祥二

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著者は長く資生堂の香料研究部に勤められ、チーフ・パフューマーから常勤顧問に至った方です。
この本の凄さは、昨今の文字だけでかいペラペラ文庫や新書など足元にも近づけないほど
内容が多岐に渡っていて、読んでも読んでも香料があふれてくること。
香料原料の基礎知識、科学的考察、調香の技、香りの歴史、香りにまつわる文学と。
おなかが破裂せんばかりのボリューム。

特に面白かったのは、自然香料をGC-MSにかけてるのですけど
クロマト分析の結果、香りの主要成分がわかり廉価な人工香料が大量につくることができるようになったこと、
しかしながらいまだに全ての成分を再現することはできないとか。
例えば、ブルガリア・ローズには600種類以上の成分が含まれていて
既に化学構造の判明している300種の成分で全体の95%を占めるが、
これらを組み合わせても香りの耀きも、酷も欠けていて、特に「磯臭さ」がでないとか。
そうか、薔薇って磯臭いのか、ホントは。

昭和の懐メロで有名な「夜来香 イエライシャン」。
こちらは、リュウゼツラン科の月下香やナス科の夜香木と混同する人が多いとか。
本物の夜来香は、ガガイモ科に属する黄色い花が房状をなし、
昼は薔薇+フリージア+ジンジャーの控えめな匂いなのに
夜になると青臭さと沈香の匂いが混じってまさに「夜の匂い」にかわるんだと。
一度嗅いでみたいけど、数年に一度しか咲かないんだって。
でも、歌の「夜来香」は筆者の見解によると、夜の匂いといっても本物は控えめなので
歌通りの妖艶さを醸すといえば、月下香でないとおかしいらしい。

Telosma-cordata.jpg 夜来香

TUBEROSE.jpg 月下香
 
聖書に出てくる「ナルドの香油」探しの話も面白かった。
マグダラのマリアがイエスの足/頭に注ぎかけたとされる高価な香油。
ナルドというのは、正式名スパイクナルド=甘松香といい、ヒマラヤ山系原産の多年生草木の根っこからとれるらしい。
古くから薫材、線香の原料で、芳香性の健胃剤にもなったけど、
現在は工業的に精油されていないから、入手が難しい。
もともとこの調査は、
クリスチャンの友人が死ぬまでに一度その聖書に書かれた香りを嗅ぎたいという願いを叶えたいとの
一読者の投稿に端を発していました。

さすがは、チーフ・パフューマー。
手を尽くして日本でわずかに扱っている香料商社を見つけ出し、早速その願いを叶えてあげたのです。
匂いは、干し藁の香りに近いらしく、高温乾燥地の地中海東部では、
きっと素晴らしい匂いに感じられたであろうとかなんとか。

Spikenard-berries1.jpg
spikenard

まあ、色々書いても、元々知識がない僕の紹介ゆえ
引用一辺倒になって、逆に風味が損なわれてしまうでしょうから。
ちょいと、自分のテリトリーに引っ張ってきまして。
ここ一年近くコツコツやってる虫太郎関連の某調査に絡めてと。

虫作品に出てくる香料の名前は、さほど多くはありません。
例えば、
麝香、素馨、沈香、丁字、馨香《マスク》、花の精《ブルーノガイスト》、肉桂
といった感じで、珍しいものではありませんが。

ひとつ、「魔麝香《ネツ》」という曲者があります。
使用例としては、こんな感じ。

またそこには沈香、魔麝香《ネツ》など甘美なにおいを放つ、香料をみたした黄金の爐を置きましょう。【新疆】

この、魔麝香《ネツ》のかおりを嗅げば、生き観音《ミンチクワンノン》になれる。【紅い喇嘛仏】


虫お得意の馬来語でしょうかね。
まだ抽出作業中なので、判明次第、お知らせしたいと思っています。

ニューコーその後

今回冷や汗たらたらというか、鬼編とかいう名の鬼変がウツがすごくてですね。
エンジンかかんねーだったので
ついでに、原稿期間に入ると仕事の予約がてんこ盛るといういつものパターンで
毎週末休日出勤で。
いい加減にしろ!だったので、
最後の日曜日は職場で誰もいないのをいいことに、ガンガン原稿やって
いつの間にか、一日早く仕上がっていた。。。と。

素氏本人から、告知があると思うので、詳細はのちほどですが、
今回は、「黒死館逍遥」とはいいながら、別巻です。
それも1/3、、つまり三冊分冊の一冊目です。
まぼろしたてものです。
いつも以上に、自分のキャパというかテリトリー越えすぎてて、校正構成攻勢死にました。

なぜか、絹山の五コマ漫画が二つ載ってます。
オレ、元は文字書き一本勝負な人なのに、最近おかしいです。
お目汚しですが、息抜きに笑ってもらえるといいなあ。

***

で、追込みのために木金を振り替え休日とってたので、金曜からふりーだむ♪
寝まくった、寝倒した。
ゴロゴロして、本を読みまくった。
土曜日は気晴らしに、下北沢で五軒古書店をハシゴ、幸せ。

新しくできた、某ダーウイン標本室も覗いた。
餃子の王将の斜め前、いい立地の角地にあるんだ。
散策オシャレっ子たちが、貝殻や昆虫標本に引き寄せられるわな。
オサレなんで短期間にオサレ雑誌に何度も取り上げられたみたいだわ。
理科グッズはよかったです。
革のレシート挟みとか、フィールドワークノートとか標本もお買い得でしょう。
でも、フツーの古本好きは、むむむとなると思います。
そこで悩んで悩んで1800円はなーと思って諦めた本が、
マーケットプレイスで102円だった。。おかしい、おかしいぞ。

赤ドリドリさんも覗いてみた。
もう三度目なのに、迷いまくって到着。
立地問題と開店当初の整然さの影が消えた在庫の混沌に、少し切なくなる。
店内BGMないし、店長さん頭パーマになってるし、唸ってるし。
これを秘かにオヨヨ現象と呼んだら失礼かもしれないが、
とにかく僕は秘かに、フレーフレーしたいんだ!

その後、京橋で素氏と待ち合わせて、inax galleryに行く。
一階の新刊本屋で、色々建築関係みて、どきどきし、
inax出版の図録を震えながら買う。
チェコキュビズム建築と、夭逝の大正モダン家具職人・森谷延雄。
ここは魔屈で危険です。

***

四連休明け。
仕事ないので、だらだら過ごす。

いそいそと早退して渋谷で一仕事。
時給4000円のいいお仕事が、一か月に一回くらいやってきます。
そのバイトの前に、まんだらけに寄る。
ここも僕には非常に迷いやすい場所で、もう50回くらい来てるのに、迷う。

今日気付いたこと。
まんだらけ渋谷店にはフツーの古書も置いてあった。
そして、かなり良心的価格であった。
驚き!
なぜか同人誌以外にカラマーゾフの兄弟とか、ロシアアヴァンギャルドとか買う。
よし!これで、五巻全部集まったから心置きなく読めるぞ、アリョーシャ!
といいながら、もう金曜から一巻読み始めていたのだ。
でも、罪と罰の方が、好きだなあ。

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プロフィール

絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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