2011-05

もしもの日

吉野朔美さんの「ぼくだけが知っている」という長編のなかで、
主人公の夏目らいち君は、月に一度「もしもの日」という日をお母さんから貰っていた。
その日は、学校をお母さんの口添えで休ませてもらって
なんでも好きなことをしていい日でした。

世の中に。
あんな風に子供を大人と同等、「もしも」が必要だと、
「もしも」が薬なのだと対等に考えてくれる親など、本当はいないのですが。

僕は、ずっと「もしも」ばかりです。
今日も五月は連休も多くて、今週の金曜日も健康診断にかこつけて休むので
本当は勿体ない勿体ないなのですが、
不眠の祟りとウツ神さまが、心臓を真っ黒に塗りつぶすので、
「もしもの日」を使いました。

みんな、こんな風に「もしも」使ってるのかな。
使いすぎて「もしも」がなくなって、そうしたら、どうしたらいいのかな。
らいち君は、噂の出所を探しに探検に行ったり、結構有意義に使っていたけど。
ぼくの「もしも」は受動態だから、せいぜい眠るか、眠れなくて天井みてるか、そんな風。

***

たばこが切れて。
買いに行くために立ち上がることもできず。
シケモクを家に中で拾っていました。

そういえば、このあいだ。
掃除機をかけていたら、長い間座っていない僕の椅子の足元に、新品の煙草が一本落ちていました。
もうけた、もうけたと喜んで、吸ってびっくり。
多分落としたの、半年以上前でしょうか。
味が全く変わっていました。
メンソールはスカスカになくなり、煙草の味自体も薄れて、何より葉の燃え方が全く違ったのです。
そうか、煙草ってどんどん空気に触れていると、風味がなくなって乾いていくんだ。

もし、封を切らずに何年も置いておいたら、
時間差はあっても、駄目になってしまうのだろうかと思いました。
世の中あらゆるものに、賞味/消費期限が書いてあるのに、煙草には一切書かれていません。
そもそも製造年月日も入っていません。

またJTが沢山の銘柄を廃番に追いやりました。
勝手に買収しておいて、勝手に切り捨てました。
匂いも味もみんなみんな、違うのにね。

きっと十年以上前に廃番になり、あそこの棚に大事に封を切らずに残された
フランスからJTが買い取って捨てたあの煙草も、
もうカサカサに干からびた20本になっていることでしょう。
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レモン匂えり

この間、カズオイシグロの特集がNHKでありました。
トモサカリエとか、いろんな日本人が出てきて、滅多にメディアにでないというイシグロ氏が、
自作や自分の背景を語っていたりしました。
多くの人は、「わたしを離さないで」を絶賛していました。
そして、何人かのひとは、こう言いました。
「この本は、私のベスト3に必ず入る」と。

そこで僕は、ベスト3でもベスト10でもいいのですが、
生涯に渡って読んできた本に、一瞬、順列を与えようとしました。
そして、ぞっとぞっと寒気に震えました。

これは、考えてはいけないことです。
本が少し好きだといっても、決して考えてはいけないことです。
ちっぽけな僕には、いまだ読んでいない読むことのできそうにない本が山のようにあり
あるいは、その時々の捉える心の不安定さも同時に吸着するならば、
そこには順列など、ありえはしないからです。

素氏は、★をつけることほどナンセンスなことはないと言いました。
僕がゴミと呼ぼうが、神と呼ぼうが、そんなことはどうでもいいのです。
その昔、幻想文学のブックガイドやら、諸々のオススメ本など手にしたことも
もう今となっては、どうでもいいのです。
誰かに何も薦めたくはありません。

人と人が出会うことを忌避し、
むしろ本と本とが、本と人とが結ばれることのみで呼吸をする僕には
本と本、本と人との偶然、あまた無限の連環と可能性を信じているだけです。

あの頃好きだった本。
あの日に指先を切った本。
今の自分の、ほんの一部の血肉となっている本。
ただそれだけです。
だから、あんな言葉は、傲慢で、厚顔だと、その瞬間思えたのです。

では、本を介して、人とつながろうという気持ちはどうなるのでしょうか。
わからないです。
本当に、僕には、貝殻みたいに分からないです。
ほんの時々、この場で感想めいたことを書きますが、
本当に、何を欲しているのか、分からないのです。
ため息のようなもの。
です、きっと。
ぷくぷくぷくぷく、すぐに消えてしまうのですから。


***

現代短歌の鑑賞101 (Literature handbook)現代短歌の鑑賞101 (Literature handbook)
(1999/04)
小高 賢

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その頃。
最初に誰に触れたのであったか思い出せないのでけれど。
現代短歌を網羅的に眺めてみたいと、このガイドを手にした。
前登志夫、高安国世、浜田到、安永蕗子といった歌人もこの本で出会ったけれど。
生々しく僕の手をひく人がいた。

催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり

無援の抒情 (岩波現代文庫)無援の抒情 (岩波現代文庫)
(2000/07/14)
道浦 母都子

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今、改めて「無援の抒情」をすべて通して読んでみる。

調べより疲れ重たく戻る真夜怒りのごとく生理はじまる

人知りてなお深まりし寂しさにわが鋭角の乳房を抱きぬ

くちびるをかめばほのかに滲む血を錆びし涙のごとく思いぬ


この人の半生を眺めてみる。
デモに突入したあの時代と、その後の時代と。
そして、こんな一文にぶつかる。
引用してしまえばむしろ陳腐に響くかもしれない。
けれど、眠れぬ夜、しんしんと傍にある。

もう十年余りも前のこと。その日も風の強い、凍み通るような寒い日であった。
生きているという実感がまるで無かった。相生橋の上からは否が応でも、くずおれるように佇む原爆ドームが見え、私にはその光景が眩しすぎた。
生きたいと願っていないのに生きている私。当時の私は、生きているという確たるものが何ひとつ掴めないままでいた。
けれど、この肉体。私を支えている私の体は、どこかでもっと、もっと生きたいと願っている。心はもうとっくに壊死したような私なのに、体だけはそんな心を越えて切実に、けん命に生きたがっている。ならば、ひとまず、生きたがっているこの私の体に従って、もう少し生きてみることにしよう。そうこうしているうちに、いつか、生きようという意志が体を越えて動いていくかもしれない。 206p

どうしようもなく一人が好きで、一人の時間の中にこそ、全き自由でいられる私なのに、また、どうしようもなく人恋しい私でもあるから。 208p


みんなのうた

GWあけて、ぼんやり。
神戸から妹が来たり、いろいろ楽しいことがあったのですが。

ここのところ、某少女漫画に夢中になりまして。
ええ、Gyaoで無料アニメ三話みたら、ぞっこんになってしまい。
毎晩三時くらいまで、アニメ探しまくって観ては、頭に花を開いているという、ばかっぷり。
どうやら、実写化もされた、大ベストセラーらしく。
ブックオフでは一冊も見つからず、現行本なのに、やふおくの価格も原価すれすれと。
もう作者に敬意を表して、現在13巻まで出たのを大人買いしようかと。

ウラサワナオキのMONSTER、職場でどかんと全冊借りたのですが。
あー、上手ね、でも琴線に全く触れないので、最後までよめないわー。
と途中で返却した僕なのに、なぜその少女漫画にメロメロになるのかと。
非難轟々の本日でありました。

わからん、でも。
可愛いんだよ、可愛すぎるのだよ、爽子ちゃんがねー。
ちずもあやねもくるみちゃんも、みんな可愛いんだよー。
風早くんが、ほんと悲しいくらいに必死なんだよー。
と、ここまで登場人物をかけば、きっとバレルことでしょう。

あー、アニメの主題歌が良すぎて、耳から離れない。
トクナガヒデアキ以上に(いや、僕は大して彼がすきではないが)、
神様が与える天使の声のようなシルキーな歌声だ、タニザワトモフミさん。

で。
今朝もそんなこんなで大遅刻になりながら、NHKみんなのうたを観ていました。
みんなのうたは、昔から侮れないと思っていますが。
本日、変わった民族音楽風だなと思っていたら、アレアレとなりまして。
途中から、この女の子、このラクダ、この少年の目は!と確信に変わりました。
そう、宇野亜喜良さんが、造形デザインなんですよ、これ。

ということで、初めて、動画を貼ってみよう。

藤まつり

なんでこんなに毎日ばたばたかね。
時間いくらあっても足りませぬ。

とりあえず、23日の二次会は無事に終了。
ただ、俺たち二人だけ異様なぱーちー仕様でした。
ついでに普段メガネっこなので、誰も僕だときづきませんでした。
もう二度と恵比寿のスカイウォークを着物でダッシュするようなことはしたくないです。
裾を右手で上げて、左手で握った傘が強風でおちょこになって、骨が曲がる事態は体験したくないっす。

とはいえ、着物は楽しかった!
きゅっと帯を締めてもらうと気持ちいい。
別段おなかは苦しくないから、一杯食べたかったのですが、
(うえすちんのびゅっふぇ料理、めちゃくちゃ美味しかったんだ!)
着物汚したらと心配で、汁物タレモノが全然食べられず。
今度レンタルするときは、染み保険とかあるところにしたい。

あ、カメラもって行ったのに。
SDカード入れ忘れてたので、ろくな写真が残ってません。
ま、タヌキの変身図。
尻尾でてますー。

kimono2.jpg

***

もうそこらじゅうで春の花がお祭り騒ぎですね。
貨物線の線路下空間に、さまざまな花が咲いています。
というか、近所の人が勝手に自分のお庭にしています。

fuji1.jpg

ついでに。
毎年みたいみたいといいながら、いつも満開の時期を逸する亀戸天神の藤祭り。
夕方、素氏とちゃりに乗って観にいきました。
満開、満開。
藤棚の下から見上げた光景は、小学校の校庭にあった藤棚を思い出させます。
ちょうど、雲梯があってね。
運動神経ゼロな僕は、ぶらさがって、一度も次の棒に腕を進められなかったな。

fuji2.jpg

スカイツリーが、太鼓橋の上からはすぐ側にみられます。

fuji3.jpg


屋台で僕はタイヤキ、素氏は烏賊焼き食べました。
久しぶりのお祭り気分楽しかったです。

****

さてさて。
5/3は、恒例の一箱古本市に出店します。詳細→こちら
店名:LIBRE TONSURE 午前11時~午後4時【雨天決行】

出店場所:古書 信天翁+深圳 西日暮里3−14−13


ようやく、本のクリーニングが終ったところ。
今年は曇りがちみたいですが、例年のじりじり焦がしタヌキよりいいかも。
出品目録は素氏の日記にUPしています。→こちら

目録よりもう少し追加出る予定です。
僕からの目玉は、ムットーニのサイン本二冊とか、マンレイ図録とかかな。
あと、黒死館逍遥のバックナンバーも販売します!

根津神社では、つつじ祭りが始まっています。
例年にも増して変なラインナップですが、
谷根千のお散歩がてら、お立ち寄りいただけると嬉しいです。

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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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