2009-07

跳んで瞬く、その先の―2

「きみに慰められてもどうにもならない。ぼくは希望を失った。いまはもう、ぼくの構想がいつかは実現されるだろうという希望もない。そんなことはもう考えられもしないんだ。きみの塔がすべてをこんぐらかしてしまった。きみはぼくのすべてをこなごなに打ち砕いてしまったんだ―ぼくのすべてのダイヤモンド―ぼくのすべての硬い花崗岩の塊を。きみはぼくという男そのものを破壊してしまった。この傷に膏薬はない。ぼくにはもうパラス星にいる場所がない。ここでなにをすればいいんだ?ぼくは余所者だ。ぼくは余所者だということが我慢ならない。パラスの滑らかに磨き上げた未来というぼくの夢想の数々は、雲散霧消した。これが我慢できますか。きみの塔をこなごなにしてやりたい。そうとも、こなごなにしてやりたいんだ、レザベンディオ!」
またしても大粒の雫がペカの眼からあふれ出し、頬に滂沱と下った。144p

***

高き理想の志士たるパラス人たち。
その高邁さゆえに、他者の理想を我知らず破壊することもしばしば。
炎も水もない、カラカラに乾いた地には、膏薬の材料たる水分もない。
ペカの情念の涙は、この後、涙の故を、彼の絶叫を聞き落とした者たちによって、膏薬の材料とされる。
時にこの星に流れ込むこうした平板極まりない無神経さが、現われる意味はなんだろう。

***

P・Sおぢさんは。
antisexualの人であった。
だからこそ、パラス人の生は、地中に発見された胡桃から飛び出すことであり、
パラス人の死は、信じた他者に、願った他者に、自らの思想ごと肉体を吸収してもらうことで、成立する。

さてこの例文で
「きみはぼくという男そのものを破壊してしまった。」という箇所があるが。
ぼくと名乗っていても、ペカおよびパラス人に、男という語は相応しくない。
人間というのも、相応しくない。
たぶん、英語のONEみたいなものなんだけど。
ちなみに、原文では、Du hast mich selbst zerschlagen. ってなってるけど。
You smashed me by yourself. って直英訳するとつまらないな。
ちっとも奥がのぞけないや。
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