2009-05

黄色い水銀

あんまりしんどいので午後から出勤したら、ろくな話はなく。

怖い秘書さんから怒っている「ような」メールが来ていて、
びくびく震えながら返信、ついでに社長たる講師の先生にCCしたら。
これがろくでもない展開をみせ。。。死亡。
むしろ、怖い秘書さんは、実は怖くないのかもしれないけど。
入所当初あんまりひどい仕打ちを受けたトラウマから疑心暗鬼になっていたことが
余計にあんまりな仕打ちを生み出したという。
瓢箪から。。。毒薬っていうか。
ウツ期にこういうことが起こると、トイレとかで独り言喋ってる自分に気づいて、かなり真っ青です。
なんかもう、、期限のある規範が真っ当な派遣に戻りたくなった。

帰りにふっと近くのケーキ屋に寄ったら。
病院関係者と見抜かれ、眼科だといったら、10分以上自分の疾患について語られた。
ええい、どこまでわしをめり込ませる気じゃ。
でも、40円まけてくれて、ありがとう。

テネシー・ウイリアムズの、「薔薇のいれずみ」に着手。
ご本人の前説に、マッカラーズの詩が引用されていて、おお!と思ったが、
非常に難解な自己解説で、煙に巻かれている気分になる。
時間のとらえ方がどうとかこうとか。
そういえば、昨晩の奇術探偵では、時計コレクターを奥さんにもつダンナが、
時間恐怖症で、せっかくの蒐集品から時計の針が全部抜かれていたのが、象徴的であった。

この新潮文庫の表紙は、なつかしい。
黄色の一面に、水銀が弾けた感じのやつ。
今でも、中学校の毎日通った図書室のどこにこの黄色い水銀があったか、憶えているよ。
狭い図書室だったから、文庫が中心で、すべての文庫の配列を憶えているんだ。
あの十数枚重ねてテープ留めした図書カードが、手元に残っていないのが、とっても寂しいです。
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発条仕掛けの彼

体調悪し。
ウツがひどいと、朝が腐ってる。

プラモは組み立てが終盤に入る。
デカールは水に浮かべたら、生きていること判明。よかったー。
院生にプラモの話をしたら、最初に中性洗剤にひたして、油膜を取るべしと教わる。
あと、色塗りは枠が付いてたほうがやりやすいって、僕も思うけど、バリ取ってヤスリかけたらそこが汚くなるわなあ。

「一粒の麦」読了。
青年期以降第一部の後半、処女出版からピエール・ルイスやマラルメと交遊してるあたりが。
つまんなくて、つまんなくて。
鼻持ちならないを通り越した感もあり。

で、二部に突入すると、ここがいわゆるジッドの同性愛放蕩編なんですわ。
もちろん、幼少期から仮装パーティーでロシアの美少年にメロメロになったりしていた彼ですが
アフリカ旅行にいって、砂漠でアラビア少年と燃え上がると一気に爆発。
ワイルドの手引きがあって、さらに加速。
後にワイルドを窮地に追いこむ、恋人ボージイ(アルフレッド・ダグラス)のことが大嫌いなのに、彼がアラビア少年とホテルで遊蕩三昧の日々を送るのに、なぜかしら付き合ってしまうとか。
でも、最終的には、ずっと「愛している」とのたまう従妹へのプロポーズがようやく受けいられたところで、完結と。

まあ第二部はそれなりに面白かったけど。
この人は、同性愛への不徳とかはちっとも感じていないはず。
少年の肢体の美しさや快楽と、家族への愛情は同じ地平線に浮かぶ太陽
(ここまでいえないかな、星くらいかな)
であって、本人は、疑問の余地など抱くことはない。
それにジッドは同性愛者というよりも、こういった社会的に勝手に名付けられたカテゴリからはみ出した、独自の好みに合うもののみを選び取る、むしろバイセクシャルな人である。
プロテスタントの底流はあっても、彼には揺るぎない自己信仰めいたものがある。

読もうかなと思って本棚から引き出した「ジイドの日記」の帯に
【感傷を許さぬ苛烈なる今世紀にヒューマニズムの精神を守り続けたジイド】
なんて書かれてますが。
本当に、彼をヒューマニストなんて呼んでいいんだろうか。

ジッドは、人間ぎらいじゃないけどね。
あらゆる事象・人物を分析せずにはいられない性格だと思うんだ。
視点が冷淡とか温厚とか、温度の問題じゃなく、もっと理科的な能力。
特に、自己分析は自己も全きフェーズとして見ているようで、その時々の感情を異様なまでに掘り下げてみている。
曖昧模糊とした意識の流れを、たとえ遠い過去のことであっても、厳然と振り分けてしまう。
子供時代の記憶の美しさもまた、彼自身が眠っていたという大きな膜をかぶせることによって、分析し、再展開されたものだったのだと気づいた。
そうヒューマニストじゃなく、機械たるヒューマノイドなんだよ。

ダグラスは、アリと一緒に彼を連れて、毎日馬車で、ホテルの平屋根(テラス)から、砂漠の茶褐色の街頭の上に置かれた色の濃いエメラルドのように見える、あのシュトマとか、ドゥロとか、シディ・オクパとか、そう言った余り遠くないオアシスまで、出かけて言った。ダグラスはしきりに私を連れて行こうと頑張ったが無駄だった。私は、彼がこの二人の侍童の間で屹度感じているに違いない倦怠に対して、――この倦怠はまた、私には快楽の償いのように思われるのだった――いささかの憐憫も感じていなかった。君は好きでやってるんだ! と私は思っていた。とかく余りにも易々と承諾しがちなことに対して、私は、技巧的な峻厳さで自分を武装しようとしていたのだ。で、私もまた同じく償いとして、一層仕事に熱中して行った。こうして何ものかを買い戻すのだという独りよがりの気持ちを味わいながら。歳月のおかげで素直な人間になった今から考えてみると、当時もはや心のなかで認めなくなっていた過去の倫理が、こんなにまだ隠然たる残んの力をもっていたかに私は驚く。然し、当時の私の心性方面の反射作用は、まだこれに依拠していたのだった。いかなる発条が、あんなにまで、まるで私の意志などお構いなしに、私の機械を跳ねあがらせたものかと、今それを調べてみると、そこに見いだされるものは、とりわけ無愛想と意地悪い意志であると私はここに告白しなければならない。
p418-9

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絹山絹子

Author:絹山絹子
狸穴幼稚園の図書委員

kochairo@hotmail.com
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