2008-05

「嫌いじゃない」は照れ隠しの誉め言葉

思考機械の事件簿〈3〉シャーロック・ホームズのライヴァルたち (創元推理文庫)思考機械の事件簿〈3〉シャーロック・ホームズのライヴァルたち (創元推理文庫)
(1998/05)
ジャック フットレル

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僕はときどき、ありきたりの言葉と同じに「オススメ」という言葉を使ってしまうけど。
もちろん、近しい人たちに何かを感じ取ってもらえればと、願わないわけではないけれど。
本当のところ。
もうとっくに、諦めていたりする。
この諦念には、今までの大事な人たちとの出会いの中で、すっかり胸の深いところで理解してしまったことなので。
いまさら、七面倒な話を転がすつもりもないんだ。

だから、昨晩、オーソン・ウエルズの「フェイク」を観せてもらって。
構成はおもしろいような気がするけど。
題材になった事件も、登場人物も全てホンモノの、いわばドキュメンタリーだと聞かされた瞬間の絶叫!
一時間。
全体の三分の二を過ぎてから、その事実を知って。
不機嫌にならずにいられようか。


さて、マードックにしてもそうだけど。
どこがどういいのかというよりも、なんだか変でしょうがなくてね、実は知らないうちに恋に落ちているような。
漠然とした「こんなの見たことない」奇天烈さとか、あるいはアンチドラマチックスとかに出会うと。
(絶望に焦がれるものほど、鮮烈な悲劇は無用のものだから)
むずむずしてしまうんだ。

おもての棚の文庫は、みんな50円。
中の棚の文庫は、みんな半額。
(だから出来るだけ定価の安い時代の本を掴む)
であるところの、絹子にとって最高に楽園なタナベで掴ませて貰ったこの一冊も、そんな部類に含まれる。

ストーリーテリングは最高。
起承転は最高。
でも、解決編は、そんな機械みたいな、あっさりさりさりと!
と吼えれば、だから、「思考機械」なんだと横槍が刺さる。
本格は本格なんだけど、キャラが生きなくていい時代のお手本みたいなんだよ。

qq38j.jpg 絵・畑農照雄 1977 早川文庫


こうして数日間、散々文句を放ちましたが。
結局、フットレルの魅力に屈してしまったようであります。
何しろ表紙の可愛い早川版には収録されていない話が目白押しなので。
これだけの湿度の低い乾燥軍が、長編においてどのように進撃するかミモノなので。
ついつい、「金の皿盗難事件」を読むべく、創元版も発注してしまった次第。

もう、素氏の口癖、「嫌いじゃない」を連発したい気分です。

そうそう、ネットの海の中では。
フットレルが、タイタニック号とともに未発表の「思考機械」原稿を抱えて沈んでしまったとか。
だから一体、このシリーズは全何編あるんじゃとか。
色々脇エピソードもミステリーじみているといることが、紹介されていたりします。

早川版の中では、「燃える幽霊」と「余分な指」がお気に入りですが、
新たにお気に入りが増えることを、願っております。




オーソン・ウェルズのフェイクオーソン・ウェルズのフェイク
(2000/03/24)
オーソン・ウェルズ

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