[No.80] 2008/02/27 (Wed) 01:24
Kのトランク、Kの昇天、Kの溺愛

原稿期間じゃなかったっけ、絹子さん。
いいの、いいの。
ちゃんと「地獄八景亡者戯」、頭で踊らせてるからね。
きっと二週間後には、小人さんが側で、森の木陰でどんじゃらほいと仕上げてくれる。
はず。
さて、巷間で「ねこて」と親しまれているらしい、「猫の手帖」。
これは、その創刊号であります。
現在は猫の手帖社から発行されていますが、昭和53年創刊当時は、たざわ書房発行、現代企画室発売となっています。
社は変わっても、現在の「ねこて」の創刊号に偽りはないようであります。
ちなみに表4(この書き方が自分ながらに、イヤ)には、創刊号の前に、「原本」というマイナス号的な一巻があったことを教えてくれます。

内容はといえば、恐らく、いやきっと、ベクトルは現行誌とは全く違う。
「特集:猫の絵本」とか、執筆陣に落合恵子、竹中労、立花隆といった面々が名を連ねる辺り。
当初は、猫にまつわる一歩孤高を極める視点を狙いたかったんじゃないのかなと、思わせる節あり。
しかし、なにしろ、この一号だけをもってして何も語る資格はないわけで。
確かに私は猫は犬の数千倍好きだけど、でも蛇の十倍くらいという程度で。
何より、他人と生活できない体質の人は、一切の生物と生活を共にできないので、遠目に見るに留めている。
通りすがり、出会い頭、室外機の上、ぽつねんとしていると、おおおっと一瞬視線を送る。
これで、私的な挨拶は終了。
実際、視線は絡まず、その無視される具合にもひどく安堵して、立ち去る。
そんなこんなで、猫について語る資格なし。
ではなぜ、遊古会の一階の埃の海から救い出したかというと。
「絶対的溺愛者」というエッセイが掲載されていたから。
ほんものの、詩人。
あえて、名は伏してみる。
一度だけ、同じ空間にいることを許された。
酒類を嗜まないその方は、カウンターの隅で、灰橙色の灯さえ眩しそうに坐っていられた。
そのくせ、頬の隙間、うなじの翳りからは、紅顔の美青年がけだるげに木蓮の花びらをむしるように、顔を覗かせる。
もう猫を飼ってあげない、とおとなたちに宣告されてKはいまにきっとぼくが猫を飼うと誓ったが、幼い誓いのほとんどが実現しなかったうちでも、猫を飼うことはついになかった。Kがようやく決意をかためて自分の家に猫を迎えいれるとその第一夜から、Kは自分が飼い主ではないことをいや応もなく自覚させられたのである。愛執の奴隷、愚かしい父親となったのである。
父親と、もっともらしく口に出してはみるものの、Kには父親という生物がどんな代物なのか皆目、見当がつかない。「おとうさんが生きていればそんなだらしないことは許されません」だの、「おやじだったら口で叱るだけじゃすまないんだぞっ」だのとさんざんにおどされ、「さあお父様の前でおわびをいいなさい」と、懐剣をつきつけられて位牌に頭を下げさせられたおそろしい記憶ばかり鮮やかで、以来刃物はだいきらい、美術館のガラスケースに収まった日本刀を見ただけで目の前がまっくらになる。おとなはみんな粗暴でおとなになんかなりたくないけど、おとなにならないとおとなの悪を糾弾できない。ディレンマとか不条理とか、Kはそんなことばを用いて考えていたわけではないけど、おとなのなかで最悪のものらしい父親という怪物に、ものごころついてから会った覚えがないのは、なによりも救いであった。
*
はてさて、Kはその愛する黒猫ペロオについて語ろうとすると、自閉症だったおのれ自身の可愛いげのない幼年時代を語りそうになるのである。もちろん、母親でもないひとが風呂に入っているすきに、その脱ぎすてた衣類をわきにうずくまっているのを、おとなたちに見咎められたら、どんなに折檻を受けるかKは充分心得てい、悪夢のような長い長い幼年の歳月とどうにか生きぬいていたのだが、ペロオには、腕白でもいい、丈夫に育ってくれと祈りつづけていたのに、どういうわけか自閉症気味なのである。いやあ過保護だよ、と心ない友人はいいすてるけど、Kだってペロオの躾にはきびしかった。養子に貰いうけて、まだ掌にのるくらいの頃――ああ、またここで涙がにじむ――Kと戯れているうちにあまりに興奮してベッドの上におもらししたり、Kが帰って来るのを見てかくれんぼするつもりで積み上げた本の間に入りこんだらついおシッコが出たりして、この二回だけはKがペロオの鼻先を汚れたところにおしつけて叱りつけたのだが、幼いペロオが耳を伏せ、歯をむきだして抗議した有様がKの胸にこたえた。
*
Kが小さな家に借金ともども暮らすようになったのは、人生の謎で、そこにもうひとりが住みついたのは、神様のおぼしめしというもので、そうしてやっと同居人のゆるしの許に猫の居る生活が実現したのである。ちゅうびょうペロオと、もうひとりの住人がいいだした時には、エッと思ったが、日に何回かの戸外巡回がすむと、Kと同じくらいペロオを愛しているもうひとりの住人にはニャッと短く声をかけるだけでKの居る部屋に行ってしまうし、寝る時には必ずKの方に頭を向けてい、その様子は忠猫ということになるのだろうか。
Kの家のもうひとりの住人はペロオとよぶのにペエーエロと、極めてメロディアスにしてリズミカルに立派なフレーズを構成するのだが、Kはその同じ長さの時間を、非音楽的にペロペロペロペロとかぼくのペロ猫ちゃんとかことば数をふやしてうめている。ペロとはスペイン語で犬のことだから、ペロ猫とは奇妙だが、Kとしてはシャルル・ペロオのあの『長靴をはいた猫』にあやかったつもりである。
*
次々に生まれるこどもを全部育てる余力のないKは、思いあぐねて、ペロオの同意もなく、卵巣子宮全摘出手術による不妊処置をとったのである。絶対者の呵責ない腕を一度だけ振ったとはいえ、この一度はペロオの生に加えられた最大の暴虐だったろう。
こうしてペロオは生殖のくびきをはずされ、Kと同じく生殖の連鎖環の外に立ったのだが、Kが父親にならないのはKの哲学的意志によるのだが、ペロオが母親にならないのは自分の選択ではない。Kはペロオに対して生涯罪の意識を抱きつづけるであろうが、同時にKは絶対者のやましさということも考えるようになった。
長い長い引用は、ある種に衝撃の証。
いったいあの詩群の中で、自分は何を見ていたのだろう。
迸った内面は、確かに刃を光らせていた。
ぎらぎらと、殃や鋏を。
でも安堵したのだ。
いや衝撃も安堵という言葉も、ふさわしくないかもしれない。
いわば内は外であり、外は内である。
内側が鏡張りの球体の中心に閉じこもると、眼前に己が映り込み、目尻の端に、幽体と化したもう一人の己がふわふわする。
(この実験結果は、ほんものの現代科学者を驚天動地させたのだ)
その幽体は、親しい近しい分身であり、「幽霊さん」なのだと思っていい。
そんな感じかな。
上記エッセイは、確認はしていないけど。
「猫のための音楽」(第三文明社)に収録されている予感大。
探さなくちゃね。
そして靴下猫とすれ違う一瞬を願って、眠りに就こう。
[No.79] 2008/02/25 (Mon) 00:05
廃墟楽章
焼き茄子?
ああ、網の上でゆうくりと焼いていくんだよね。
紫が死んで、ちりちりに萎縮した茄子を冷水に浸すと、皮膚がはがれて、中から、黄色の實があらはれる。
焦げ痕は、刺青のやう。
それとも、生意氣な勲章のやう。
醤油とおろし生姜で、じわりと頂きなさい。
單純な料理ほど、夏は淺ましくなく、過ごせるもの。
..2003/7/11(金) 【夏の爪痕 A】
**********************
牛乳たつぷり珈琲色の川の中へ、落としたのは、マキホから貰つた指輪だつた。
白金に思はせぶりな、誕生石などつけて。
「君の誕生石は?」
「はて、さて、僕は透明な飲み物が好きだけどね、透明な石は嫌いなんだ」
「なら、カフエオレは呪ひだね」
「ああ、ネクタアや乳酸菌も、もつてのほかさ」
「ぢやあ、濁つた石を渡そうか。珊瑚、瑪瑙・・・」
「いいや、刻んでおくれよ、僕の大好きなオウム貝を」
「どこへ」
「指へ、直接さ」
臆病者、陳腐な指輪を贈る位なら、刃のひとつでもこちらに向けてみろ。
梅雨が明けて、濁りを忘れた川の中に、海水魚が目を剥いた。
..2003/7/14(月) 【夏の爪痕 B】
**********************
誰も要らない。
さう思ひながら、夜の散歩に出掛けた。
遠くで、打ち上げ花火を樂しむ聲がする。
誰も僕に構ふな。
さう呟きながら、晝なほ暗い山道を何も持たずに歩いた。
遠くで、川のせせらぎが、嘘のやうに生まれる。
世界の誰もが嫌いで、特に「今」は、あいつのことが嫌で。
でも、「今」が過ぎれば、きつと別の嫌いな奴を捜して、彷徨する。
僕には、いつも憎む相手が必要だ。
ののしり、背筋を凍らせ、刃を振り上げる相手が。
だから、歸へる。
歸へらう、平凡で、偽りばかりの家へ。
..2003/7/25(金) 【夏の爪痕 C】
**********************
ねえ、だうして、子供の時間はたつた十年そこそこなのに、大人はおじいさんになるまで、あんなにながあい時間をつかつてゐられるの。
ああ、それはね、時間を時間商人に賣つて、生きてゐるからだよ。
時間商人つて、だれ?
時間をお金に變へてくれる人さ。
變へないといけないの?
さあ、いけなくはないけど、さうしないと生きられないのさ。
ぢやあ、子供は大人の時間をもらつて大人になるの?
たまにね。でも、大人と呼ばれる人たちのなかには、なかなか商人に會ひたがらない奴も一杯ゐるのさ。
へえ。おぢさんは、どうなの?
おぢさんは、子供の時間を食べながら、どんどん死んでゐるんだよ。ほら、もう、手の先も、瞼も溶けちまつた。
いけないことだから?
いいや、誰もその美味さに気づいてゐないから、惡戲商人が仕組んだのさ。
..2003/10/14(火) 【長電話は嫌い】
***********************
黒豹が前を通り過ぎた。
すると、硝子張りの温室の中から、瞑目しバチを握つた三味線奏者が、
「鳳仙花は、いつ咲くのかえ?」
と、神妙な聲で問ひかけるので、黒豹は歩みをとめて、赤い舌を硝子に押し付ける。
それは、彈けた苺科の果實を思はせる肉厚な舌だ。
「殘念ながら、今、満開だ。あんたが・・・・眼を開いたら・・・すぐに枯れちまうだらうて」
「ぢやあ、お前の黒い毛皮を剥いで、その下に眠ってる花を代はりに見せとくれよ」
「はん!痴れてやがる」
黒豹の尾は、宵闇の中ではなぜか、銀の光澤をうねらせて、次第に消へていつた。
..2003/5/21(水) 【初夏の斷章 D】
**********************
僕は生まれて一度も詩人なりたいと思ったことがない。
これは紛れもない事実。
2001年の初夏から始めた海への素潜りは、何度も息切れを繰り返し。
むしろ今は、かつて触れることのできた
たとえば愛らしいチョウチンアンコウの尾鰭すら、見定めることすらできなくなった。
実験室も、発掘事件簿も、スパイラルも、実はまだ海中に眠っています。
でも、僕は、ある種の言葉を綴ることができなくなってしまった。
僕はもう、わだつみの中に浮かぶ漁り火も、夜光貝の瞬きも恐ろしくなってしまった。
かつて僕の左の耳殻の中で踊った声を。
さやさやのまのまゆとまとよろけと。
いまも沢山の囁きは存在するけど。
嘘も本当も、始点も終点も、何もない。
ああ、網の上でゆうくりと焼いていくんだよね。
紫が死んで、ちりちりに萎縮した茄子を冷水に浸すと、皮膚がはがれて、中から、黄色の實があらはれる。
焦げ痕は、刺青のやう。
それとも、生意氣な勲章のやう。
醤油とおろし生姜で、じわりと頂きなさい。
單純な料理ほど、夏は淺ましくなく、過ごせるもの。
..2003/7/11(金) 【夏の爪痕 A】
**********************
牛乳たつぷり珈琲色の川の中へ、落としたのは、マキホから貰つた指輪だつた。
白金に思はせぶりな、誕生石などつけて。
「君の誕生石は?」
「はて、さて、僕は透明な飲み物が好きだけどね、透明な石は嫌いなんだ」
「なら、カフエオレは呪ひだね」
「ああ、ネクタアや乳酸菌も、もつてのほかさ」
「ぢやあ、濁つた石を渡そうか。珊瑚、瑪瑙・・・」
「いいや、刻んでおくれよ、僕の大好きなオウム貝を」
「どこへ」
「指へ、直接さ」
臆病者、陳腐な指輪を贈る位なら、刃のひとつでもこちらに向けてみろ。
梅雨が明けて、濁りを忘れた川の中に、海水魚が目を剥いた。
..2003/7/14(月) 【夏の爪痕 B】
**********************
誰も要らない。
さう思ひながら、夜の散歩に出掛けた。
遠くで、打ち上げ花火を樂しむ聲がする。
誰も僕に構ふな。
さう呟きながら、晝なほ暗い山道を何も持たずに歩いた。
遠くで、川のせせらぎが、嘘のやうに生まれる。
世界の誰もが嫌いで、特に「今」は、あいつのことが嫌で。
でも、「今」が過ぎれば、きつと別の嫌いな奴を捜して、彷徨する。
僕には、いつも憎む相手が必要だ。
ののしり、背筋を凍らせ、刃を振り上げる相手が。
だから、歸へる。
歸へらう、平凡で、偽りばかりの家へ。
..2003/7/25(金) 【夏の爪痕 C】
**********************
ねえ、だうして、子供の時間はたつた十年そこそこなのに、大人はおじいさんになるまで、あんなにながあい時間をつかつてゐられるの。
ああ、それはね、時間を時間商人に賣つて、生きてゐるからだよ。
時間商人つて、だれ?
時間をお金に變へてくれる人さ。
變へないといけないの?
さあ、いけなくはないけど、さうしないと生きられないのさ。
ぢやあ、子供は大人の時間をもらつて大人になるの?
たまにね。でも、大人と呼ばれる人たちのなかには、なかなか商人に會ひたがらない奴も一杯ゐるのさ。
へえ。おぢさんは、どうなの?
おぢさんは、子供の時間を食べながら、どんどん死んでゐるんだよ。ほら、もう、手の先も、瞼も溶けちまつた。
いけないことだから?
いいや、誰もその美味さに気づいてゐないから、惡戲商人が仕組んだのさ。
..2003/10/14(火) 【長電話は嫌い】
***********************
黒豹が前を通り過ぎた。
すると、硝子張りの温室の中から、瞑目しバチを握つた三味線奏者が、
「鳳仙花は、いつ咲くのかえ?」
と、神妙な聲で問ひかけるので、黒豹は歩みをとめて、赤い舌を硝子に押し付ける。
それは、彈けた苺科の果實を思はせる肉厚な舌だ。
「殘念ながら、今、満開だ。あんたが・・・・眼を開いたら・・・すぐに枯れちまうだらうて」
「ぢやあ、お前の黒い毛皮を剥いで、その下に眠ってる花を代はりに見せとくれよ」
「はん!痴れてやがる」
黒豹の尾は、宵闇の中ではなぜか、銀の光澤をうねらせて、次第に消へていつた。
..2003/5/21(水) 【初夏の斷章 D】
**********************
僕は生まれて一度も詩人なりたいと思ったことがない。
これは紛れもない事実。
2001年の初夏から始めた海への素潜りは、何度も息切れを繰り返し。
むしろ今は、かつて触れることのできた
たとえば愛らしいチョウチンアンコウの尾鰭すら、見定めることすらできなくなった。
実験室も、発掘事件簿も、スパイラルも、実はまだ海中に眠っています。
でも、僕は、ある種の言葉を綴ることができなくなってしまった。
僕はもう、わだつみの中に浮かぶ漁り火も、夜光貝の瞬きも恐ろしくなってしまった。
かつて僕の左の耳殻の中で踊った声を。
さやさやのまのまゆとまとよろけと。
いまも沢山の囁きは存在するけど。
嘘も本当も、始点も終点も、何もない。
[No.78] 2008/02/21 (Thu) 23:17
もったいないお化けのラインダンス
![]() | 團十郎切腹事件 (2007/02/28) 戸板 康二 商品詳細を見る |
第一巻、毎日少しずつ舐めるように読み進めて、ようやく終わったところです。
この本を読んでいて、思ったこと。
凄く当たり前の大前提だけど、「探偵小説って、幻想なんだ」
ほんと当たり前の話だけど、特に日本のミステリってそのことを忘れてる気がする。
勿論、幻想っていい意味の、気持ちいいなあ、この中に身を浸してると、些末な雑事が吹き飛ぶなという意味で。
刑事が靴底減らして走り回るとか、例の社会派と呼ばれる一群には到底展開することの出来ない、別世界がここにある。
たしかに、動機を探れば、むしろ芸の世界のことゆえに、絞り上げるごとき妬みや醜悪な感情も渦巻いているけど、落としどころが全く違う。
それは、もったいないお化けに取り憑かれることもなく、思いついたネタを惜しげもなく短編の中でさらしてしまう行為に繋がっている。
竹野君が、なにしろ余りにも早く手の内をさらすのだ。
「これが実は雅楽の目の付け所だったと後に分かるのだが、その時はまだ…」
みたいなノリ。
ポイントを次々に上げてしまって、めくらましなんか全くない。
大どんでん返しなんて、ミスリーディングなんて姑息は一切使いませんて。
クロースアップマジックの驚嘆に匹敵する感じ?
コインもトランプもみんな見えてるのに、わあみたいな。
で、特に「等々力座殺人事件」なんて、もう「もったいなーーーい」って叫ばずにいられなかった。
これだけのネタ、絶対長編になるのに。
普通、みんなこの十分の一のネタで、ぐじぐじ格闘するんだよと。
竹野君は、それなりのおじさん記者みたいだから、アタフタしないけど。
雅楽は時々、にまーーっと笑っている。
その奥で、戸板康二もまた、にまーーっとしているのが、見え隠れする。
そういう幸福なミステリです。
そういえば、一年位前、テレビ版の雅楽ものを、素氏の古いコレクションから見せてもらました。
竹野君が近藤正臣で、江川刑事が山城新吾だった。
テレビ版も面白かったけど、不思議と原作を読んでも二人の顔は被ってこなかった。
一方、雅楽は勘三郎が浮き上がってきて、電車の中でもニマニマしてました。
素氏はちょっと違うというので、最終巻まで読んで、イメージが違ってくるのか、練り込んでみるのもまた楽しみです。
[No.77] 2008/02/19 (Tue) 00:26
動物実験のおともだち
![]() | PUNCH THE MONKEY ! (1998/06/20) オムニバス、内海イズル 他 商品詳細を見る |
久々に手元に戻ってきたので、早速ipodに吸収。
このキャイキャイ楽しいリミックス盤が、知らぬ間に3まで出ていたなんて。
そして、ボックスまで出ていたなんて。
わー、めっちゃ欲しいです。
ついでに、moonridersのanimal indexも吸収した。
マニア・マニエラとどっちか選べと言われたら、悶絶転げ回って、
うーん、うーん。
左翼としてはマニエラを!
地中潜り隊としては、アニマルを!
と叫ぶことにしよう。
が、しかし。
あと数日したら、モンティパイソンの恐ろしいDVDBOXが届くんでした。
ちゃんと本当の依頼主さんは、受け取り拒否しないでいてくれるんでしょうか。
![]() | PUNCH THE MONKEY!BOX (2006/09/20) オムニバス、内海イズル 他 商品詳細を見る |
![]() | 「空飛ぶモンティ・パイソン」“日本語吹替復活”DVD BOX (2008/02/20) エリック・アイドル(広川太一郎)、マイケル・ペイリン(青野武) 他 商品詳細を見る |
[No.76] 2008/02/18 (Mon) 01:28
小さくなれば遠くにいけるかな

一ヶ月ほど前、タルホ拾遺の前夜祭に連れて行って貰ったとき、西荻近辺を再訪しました。
一人じゃ入れなかった、この喫茶店。
予想通りめちゃくちゃいい感じでした。
柱時計がいっぱい。
徳南晴一郎の「地獄時計」を彷彿と・・・させません。
もっと明るくレトロなのだ。
うっくんが好きそうだよ・笑。

バレンタインにあげたもの。
本郷の三原堂さんは、何しろ和菓子屋さんといえども、企画力が素晴らしい。
この「らぶどら」も味も大満足な逸品です。
三種のアンコの入った、「恋の最中」というハートもなかも来年は買いたいな。
となりの本は、毎日売り切れ御免で入手できなかったらぶどらの保険本。
ひさびさのオヨヨ詣でで、ほとんど自分のために買ったような物ですが。
秘かにサーカス文献蒐集しているので、今度まとめて書きたいです。
オヨヨさんといえば、素氏に渡した目録が凄かったみたいです。
店内は、人の出入りが激しくて、文庫の棚が空っぽで、、、
いつになったら、あの店内は落ち着くのでしょうかと、
心配半分、おかしさ半分で覗いています。

やっと読書の時間が取れるかなと思って手に取ったのですが。
なんだか、ぷぷぷ本です。
ポオとマラルメに私淑したヴァレリーが、思索の果て、文学放擲の果てに生み出したテスト氏。
最初は、なぜかメルカトル鮎の姿が頭を過ぎったのですが、
どうやら痩せぎすのオジサンみたいですよ。
観念小説なはずなのに、テスト氏はお喋りだし、風貌も描いちゃってるし、
挙げ句にオネムになって、僕の寝言でも聞いて飽きたら帰りなよな変人だし。
一人暮らしのはずなのに、奥さん出てくるし。
よく分かりません。
でも、思春期/青年期にぶつかる、神経ビリビリな感覚。
自負と自己嫌悪でいたたまれない感覚を、ひじょーに明解に捉えようとしている文章などは、胸がすっとする心地がします。
青春期とは、しきたりというものがよくわからぬ時期だ、また、わかってはならぬ時期だ。しきたりに対して、ただ盲目的に逆らってみたり、かと思うと盲目的に従ってみたりする時期である。言語にせよ、社会にせよ、認識にせよ、芸術作品にせよ、その他何であるにせよ、人間がそれらを築きあげるのは、いくつかの独断的な決定事項という基盤があってはじめて可能なのだが、ものを考えはじめた年頃においては、これは何とも想像のつかぬことなのである。わたしの場合も、こんなことは何とも想像しかねたから、人々とともに送る生活や他人と外面的なかかわりから生まれ、意志的な孤独のなかでは消え去ってしまうようなすべての意見や精神上の習慣を、ひそかに、つまらぬ軽蔑すべきものと見なすという掟を作り上げていた。
もっと早くこんな風に外側から自分を見られるといいなと思う。
まだまだ未熟極まりないですから。
[No.75] 2008/02/07 (Thu) 02:15
悲劇のロシアってぞくぞくする
![]() | この人この世界 2008年2-3月 (2008) (NHK知るを楽しむ/月) (2008/01) 亀山 郁夫 商品詳細を見る |
ぼくは、もうとっくに世界にも絶望してるし
自分にも絶望してるけど。
いやだからこそ、順接に言いたい。
走り続けるしかないんだって。
舞い狂う雪で、ガチガチに固まったオイルを、必死に手で擦って。
アカギレばっかりになって。
それでも、走り続けて、、、いこうかなって思う。
忙しなく自分を追いつめるしか能がないけど、
やっぱり走ろうって思う。
足をひきずって歩くより、走り出した方が、
たとえ止まることが叶わなくても、いいやって思う。
Sちゃん様。
多分、あの日記、すぐ消しちゃう気がするけど。
ぼくは何も分かっていないけど。
ぼくはずっと君のこと、遠くで、物陰で、見ています。
********
今週月曜日から始まった教育テレビのこの番組。
30分枠に収まりきれないから、アニメは素敵だけど、やっぱり舌足らずな部分も多いので。
このテキストを読んでると、震えが走ってきます。
最初はロシア・アヴァンギャルドの一語で吸い寄せられたけど。
ドストエフスキーを捨てるのも、真っ向から深淵に飛び込むのも。
考えて考えて考えていくうちに、亀山さんは希望とか、なさねばならぬ事を示唆してくれる一方で、見てはならなかったもの、気づいてはならなかった部分に引き込んでいく。
人を殺めた人の持つ悪夢と、
人を殺めようとした人の持つ悪夢と、
人を殺めたという文章を読んだ人の持つ悪夢が、
時間の長い長い渦に巻かれると、等価になってしまう恐ろしさ。
ぬるくて、無関心で、傲慢な。
遠くから見ているだけって、やっぱりそういう傍観者にすぎないんだろうか。
文字に落とす上のスタイルとしてはこの上なく魅惑的な傍観者も、
真実の憧れの対象に、今はならない気がするんだな。








