[No.71] 2007/12/21 (Fri) 00:51
めえめえ森の仔ヤギ…でも羊なの

この間、「三月の羊」さんに行ってみました。
ちいさなこのパン屋さんのなかには、小さなギャラリーがあって、小さな個展が開かれていました。
個展が目的だったのですが、羊パンとクルミパンを買ってカラランというsheep bellに送られてお店を出ました。
クルミパンはぎっしりもぎっしり胡桃が詰まっておりまして、噛むほどにあの濃厚な油脂が頭を巡るような旨味に変わります。
お店を出ると、もう一枚の地図を取り出しました。
そうここは西荻窪界隈です。
気になる古本屋さんいっぱいの街です。
最初に辿り着いたのが、どこかで聞いたことのある、(実際にはあの同人誌の委託先だったわ)「音羽館」でした。
はーーーー。素晴らしい。
こんなお店待ってたのよ!
表の均一本コーナーからして、ほんとにいいんですか、この値段で。
持ってなかったら、「死霊」も「オートバイ」も100円で買っちゃうよーでした。
めっけものは、林美一の「珍版・我楽多草紙」(河出文庫)
普段の枕絵系というよりも、もっと可愛い大江戸のおちゃらけ満載で、さらには乱歩の「蜘蛛男」自主検閲の話とか、すごいです。
なんでこれが100円なのか不明だけど、嬉しかったなあ。
品揃えのよさと、お手頃な値段と、見やすさがずば抜けてます。
さらに、どんなに本を抱えてても途中で預けたりしないんですが、全体に漂うほんわかした空気に飲まれたのか、カウンターに預けて後半戦。
最後に手に取った「怪物科学者の時代」(田中聡 晶文社)は今大事に袋につめて通勤のお供にさせていただいております。
あーこの本、目次を開くと、荒俣宏の「大東亜科学綺譚」とか「パラノイア創造史」に思いを馳せてしまうんですが、読み込むと全く視点が違うことが分かります。
この話は、また後日。
でだ。
ホクホクレジ打ちしてもらいながら、店長さん?が稀に見るスマイリーフレンドリーな方で。
色々尋ねてこられるんですが。
思えば、古書店というより、かつて中古レコード屋でやたらに買おうとしている物に、
「あ、こういうの好きなの。へー、これって、あれだよね」と脇にいる常連客と暗号会話を繰り広げられた経験ばかりの絹子さんは、今回も一瞬は引いたのですが。
いや、ちょっと「三月の羊」さん目的で西荻に来ましたって言ったら、さらに色々話を弾ませてくださって。
終始和やか、和やかで、えへへへーと幸せ気分でお店を後にしたわけです。
がだ。
一点おかしかったのは。
帰宅後、風呂敷を広げて(実際には紙袋から引っ張り出して)戦利品を並べていて気づいた。
「初級フランス語単語」。。。。
あの、私、ただいま勉強中なのはスペイン語なんですが。
なんでこんな本が一緒に入ってるのさ。
多分、レジ周りの未整理本と一緒に袋詰めされたのだろうけど、この本は値段に入っていたのかしらん。
それともコクトー買う人は、是非ともフランス語をやれ!と叫ばれていたのであろうか。
音羽館をあとにして、花鳥風月さん、夢幻書房さんそして興居島屋さんを回る。
どこもいい。
膝ががくがくして、下段の本を諦めてしまいがちだけど、いい。
もっと回りたかったよー。
なんですが、今回は北側の四軒でおしまい。
興居島屋さん、店構えからして素敵で、飴色の空間と匂いに包まれていて、マッチラベルに涎を垂らし、エドワード・リアの復刻本にも吸い寄せられ。。。
けれど買ったのは、かわぐちかいじ「テロルの系譜」って、おい!
いいの、読みたかった天沢退二郎の「光車よ、まわれ!」を入手したからね。
今年の行脚は多分、もう終わりです。
今日も、シロガネーゼなブックオフに入ってしまったので。
あのブックオフは、私が一押しする、五反田、町田、本厚木に続いていい感じ。
カフェが併設されていたり、シロガネーゼな奥様にターゲットを当てた、和み可愛いコーナー(北欧家具とか縮緬細工とか)が大きく展開していたり。
あと洋書のコーナーも棚7,8本分あったりします。
年明けは銀座松屋に直行さ!
何しろ、唯一絹子名義で目録が届く古書市ですから。
[No.70] 2007/12/17 (Mon) 16:19
らちつてとんび
残念ながら僕は消石灰を持っていないので、
爪先に小さなチョークをつけて立ち上がる。
右足を軸にして、じりじりかくかくと円を描く。
この場合、足の長さは一向に関与しない。
トゥシューズもない軸足は、差を求めて右往左往する。
描かれた図形があまりにも狭いので、僕は嘆息した。
ならばちょうどいいじゃないか。
右膝はここのところすっかり音をあげているのだから、自由にしてやろう。
膝もろともマザーグースよろしく、肢を半分に叩き切る。
さあ、もう一度軸足になってみろ。
じりじりかくかくどどどどどど。
なんと醜い、円などとは呼べないその図形。
でも重心がさがって、径が伸びたお祝いに、面積だけは四倍に広がった。
無残な不定形、名もなき形こそ僕にふさわしい。
これをもって、僕の「埒」とする。
どこか惑わしき自らの良心とやらに拉致されても、これが僕の「埒」だから。
一歩も中には入れまい。
もったりとした失血のまどろみの中で、僕は安堵していればいい。
爪先に小さなチョークをつけて立ち上がる。
右足を軸にして、じりじりかくかくと円を描く。
この場合、足の長さは一向に関与しない。
トゥシューズもない軸足は、差を求めて右往左往する。
描かれた図形があまりにも狭いので、僕は嘆息した。
ならばちょうどいいじゃないか。
右膝はここのところすっかり音をあげているのだから、自由にしてやろう。
膝もろともマザーグースよろしく、肢を半分に叩き切る。
さあ、もう一度軸足になってみろ。
じりじりかくかくどどどどどど。
なんと醜い、円などとは呼べないその図形。
でも重心がさがって、径が伸びたお祝いに、面積だけは四倍に広がった。
無残な不定形、名もなき形こそ僕にふさわしい。
これをもって、僕の「埒」とする。
どこか惑わしき自らの良心とやらに拉致されても、これが僕の「埒」だから。
一歩も中には入れまい。
もったりとした失血のまどろみの中で、僕は安堵していればいい。

