[No.24] 2006/07/16 (Sun) 16:59
僕のたからもの


そんな題名で、五木寛之が書いていたけど、あの中で気に入ったものといえば、ボルボのエンジンルームの整然とした美学だった。
さて、絹子が煮詰まってます。
ぐつぐつと。
とっても機嫌が悪くて一緒に遊んでもらえないので、絹子の部屋から何個か物をくすねてきた。
↑は最近、家にやってきた怪しいものたち。
「はくしょん大魔王」のこれは…ライター。
壷の耳というか、取っ手のところをおろすと、あら不思議、壷の先から火が出ます。
不気味な微笑を浮かべるもの。これは恐らく東南アジア系のコースター。パンダさんに買ってもらったらしいよ。
夏場はアイス珈琲にアイスココア、今日はアイスジャスミン茶も登場したので、グラスの汗がパソコンの周辺を水浸しにしないために使ってるらしい。
だから、顔がびしょびしょに赤らんで、一層ぶきみ。
大きくなります。絹子は、ここ数年銅版画が大好きみたい。
特に、「マルセル・デュシャン展」で横浜に行ったときに、収蔵展に並んでいた利渉重雄さんに恋したのだ。
だから「宇」という何枚も彼の作品が収められた一組が完売してしまったと気づいた時には、そりゃあ当り散らしていたもの。
絹子は、こつこつと、自分の感性に嵌る作品を集める手立てとして、蔵書票に目をつけた。
お正月には、アルフォンス井上の一枚を手に入れて、自慢げに見せてくれたんだからね。
それから、神保町にはR古書房っていう豆本やコケシ関連本を集めている、小さなお店があって、そこもお気に入りみたい。
エクスリブリスは、所有者の名前が入っているから、同じ大きさの一葉を手に入れるよりずっと廉価なんだって。
R古書房には勿論、多賀新なんていう有名どころの蔵書票もあるけど、無名の作品も一枚300円とかで見つけることが出来るらしい。
もし、銅版画にドキドキしてしまうなら、海外作家のものをさくさくとLPを中古レコード屋で探すみたいに繰っていけば、綺麗なものに出会える。
今回は、某所から手に入れた利渉さんの逸品を、まだ原稿のメドも立っていないうちから、自分へのご褒美に入手したんだ。
困った人だね。
絹子は、譲ってくれた、某蔵書票関連ライターさんのつけてくれた、正しい保存方法なる小冊子が大いに気に入ったらしく。僕にお菓子の缶は捨てるな!と大いに叫ぶ始末。
じゃあ僕は、こっそり絹子の名義で、本を予約しておこう。
これなら、本当に原稿完成のご褒美になるだろうからね。
きっと新しいたからものにもなるだろう。
この増補版、買わなきゃそんそん。
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[No.23] 2006/07/02 (Sun) 00:59
ヘリオガバルスの呪い
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はじめまして。散々満ちるです。
絹子は月末まで黄泉くだりをはじめたので、しばらくは隣家に住む僕が、気だるい雰囲気を壊していきたいと思ってる。
えー絹子に誘われて、昨年末はすっかり法水漬けになっていたけど、今回はあのズンドコ探偵・ノリピーの話ではない。
もうひとりの法水について。(多分、寒くなる頃には、二人して虫ちゃんの熱帯探検へと足を踏み入れているはず)
とはいえ、絹子も僕も、彼のことは名前くらいしか知らなかったし、どちらかといえば、その周辺事項から攻めつつ、ここに「今頃」辿り着いてしまった、遠く煙も見えなくなった機関車の黒い影を追う破目に陥りそうな予感。
それで、いつもいつもこのブログに提出する感想文の本は、「no image」攻撃に遭ってしょうがないと、彼女は嘆くのだけど、「それなら超新刊本とか、メジャーな本の感想でもかけばいいじゃないの」と返すと、「そんな本はめったに読まない。古本屋しかもういかないもん」とむくれて帰ってしまう。
僕は基本的には家から一歩も出ないので、意地悪な絹子しか友達がいないことになってるけど、たまに夜中の三時頃散歩に出ていたりする。
昨日、ちょっと夜中の本屋を覗いたら、うわーっとなって、午前四時、しとしと雨の中、絹子の部屋の窓に石をぶつけていたというわけ。
あの二人して追いかけてやまない丸尾末広が所属していた、東京グランギニョル。
そして、学ランと眼帯と同性愛と血みどろといえば、もう一人われらが追いかけてやまない、長田ノオトの世界。
これはその劇団・東京グランギニョル(飴屋法水主宰)の伝説の第三公演「ライチ☆光クラブ」の奇跡的な漫画化。
小学生三人が廃墟の秘密基地として始めた光クラブは、いつしか新たな独裁者の出現によって、早熟の秘密結社と化していた。
規律を乱すものへの過酷な制裁。そしてシンボルであり下僕である「ライチ」という名の人工体(これを嶋田久作が怪演したらしい)、ライチが捕まえてきた美少女・カノン。
二人の恋が清らかなればなるほど、光クラブの狂気や暴力が余計に際立って、美しすぎる。
絹子とふたり、頭をつき合わせて、頁を捲りながら、どきどきしていた。何も口に出さなくても、僕たちはちゃんと知っている。
暴力の美しさを。
だから、前に薦められて読んだ、ガルシア・マルケスの「族長の秋」を返すときに、僕は呟いたんだもの。
僕らにとって、暴力と腐乱はなんでこんなに甘く芳しいのだろうってね。
この公演が行われたとき、絹子は13歳だったらしい。
そして驚くなかれ、主宰の飴屋氏は17歳で劇団を起こしている。
だから、この話の中で独裁者を独占するために影の独裁者となった、凄まじく美しい少年・ジャイボ(飴屋氏の役どころ・まさにヘリオガバルスは彼にこそふさわしい)が、声変わりと発髯を嘆くとき、あらかじめ壊されるべき世界は、真っ赤な真っ赤な血しぶきで覆ってこそ美しいのだと思った。
石井隆の「魔樂」(ペヨトル工房)の凄まじさにも通じているな。
そういえば、絹子がひとつだけやってみたいコスプレがあって。
昔は真剣に注文にいこうかとか考えていたらしいけど・笑。
それが学ラン制帽だったようだ。
僕がちゃんと「学校」というものに通っていれば、貸してあげられたのにね。


